フランシス・ノーラン氏の証言により、調査する必要がある場所がいくつかあがった。その前にひとつ気になったことがある。可哀想なレストレードは、なぜ凶器の拳銃を「ノーラン嬢のものに間違いない」と断定しているのだろうか。無駄足かもしれないが、いちおうスコットランドヤード(13SW)へも寄っていこう。
「この事件を調査するなんて、時間のむだだね」
われわれの質問にうんざりしたレストレード警部は、めんどくさそうにいった。
「いいかね、フランシス・ノーランはクラレンドンがハリデイ特約ホテルに泊まっていることすら知らなかったと供述している。にもかかわらずだ、彼女は迷いもせずまっすぐにクラレンドンの部屋に向かっている。そして、いきなりデリンジャーをぶっぱなしたんだ。犯行に使用したピストルをS・ゴフという銃砲店で買ったことは、彼女が持っていた領収書から判明している。ホテルの部屋で発見されたクラレンドンの死体には、ちゃんと小口径のピストルによって撃たれた跡があった。どう考えたって彼女の犯行にまちがいない」
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