乱鳥の書きなぐり

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テレビをみて芝居を思う【くまもとの“風”-ふるさとからあなたへ▽本日旗揚げ!玄海劇団~産山村の段】

2009年10月30日 | 舞台・音楽 雑感メモ


   くまもとの“風”-ふるさとからあなたへ▽本日旗揚げ!玄海劇団~産山村の段




 昨日、興味深いテレビを見た。

 人口1700人の村、産山村の人たちがこの夏、「玄海劇団」を結成したという。

 ◯衆演劇役者である玄海竜二が 演劇経験の無い熊本の産山村民13人を集め、産山村で芝居をやってのけるといった試みの番組であった。

 玄海竜二という役者は5、6年前にもテレビで芝居を見た事があった。

 妻子をうまく芝居に入れた結構技術の高い演技力の旅役者に感心し、名だけは覚えていた。


 玄海竜二の指導のもと、一ヶ月の練習は行われた。

 初めての演技とあって、村人は真剣な面持ち。それにも増して座長を務める玄海竜二の額の汗は真剣そのものだった。


 玄海竜二は色々な事柄を短い番組の中で語られていた。

 演じるといった姿勢の、根本的に大切な事柄を話されていたように感じる。

 大きな舞台とはまた違った小芝居における肌で感じた感覚と理念は、彼の旅役者としての指針なのかもしれない。


 以前、年老いた旅役者から,芝居の稽古について詳しくお聴きした事がある。

  練習はすわったまま

  小1時間もかからない

  台本はない

  口伝えで教え,覚える。

  見よう見まねで覚えている

  芝居が始まると体が覚えていて次々と台詞が出てくる

 (他、多くの練習風景についてお聴きしたが、ここでは省かせていただきます)

などであった。

 同じ◯衆演劇という芝居であったも、劇団や座長の取り組みにより色々な練習法はあるのだろうとは思う。


 今回のくまもとの“風”-ふるさとからあなたへ▽本日旗揚げ!玄海劇団~産山村の段の映像でも、練習風景は30分。

 筋書きを持った指導者のような人がおおむねの話の展開を話す。

 玄海劇団はそれを理解し、後はアドリブに任せるという。

 ただ、映像では玄海劇団を村人が熊本のどこかのセンターに見に行くという設定。

 村人が楽屋を訪れ、練習風景を見ている。

 テレビでは指導者のような人が玄海劇団だけに稽古を付けるといった場面を村人たちが見ていた。

 そこには他の座員の姿はなかった。

 これがテレビの問題点だ。あり得ない事をまことしやかに放映。

 玄海劇団と村人の真剣さまでもが色あせてしまう。

 
 演劇は無事終了。

 2、3の玄海劇団員に支えられ、村人は真剣な面持ちで演じたれていた。

 観客の涙のこぼれる目。私は、村人の演じ手に関わる まわりの人々の感無量な表情に心うたれた。


 玄海劇団の最後の言葉、
「芝居はここまでにして下さいよ。また、明日から 生キャラメルを作って下さい。」
に暖かさと愛情を感じ、また重く感じた。

 玄海劇団は村人の今後の行く末を案じ、いち早く的確な言葉をのべたのだろう。

 流石、プロの旅役者座長だと感じた。


 そう、芝居は難しい。

 難しい芝居を芝居4倍で演じる舞台を、私はこれからも愛し続けるだろう。



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