ワニなつノート

いま、あなたの宝物は何ですか?

いま、あなたの宝物は何ですか?


ものがたり《さくらハクテン》のなかで、カズキが「たからもの」を聞いてまわる場面があります。その場面がうまく書けなくて、ものがたりが止まっています。
毎日新聞に、ものがたりと同じような記事がありました(*^^)v


      

「みんなたからものをもってますか?」
カズキが聞く。

おかさんは、ぼくっていいました。
ぼくはあかちゃんじゃないから、もうおかさんにぎゅってされない。
けど、おかさんはいつもしてるっていうです。
ほんとうに大切なものは、いっしょにいなくっても、ぎゅってできますか?

本物の金庫にしまっておかないと宝物じゃないですか?
こころに、ぎゅって、しまってあるのは、たからものじゃないですか?
手の中にぎゅっとしているのはだめですか。
手に持ってると、なくしちゃうからかな。

かぜひいたとき、おかさんが、おでこをさわってくれる手。
でも、ほっとするは、みえないです。
(『さくらハクテン』より)



◇     ◇     ◇     ◇


いま、あなたの宝物は何ですか?

(毎日新聞 2011年4月12日)


「すべてを失った」。被災地で何度も何度も耳にした。
 だが、今だからこそ思える自分だけの「宝物」。
ランドセル、腕時計、焼け残った封筒……。
さまざまなものをいとおしそうに手にする被災者が、カメラの前に立ってくれた。
 ある人は寂しげに、ある人は笑顔でカメラを見つめる。
そのまなざしが私たちに問いかけてくるようだ。
「あなたの『宝物』は何ですか」と。
【小川】


大谷くん・11歳・陸前高田市・
先生が見つけてくれたランドセル。小学校は津波にのまれ土砂で埋まったが、発生から2週間後に先生が見つけ、届けてくれた。祖父と曽祖母を亡くした。「おじいちゃんがくれたキーホルダーが取れているのは残念だけど、大切にする」



伊藤さん・86歳・岩手県山田町・
唯一持って逃げたバッグ・犠牲になった親戚が趣味のパッチワークで作ってくれた。財布や薬などが入っている。「あわてていたけどこれだけ手に取れた。大切にする」


木村さん・48歳・岩手県山田町・
焼け跡から見つかった封筒。火災にあって何もないかと思ったが、姉が実家にあてて書いた封筒の一部が見つかった。「こんなものでも大切に思えます」


阿部さん・61歳・岩手県大槌町・
息子の遺品の腕時計。消防隊員として出動中だった息子を亡くした。遺体と対面し、どろだらけの腕時計を遺品として持ち帰った。「今もちゃんと、動いているんです」



小国さん・42歳・岩手県大槌町・

長男・くん(7)、長女・ちゃん(5)、次女・ちゃん(5)。
新築して3年の自宅は流されたが、家族は全員無事だった。「みんなが無事でいてくれただけで、すごくうれしい」

佐々木さん・84歳・岩手県釜石市・
胸の中の思い出。自宅も流され、何も見つかっていない。妻も行方不明のままで、連日地域住民と捜索を続けている。「宝物は胸の中のたくさんの思い出だ」


坂井さん・74歳・岩手県陸前高田市・
がれきの中から見つけた位牌。自宅は土砂に埋まり、諦めかけていたが偶然見つかった。「これだけは持って逃げろと教わっていた。見つかって良かった」

大川さん・66歳・岩手県大槌町・
家族との思い出が詰まったアルバム。1階に土砂が入り込み、泥だらけに。分厚いアルバムを見つけ出し、何冊も並べで乾かしていた。アルバムの中でたくさんの笑顔を見せる夫も犠牲になった。「ものなんてまた何とでもなるけど、思い出は買えないから」

照井さん・60歳・岩手県山田町・
車中泊を続ける乗用車。早朝の仕事を終え、休んでいるところを妻にせかされて一緒に逃げた。「後ろの車は流されてしまった。何もできなかった」


黒沢さん・32歳・岩手県大槌町・
兄がくれた携帯電話。神奈川から兄が「必要になるから」と買って、避難所に持ってきてくれた。「まだ使い方がよく分からないけど、スライド式の新しい電話なんです」


久納さん・63歳・岩手県陸前高田市・
姉が届けてくれたバッグ。震災発生から約1週間後、青森から姉が日用品などを届けてくれた時、女性の生活には欠かせないバッグもくれた。「家族の絆を感じた。家族や地域の絆がたからもの」

吉田さん・51歳・岩手県陸前高田市・
自分の干支の「子」のぬいぐるみ。自宅跡地で見つけた。友達がくれたぬいぐるみで、ビニール袋の中からきれいなまま見つかった。「2つあったけど1つだけでも見つかってよかった」


今井くん・11歳・岩手県山田町・
行方不明の祖母が買ってくれたバスケットシューズ。12月の誕生日に祖母が買ってくれた限定カラーだ。「父ちゃんが水の中を歩いて取ってきてくれた。たくさん練習する」

昆さん・39歳・岩手県野田村・
財布に入れている祖母の写真。山田町にある自宅は流され、祖母も亡くなった。写真は、祖母宅のがれき撤去中に自衛隊員が手渡してくれた。「遊びに行くといつもジュースをくれました」

阿部くん・8歳・岩手県大槌町・
泥の中から見つけた自転車。昨年8月に引っ越して来た時に親戚からもらった。自宅の裏に流されているのを自分で見つけた。「スケボーと迷ったけど、自転車にする」


岡本さん・11歳(右)
と弟の崇凱(しゅうが)くん・9歳・岩手県大槌町・

愛犬「ググ(左)とピース」。母親と一緒に車に乗っていたとき、津波が来ると聞いた。自宅に戻り、二匹を抱き上げた瞬間、津波に襲われ、家ごと流された

佐藤さん・72歳・岩手県陸前高田市・
土砂の中から見つけた日本舞踊の扇子。子供のころから続け、教室も開いていた。「塩水につかって踊りには使えないけど、大事にしまっておく」


佐藤さん・15歳(右)と
妹の鮎美さん・12歳・岩手県大槌町・

卒業アルバム。祖父と自宅をなくした。家にあったものはすべて流されたが、倉庫にあったひかるさんの卒業アルバムは無事だった。鮎美さんのアルバムは震災後、卒業した小学校でもらったもの


(左から)輪田さん・13歳、
柳沢さん・13歳、
金沢さん・14歳・岩手県宮古市・

野球道具。家も勉強道具もすべて流されたが、学校においていた野球道具だけは助かった。中学校で同じ野球部に所属している

内山・・ちゃん・4歳・岩手県大槌町・
おもちゃ。津波ですべて流されてしまい、何もなくなった。震災後、避難所となった学校でもらったおもちゃ「ひらがなおぼえちゃおう!」を手に、「スイッチきっとかないと電池なくなっちゃうのよ」


佐々木くん・7歳・岩手県宮古市・
車のおもちゃ。「避難所でみんなと一緒に遊んでいるんだ」と笑顔を見せた

(左から)長峰・・さん・11歳、
野田・・さん・13歳、
長峰・・さん・9歳・岩手県大槌町・

「ゲーム機とカード」。泥で汚れたカードもあるが、避難所で仲良く遊んでいた


三浦くん・4歳・岩手県大槌町・
ポケモンの指人形とお母さん。家族で避難所暮らしをしている。「面白くてやさしいお母さんが大好き」と照れながら話してくれた

曽根さん・7歳・岩手県大槌町・
卒園証書。自宅を失い、いとこが行方不明。今春小学校に入学するためのランドセルもなくなったが、卒園証書は残った


本田さん・74歳・岩手県宮古市・
孫。「仏壇だけでも出てきて欲しい。何もなくなった今、宝物は孫だけだ」


前田くん・3歳・岩手県宮古市・
財布。津波で自宅とすべての持ちものを流された。震災後、祖母に買ってもらった財布を大事そうに見せてくれた


佐可野さん・12歳・岩手県宮古市・
プリクラ。「大切な友達と一緒に撮ったものだから」。しかし、4人のクラスメイトのうち2人が転校してしまうという。彼女は避難所で暮らしている

※宝物の写真は、こちら→http://mainichi.jp/select/jiken/graph/takaramono/1.html
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