ワニなつノート

《分からないことが面白い》



《分からないことが面白い》




3年くらい前、「分からないことが楽しい」という言葉を聞いた。
5年生の女の子の言葉。

彼女には障害があり、ふつう学級に通っている。
5年生になって勉強はどんどん難しくなる。

ある日、母親が学校は楽しい?と聞いてみた。
「うん、楽しいよ」という返事。

何の時間が楽しい?と、重ねて聞く。
国語とか社会とか、教科の名前があがる。

母親は、休み時間とか音楽とか、そんな答えを予想していたので、ちょっと意外な気がした。
どんなところが?と聞いてみる。

「分からないことが楽しい」


      ◇

その話を聞いて私はいろいろ思った。

自分の「分からないこと」を先生が教えてくれること。

「分からないこと、新しい知識」を仲間と学んでいくこと。

テストの点数や通知表の評価とは別の、学ぶ楽しさ、学ぶ居心地のよさ。

「分からないことを学ぶ」ことと、「難しいことはどうせ理解できないとみなされること」の違い。

そんなことを考えてみたりした。

       ◇


先日、クレージージャーニーという番組で、同じ言葉を聞いた。

「分からないことがかなりあります。これが面白いんですよね。」

テレビを見ながら、さきちゃんと同じ言葉だと思って、メモした。

あとから、メモを眺めているうち、そこには私が考えてきたことより、もっと豊かな世界観があるように思えてきた。


《クレージージャーニー TBS》

世界を股にかける「水族館の仕掛け人」、石垣幸二さん。

子どものころ、毎日のように海に潜って釣りをして海で遊んでいて、それが楽しくてしょうがなくて、これだったら飽きることがないだろうから、そうだ「海の専門家」になろう、と思った。

世界中の水族館からオーダーを受けて、それを自分で捕まえ、生きた状態で水族館に送る仕事。
いまは、水族館の館長もやっている。

番組の中で、珍しい深海魚の説明をしながら、深海生物が「いまだに何を食うのか、どこがどういうメカニズムで発光するのか、そういった分からないことがかなりあります。これが面白いんですよね。」と嬉しそうに笑った。

「目の前のある海のほとんどが《深海》なのに、深海にいる生き物のこと、全然分かんないわけ。しかも未だに色んなもの出てくるでしょ。こんな面白いものないですよね」


       ◇


「分からないことが面白い」

それは、「分からないこと」が、少しずつ「解明」されていくことが面白い、というのではなかった。

そこに、圧倒的に分からない未知の世界が広がっている、分からない世界の存在そのものにわくわくできる喜びのようなものを感じた。


そして、まさにその言葉通りの「未知の豊かな世界」を、学校という場所に感じている子どもたちがいるということ。

「分からない授業はかわいそう」という「貧しい言葉」とは、違う世界がここにある。
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