乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

日記 七月大カブキ

2006年04月27日 | 歌舞伎
日記



 記憶をたどって。

 最近の物だけ記録する。


 





  七月大カブキ

       ナカムラカンザブロウ  
         



                         2005/07 夜の部 観劇






 ニザエモンさんはいつ観てもカッコ良い。

 ぽわ~~ん!!




 

 【演目】

 1) ミヤジマのだんまり

 2) 大津エドミョウ寺

 3) ノダバン トギタツノウタレ

 


 これでもかこれでもかの豪華キャスト。

 こと『ミヤジマのだんまりのだんまり』に関してはニザエモンも・・・

 価値のある演目と舞台であった。






 印象的だったのはなんと言っても


       『ノダバン トギタツノウタレ』



 現代劇或いは小芝居にも通じる。

 この芝居は、ナカムラカンザブロウさんのよさを充分に味わえる。

 彼の場合、こういった彼の特徴をうまく引き出せる芝居が好き。

 ナカムラカンザブロウさんは観客を楽しませるプロ中のプロ。

 観た後は満足感で、会場を出た観客は皆、ニコニコと笑顔が多いのが特徴。

 観るにつけ、ナカムラカンザブロウさんのよさが心にずしりと染み渡り、だんだんと好きになってくる。





 例えば二〇〇五年十月の『白波・・・』

 この演目ではナカムラカンザブロウさんがベンテン小僧だった。

 カンザブロウさんのベンテン小僧はキクゴロウさんやキクノスケさんとは違った味わいがあるが、カンザブロウさんもなかなかのもの。

 少し泥臭さがあって、面白い。

 では、ベンテン小僧はどちらの演じ方が好きだったか?





 私の場合は・・・内緒です。

 私はキクノスケさんとはさんもカンザブロウさんも好きですから(笑)
 






『ノダバン トギタツノウタレ』は始終安心して楽しむことができた。

 演劇としても充分楽しむことができ、若い方やkabukiが始めての方にも他の演劇と同様に楽しめるように思う。

 それがノダさんやカンザブロウ さん、強いてはショウチク株式会社の狙いでもあり、良い意味で、カブキ界の将来にかなりの影響があると思う。

 若手のソメゴロウさんやカンタロウさん、シチノスケさんの魅力は若い観客の集客力の手助けとなろう。

 私の場合は、あの素敵なヤジュウロウさんが観られれば幸せ。

 素敵な役者さんがいっぱいで、幸せ感と満足感の味わえるバランスの良い舞台。



 この舞台は途中で八,九十年年頃流行したの大掛かりな回り立体舞台が出てきて懐かしい。



 宿屋で急にトギタツがもて始めるが、紅い腰巻を輪にして、首にかけられるシーンは色っぽい。

 婉曲なる表現の美学は、kabukiでは良く使われる手法である。



 最後のどんでん返しは、見事。

 ひらりと舞い落ちるもみじは、トギタツの横たわったからだの上に・・・

 バックももみじの赤。

 この芝居は、赤を見事にまで表現している。




 今までで赤を見事に表現した映画を一作品、紹介したい。

『イン・モラル物語』

 この映画は結構・・・な部分が多いが、けして・・・ばかりには終わってはいない。

 色といい構図、筋などどれをとっても重厚で、芸術的ともいえる。

 素敵な映画の一つでありこの映画も赤の使い方がうまい。

 カブキでは『ヤグチノワタシ』や『ホンチョウ24シコウ』、『ヤグラノオシチ』などの、多くの赤が好きである。




 

 一般的に赤は血潮を思わせる。

 そのもみじがまた一つ舞い落ちる。

 誰ももみじが今人地舞い落ちたことなど、気にも留めてはいない。

 何事もなかったように、今までと変わらず時は流れる。

 なんと哲学的な芝居なのだろう・・・







 【kanzabu郎の芝居は楽しめ、厚みが魅力】




 芝居の世界では、『芝居四倍』といわれている。

 オーバージェスチャーが今流行ではない中、彼はあえて六倍であり七・八倍の大げさな仕草で芝居に挑む。

 脚本と演出、kanzabu郎さんの演じ方は一体化され、見事に私たちを楽しませる。

 彼はよくあれだけ色々な芝居を研究したものだと感心するばかり。

 



 台詞の口調をわざと崩し、一般演劇風の親しみやすさを取り入れて、kabukiに一風を巻き起こす勢いで頼もしい。

 ご子息においては、基本に忠実。

 若い間はアカデミックな芝居を手がけておられるように思われる。

 今、お二人は真正面から取り組んでおられ、その姿にはとても好感が持てた。

 もちろんソメゴロウさんも同様。

 頑張る姿はすがすがしい。






 先代のkannzabu郎さんは奴舞が上手かった。

 こと『奴風の踊り』に関しては、文句のつけようがないくらいに好きだった。


 ナカムラカンザブロウ はカブキを平たくして 世に広めたという点において、惜しまぬ拍手を送りたい。


 芝居においても世の中にあわせての流動性がある。

 これからはニーズに合わせて、色々なカブキがあっても良いのだろう。

 理論の上滑りは別として、カブキ知らずのカブキファンとしては、堅苦しいくらいの古典カブキも残していただきたい。

 芝居の『S』も何もわからず、手探りでミナミ座に通った子ども時代の小生。

 番付を読んでのあたふたしていて、ただただソメゴロウ(現コウシロウ)とタカオ(現ニザエモン)目当てで、芝居を観ていたような過去の小生が懐かしい。

 末等席が映画の二,三百円上乗せでカブキが楽しめた。

 何もわからず観ていた芝居は、今にして思えば、今よりも純粋に楽しめた気がしてならない。

 今にして思えば、悲しき事実である。
 




 カブキは娯楽である。

 もう少し開かれた気軽さが加われば、もっと観客の年齢層は若返るかもしれない。

 昔のカブキの氷河期を思い出して、『ジーパンで気軽にどうぞ』感を再度よみがえらせることが必要ではないか。

 こういった課題が、カブキが世界文化遺産に指定された今、大切だと痛感する。

 

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