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侍道2P ~その3~

2013年01月13日 | 侍道2P


遊郭「天風」

天原の中央にあり、天原を代表する建物。
十両ポッキリ(江戸時代と仮定して現在で言うと100万円くらい)という、
驚くべき値段の大人の遊び場。

ピンク影:「ボッタクリもいいとこだなぁ」

そんなことを思いながらやってきたピンク影。
表で男と筆談をしていた少女はピンク影に気がついたようで、
嬉しそうにかけよってきた。



少女:「あううー」

ピンク影:「おお、さっきの娘か」

すると筆談していた男がピンク影に話しかけてきたのだ。



男:「あんたがヤクザに襲われているところを、この子に助けられたという侍か」

ピンク影」:「それは違うぞ。私は忍者だ」

男:「否定するとこ、そこかよ!
   てか、いきなりバラすのかよ。忍べよ」



男:「すまんな。この子はしゃべることも字を書くこともできないから、
   絵での筆談になってしまう。それでは正確な状況はわからん。
   どうやら、話は逆で、この子がヤクザに絡まれていたところを、
   あんたに助けられたらしいな。助かったよ」

ピンク影:「なぁに、あんなやつら屁でもない」



団八:「俺の名前は団八。この遊郭の万事を引き受けている」

ピンク影:(パシリか……)

団八:「あんた、今、パシリって思ったろ?」

ピンク影:「おおお、思ってないよ。ぜ、全然、思ってないよ。」

すると……



女の声:「団八。あの子は戻ってきたのですか?」

中から一人の遊女が出てきた。



女の声:「お使いは終わったのですか?玄庵先生からお薬をもらってくる約束だったでしょう?」

少女は首を横に振った。



女の声:「なにをやっているの。あなたは!すぐに行って来なさい」



団八:「舞風。ちょっと待ってやってくれないか」

この遊女の名前は舞風。
この遊郭「天風」のナンバー1遊女である。



団八:「どうやら、また昼飯を野良猫にやっちまったらしくて、何も食べてないみたいなんだ」

ピンク影:「それはいかんな。『腹が減っては玄庵先生のところにお使いにいけぬ』という言葉もあるしな」

団八:「なんでそんなピンポイントなんだよ」

舞風:「働かざるもの食うべからず。それがこの天原の掟でしょう。
    役立たずを養う余裕など、私達にはないのですよ。
    それに野良猫にやろうと、自分で食べようと、それはその子の勝手ではないですか」

少女は慌てて町外れのほうへかけていった。



舞風:「あなたもタダでここに置いてもらおうなんて思っているのなら、虫のよすぎる話ですよ」

ピンク影:「そんなこと、思ってないよ。必要になったら忍び込めばいいだけだし」

舞風:「……」

舞風はあきれた様子で中へと戻っていった。

団八:「あの子を助けてくれたお礼だ。
    ここに置いてやるわけにはいかないが、別の場所に部屋は用意してやる。
    しかし、あんた、天原になんのようで来たんだ?」

ピンク影:「私はスタミナ山の奥地にある秘密の忍者の里から、
      この街で流行っている素魔という危ないクスリを探りにやってきた。
      人々を混乱させぬように、忍者として暗躍し、
      街の人に悟られぬよう秘密裏に解決するのが、この私の役目だ。
      ま、この私をもってすればあっという間に解決してみせるがね」

団八:「もう、いきなりベラベラとしゃべってるわけだが……。
    とりあえず、アンタがバカってことは分かった」



団八:「この長屋の部屋を使ってくれ。一応、掃除だけしておくから、
    その間、ぶらっと町でも見て回ったらどうだ。
    ついでに、あの子の様子も見てきてくれると助かるが……」

ピンク影:「町外れの医者のところに薬をもらいにいくとか言ってたな。
      まぁ、気が向いたらいってやろう」



第4話につづく
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