ワニなつノート

小夜さんの最新ことば(その4)


小夜さんの最新ことば(その4)


【東京にE学園という知的障害の特別支援学校があります。
……高等部のみで、難しい入学試験で生徒を選んでとるような、ここもそのひとつ。特別ですから成果をあげなければいけない。


100パーセントをめざすと宣伝していて、こどもはほんとうにたいへんです。


就職率2005年にこの学校ができて最初の卒業生に、私の知っている子がいます。

小中学校は普通学校に行ったんですが、就職できるからと担任の先生にすすめられてE学園に行きました。


卒業して、ゆうちょ銀行の子会社に就職したんだけど、銀行の窓口で配られている宣伝パンフレット、その袋入れが仕事です。

袋があって、パンフレットを入れて、粗品の飴を入れて、封をする。

単純な仕事でしょう? でもいわれるとおりにしなきゃいけない。効率よくこなす工夫もしてはいけない。

「障害者が指示どおりまじめに働いているところ」を見せなきゃいけないわけ。


賃金も人並み、寮もある、保険もある。親としてはなにも文句はない。…。

だけど、つまんないわけだ。人間だもの、なにかしたいのよ。


もしかしたら、小学校からずっと支援学校に行っていればそれほど疑問に思わないで、耐えられたかもしれない。

だけど彼女には耐えられない。

耐えられないところは、ほめたいと思うね。


大きい会社は法定雇用率を満たすために、障害者を雇用しなければなりませんが、普通にいてはじゃまなものだから、障害者だけを集めた子会社をつくる。

こうやって、結局分けられてしまうんです。】


(「ちいさい、おおきい、よわい、つよい」118号)


         ◇



「こどもはほんとうにたいへんです」


「だけど、つまんないわけだ。
人間だもの、なにかしたいのよ。」


「耐えられないところは、ほめたいと思うね」



 ここは、小夜さんの声でちゃんと聞こえるから不思議だ。

小夜さんだけの「ことば」だからだと思う。

私が、暗記してどこかで使っても、同じ言葉を発音しても、伝わるものがちがうんだろうな。



ちなみに、文中の高等部の話から、以下の記事を思い出した。


                ◇


特別支援学校、熱中症で生徒重体 
教員が10キロ走指示


8/25(金) 朝日新聞

 知的障害特別支援学校の東京都立永福学園(杉並区)で23日、高等部1年の男子生徒(15)がバスケットボール部の部活動中に、熱中症のため救急搬送されたことが分かった。

都教育委員会によると、生徒は意識不明の重体。

顧問教員からペナルティーとして屋外で約10キロのランニングを指示され、走っていた最中に発症したという。



               ◇



「こどもはほんとうにたいへんです」


「だけど、つまんないわけだ。
人間だもの、なにかしたいのよ。」


「耐えられないところは、ほめたいと思うね」
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「分けられること」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事