
bookoffで100円で購入。
立花隆さんの「宇宙を語る〈2〉人類と宇宙の未来」中公文庫(2007/10)
対談相手がすごい!
アーサー・C・クラーク、松井孝典、河合隼雄、司馬遼太郎。
河合先生とも対談していたので、即購入!
気に入ったところを抜書き。
■「第1章 宇宙の未来」のアーサー・C・クラーク
「宇宙開発の実現はアーサー・C・クラークの小説を模倣する」と言われるほど、未来を予見したSF小説を書いています。
通信衛星のアイデアを論文で発表して、実はそれがノーベル賞候補になったことおある。
それ以外にも、スペースガード構想、通信衛星、宇宙エレベーター、未来ロケット、ゼロポイントエネルギー・・・色々なアイディアが泉のように。
やはり、人間の想像力を追いかけるように科学は発展するんですね。
・何のためにわれわれは宇宙に行くのか
・1903年にライト兄弟が空を飛んだ。ただ、誰も信じず、そのあと5年間!、記者は取材にもいかなかった。
・生物の歴史において、遺伝子的な欠陥こそが個体の多様性を生むという事実がある.
-----------------------------
生理学者ホールデン
宇宙の謎は、私たちの想像を超えているだけではない。私たちが想像することのできる範囲を超えているのだ。
-----------------------------
地球外生命は物質の形をとらない存在という考え方もできるんです。それは精神的、もしくは宗教的存在なのかもしれません。
-----------------------------
-----------------------------
アメリカとロシアの宇宙飛行士の発言で共通しているのが、
宇宙から地球を見るとどこにも国境なんて見えないということ、
地球は宇宙ではひ弱な存在であり、人類が少しでも誤った道を選択するとこの星は死んでしまうことがすぐに分かる、ということ。です。
-----------------------------
人類が宇宙開発にかけたコストは、宇宙に浮かぶ地球の写真一枚をもたらしただけでも十分価値あるものだったと思っています。
-----------------------------
我々の肉体は元をたどれば、星が死に、超新星爆発が起こって宇宙に散らばった物質が、長い時間をかけて組み合わさってできたものです。
ですから、我々は文字通りのスター・チャイルドであるということもできるでしょう。
-----------------------------
■「第2章 人類は、いつ火星へ行くのか」松井孝典
松井孝典さんは惑星物理学の教授です。
岩波現代文庫の「宇宙誌」など、いろんないい本書かれています。
・僕は神の存在は意識しないけれど、その仕組みの見事さというか、合理性というか、その過程が非常にきれいだというところに、つねに感動していた。
・人類が地球から別の天体に行くと言うのは、陸に出た生命の進化の必然であって、人類は宇宙を認識するために生まれてきたのではないかとも思ってるわけです。
自分も、自然の法則、宇宙の法則、という、この仕組みそのものにいつも感動しています。
この自然界の調和というのは、なんとも言えない絶妙にして完璧なものがあります。
人間の生き死にも、この大自然の調和の世界の中での大河の一滴なんだと思いますし。
■「第3章 神々との未知なる遭遇」河合隼雄
ユング心理学を日本に導入した河合大先生。
河合先生の言葉からは常にインスピレーションをもらう。すばらしい。
-----------------------------
僕は霊能者というのを、無意識の深い世界とうまくコンタクトできる人、と考えれば、それほど不思議な存在ではないと思うんですね。
-----------------------------
しかし一方で、そういう風に意識状態を変えていくと、精神病の世界にも非常に近いわけですから、相当混乱してしまう人もいます。
-----------------------------
拝み屋さんは途方もないイメージは出てくるけれど、それで設計図はかけないわけでしょう。
そのイメージをぱっとファクトに結び付けたら、これは迷信になります。
また、偽の拝み屋さんほど、そういうファクトに結びつくようなことを言うわけです。
-----------------------------
人間と言うのは非常に弱いものだから、そういう人たちの周りにファクトを積み重ねて、あの人はかみさまだとか、あの人の言う事は間違いないというものをつくりあげていく。
そしてまったく変なものができてしまうということがすごく多いんですね。
-----------------------------
近代の科学は心と体をはっきり分けたから成立した。それは大したことだったと思うんです。
分けたからこそこれだけ体のことがよくわかって近代医学が進んでいろんな人が助かった。これは事実です。心と体を分けたからこそ、治療と結果に因果関係が成立した。
手かざしで治る人がいることも事実です。僕は否定しないし一面では真理かもしれないけど、それを自然科学と同じような法則にしたら間違いです。
新興宗教が、医者が治せなかった病気を治すのも、病気の種類がもともとそっちなんです。
近代医学がとり扱えない病気はあって、それを宗教が治すこともある。
ただ、それは残念ながら因果的に言うことはできないと僕は思うんです。
-----------------------------
治ったこととその宗教の教義が正しいかということは全く別の問題です。そのことをきっちり認識しておく必要があります。
宗教の力で病気が劇的に治ることもありますが、それは何の証明にもならないと考えた方がいいんじゃないでしょうか。
-----------------------------
ヨーロッパやアメリカは自己を確立して獲得して展開していくという若い、しかも男性の宗教なんですよね。
ところが、東洋の方はどうして死ぬかということが根本だから、年寄りの宗教です。
-----------------------------
宇宙の対談のはずが、現代科学全般の話になっていた。
その流れで、治療や治癒に関する話題に逸れる。
でも、それは自分が一番興味を持っているところなので興味深く読んだ。
この辺りをもっと深める仕事を、河合先生からは引き継ぎたいなぁ。
現代科学や最先端医学と、宗教やスピリチュアルや神話や民俗学や詩が扱っていたものとの融合。
そんな日がきっと来るでしょう。偏見を持たず、日々勉強です。
■「第4章 宇宙飛行士と空海」司馬遼太郎
-----------------------------
宇宙体験の与えたインパクトは、思弁的なものではなく肉体的な直接体験に根差したものだった。
観念の領域ではなく、生理的、感覚的な体験が精神にインパクトを与えたのです。
-----------------------------
宗教と言うのはその土地においては本質的にすごく土俗的なものなんですね。
ところが、よそに伝わるときに、土俗的要素が洗い流されて、洗練され、抽象化され、純化される。
-----------------------------
密教の核心的な部分は、「私が神だ」なんです。
宇宙原理(大日如来)と一体になるわけですから。
空海が人でありながら神とされるのは、イスラムのスーフィズムに似ているかもしれません。
-----------------------------
宇宙飛行士のアーウィンが、自分たちの宇宙で得た認識というのは宇宙にいかなくては得られないというものではなくて、高い山の上に登ったって得られるはずだ、と言っています。
空海の室戸岬や大滝獄の体験も同じようなものかもしれませんね。
空海の場合は感覚として宇宙旅行しきった人かもしれません。
-----------------------------
-----------------------------
華厳経での毘盧遮那仏というのは絶対の真理で、その真理は砕かれて、しかもあまねく満ちていて、それが月下の浅茅が原にあっては露が無数に輝いている。
それが伊勢物語で元来は小便であったものが宇宙ホタルに見えた、華厳経の世界ですね。
-----------------------------
エドガー・ミッテェルが、宇宙体験の中でいろんなスピリチュアルなインパクトを受けたという。
その中で何がもっともインパクトを与えたかと聞いたら、即答で「地球を見たことだ」と言いました。
-----------------------------
アイズリという宇宙飛行士は、宇宙体験の後、自分の持っているエネルギーを向ける方向が全然違ったものになったと言っています。
かつて自分は野心的な人間であったけれども、今は自分のアンビション(野心)にエネルギーを割こうと全く思わなくなった、と。
自分の家庭や自分自身の心に、自分のエネルギーは割かれるべきだと思って生活していると言っています。
中国の宋の時代にも、寒山・拾得のように、雑役夫として大悟してしまう人がいる。
-----------------------------
やっぱり人間と言うのは、自分の身をもってする体験というのは、これほど意味が違うのかという感じがありますね。
-----------------------------
自分の人生は自分の人生。だれのものでもない。
いろんな他人の情報や偏見など、脳内での情報処理に惑わされず、身体感覚や体験を大事にしたいものです。
もちろん、なんでもバランス感覚が大事です。
あまりに体験重視になると、神秘体験や超常現象に引きずられ過ぎて危ないわけですが・・。
それにしても、
宇宙の映像はほんとうに美しいですよね。
宇宙の図鑑は、よく眺めてます。宇宙の映像を見ていると和みます。
⇒Astronomy Picture of the Day (NASA)
〇ビジュアル ハッブル望遠鏡が見た宇宙 [コンパクト版] デビッド・デボーキン他 (2011/7/11)
〇ハッブル宇宙望遠鏡によるビジュアル宇宙図鑑―詳細画像でわかる宇宙の姿 沼澤 茂美、 脇屋 奈々代 (2010/10)
〇ハッブル望遠鏡でのぞく 宇宙の神秘DVD BOOK (宝島MOOK) [大型本]


この辺もお奨めです。
ふと外に出て空を見上げると、この視線の先は直接宇宙につながっていて、さらに向こうには宇宙の果てまでつながっているかと考えると、不思議なものですよね。
呼吸して息を吐いても、言葉を発しても、自分から発されたそのわずかな影響が、宇宙へと何かしら伝わっているのだと思うと、さらに不思議なものです。
立花隆さんの「宇宙を語る〈2〉人類と宇宙の未来」中公文庫(2007/10)
対談相手がすごい!
アーサー・C・クラーク、松井孝典、河合隼雄、司馬遼太郎。
河合先生とも対談していたので、即購入!
気に入ったところを抜書き。
■「第1章 宇宙の未来」のアーサー・C・クラーク
「宇宙開発の実現はアーサー・C・クラークの小説を模倣する」と言われるほど、未来を予見したSF小説を書いています。
通信衛星のアイデアを論文で発表して、実はそれがノーベル賞候補になったことおある。
それ以外にも、スペースガード構想、通信衛星、宇宙エレベーター、未来ロケット、ゼロポイントエネルギー・・・色々なアイディアが泉のように。
やはり、人間の想像力を追いかけるように科学は発展するんですね。
・何のためにわれわれは宇宙に行くのか
・1903年にライト兄弟が空を飛んだ。ただ、誰も信じず、そのあと5年間!、記者は取材にもいかなかった。
・生物の歴史において、遺伝子的な欠陥こそが個体の多様性を生むという事実がある.
-----------------------------
生理学者ホールデン
宇宙の謎は、私たちの想像を超えているだけではない。私たちが想像することのできる範囲を超えているのだ。
-----------------------------
地球外生命は物質の形をとらない存在という考え方もできるんです。それは精神的、もしくは宗教的存在なのかもしれません。
-----------------------------
-----------------------------
アメリカとロシアの宇宙飛行士の発言で共通しているのが、
宇宙から地球を見るとどこにも国境なんて見えないということ、
地球は宇宙ではひ弱な存在であり、人類が少しでも誤った道を選択するとこの星は死んでしまうことがすぐに分かる、ということ。です。
-----------------------------
人類が宇宙開発にかけたコストは、宇宙に浮かぶ地球の写真一枚をもたらしただけでも十分価値あるものだったと思っています。
-----------------------------
我々の肉体は元をたどれば、星が死に、超新星爆発が起こって宇宙に散らばった物質が、長い時間をかけて組み合わさってできたものです。
ですから、我々は文字通りのスター・チャイルドであるということもできるでしょう。
-----------------------------
■「第2章 人類は、いつ火星へ行くのか」松井孝典
松井孝典さんは惑星物理学の教授です。
岩波現代文庫の「宇宙誌」など、いろんないい本書かれています。
・僕は神の存在は意識しないけれど、その仕組みの見事さというか、合理性というか、その過程が非常にきれいだというところに、つねに感動していた。
・人類が地球から別の天体に行くと言うのは、陸に出た生命の進化の必然であって、人類は宇宙を認識するために生まれてきたのではないかとも思ってるわけです。
自分も、自然の法則、宇宙の法則、という、この仕組みそのものにいつも感動しています。
この自然界の調和というのは、なんとも言えない絶妙にして完璧なものがあります。
人間の生き死にも、この大自然の調和の世界の中での大河の一滴なんだと思いますし。
■「第3章 神々との未知なる遭遇」河合隼雄
ユング心理学を日本に導入した河合大先生。
河合先生の言葉からは常にインスピレーションをもらう。すばらしい。
-----------------------------
僕は霊能者というのを、無意識の深い世界とうまくコンタクトできる人、と考えれば、それほど不思議な存在ではないと思うんですね。
-----------------------------
しかし一方で、そういう風に意識状態を変えていくと、精神病の世界にも非常に近いわけですから、相当混乱してしまう人もいます。
-----------------------------
拝み屋さんは途方もないイメージは出てくるけれど、それで設計図はかけないわけでしょう。
そのイメージをぱっとファクトに結び付けたら、これは迷信になります。
また、偽の拝み屋さんほど、そういうファクトに結びつくようなことを言うわけです。
-----------------------------
人間と言うのは非常に弱いものだから、そういう人たちの周りにファクトを積み重ねて、あの人はかみさまだとか、あの人の言う事は間違いないというものをつくりあげていく。
そしてまったく変なものができてしまうということがすごく多いんですね。
-----------------------------
近代の科学は心と体をはっきり分けたから成立した。それは大したことだったと思うんです。
分けたからこそこれだけ体のことがよくわかって近代医学が進んでいろんな人が助かった。これは事実です。心と体を分けたからこそ、治療と結果に因果関係が成立した。
手かざしで治る人がいることも事実です。僕は否定しないし一面では真理かもしれないけど、それを自然科学と同じような法則にしたら間違いです。
新興宗教が、医者が治せなかった病気を治すのも、病気の種類がもともとそっちなんです。
近代医学がとり扱えない病気はあって、それを宗教が治すこともある。
ただ、それは残念ながら因果的に言うことはできないと僕は思うんです。
-----------------------------
治ったこととその宗教の教義が正しいかということは全く別の問題です。そのことをきっちり認識しておく必要があります。
宗教の力で病気が劇的に治ることもありますが、それは何の証明にもならないと考えた方がいいんじゃないでしょうか。
-----------------------------
ヨーロッパやアメリカは自己を確立して獲得して展開していくという若い、しかも男性の宗教なんですよね。
ところが、東洋の方はどうして死ぬかということが根本だから、年寄りの宗教です。
-----------------------------
宇宙の対談のはずが、現代科学全般の話になっていた。
その流れで、治療や治癒に関する話題に逸れる。
でも、それは自分が一番興味を持っているところなので興味深く読んだ。
この辺りをもっと深める仕事を、河合先生からは引き継ぎたいなぁ。
現代科学や最先端医学と、宗教やスピリチュアルや神話や民俗学や詩が扱っていたものとの融合。
そんな日がきっと来るでしょう。偏見を持たず、日々勉強です。
■「第4章 宇宙飛行士と空海」司馬遼太郎
-----------------------------
宇宙体験の与えたインパクトは、思弁的なものではなく肉体的な直接体験に根差したものだった。
観念の領域ではなく、生理的、感覚的な体験が精神にインパクトを与えたのです。
-----------------------------
宗教と言うのはその土地においては本質的にすごく土俗的なものなんですね。
ところが、よそに伝わるときに、土俗的要素が洗い流されて、洗練され、抽象化され、純化される。
-----------------------------
密教の核心的な部分は、「私が神だ」なんです。
宇宙原理(大日如来)と一体になるわけですから。
空海が人でありながら神とされるのは、イスラムのスーフィズムに似ているかもしれません。
-----------------------------
宇宙飛行士のアーウィンが、自分たちの宇宙で得た認識というのは宇宙にいかなくては得られないというものではなくて、高い山の上に登ったって得られるはずだ、と言っています。
空海の室戸岬や大滝獄の体験も同じようなものかもしれませんね。
空海の場合は感覚として宇宙旅行しきった人かもしれません。
-----------------------------
-----------------------------
華厳経での毘盧遮那仏というのは絶対の真理で、その真理は砕かれて、しかもあまねく満ちていて、それが月下の浅茅が原にあっては露が無数に輝いている。
それが伊勢物語で元来は小便であったものが宇宙ホタルに見えた、華厳経の世界ですね。
-----------------------------
エドガー・ミッテェルが、宇宙体験の中でいろんなスピリチュアルなインパクトを受けたという。
その中で何がもっともインパクトを与えたかと聞いたら、即答で「地球を見たことだ」と言いました。
-----------------------------
アイズリという宇宙飛行士は、宇宙体験の後、自分の持っているエネルギーを向ける方向が全然違ったものになったと言っています。
かつて自分は野心的な人間であったけれども、今は自分のアンビション(野心)にエネルギーを割こうと全く思わなくなった、と。
自分の家庭や自分自身の心に、自分のエネルギーは割かれるべきだと思って生活していると言っています。
中国の宋の時代にも、寒山・拾得のように、雑役夫として大悟してしまう人がいる。
-----------------------------
やっぱり人間と言うのは、自分の身をもってする体験というのは、これほど意味が違うのかという感じがありますね。
-----------------------------
自分の人生は自分の人生。だれのものでもない。
いろんな他人の情報や偏見など、脳内での情報処理に惑わされず、身体感覚や体験を大事にしたいものです。
もちろん、なんでもバランス感覚が大事です。
あまりに体験重視になると、神秘体験や超常現象に引きずられ過ぎて危ないわけですが・・。
それにしても、
宇宙の映像はほんとうに美しいですよね。
宇宙の図鑑は、よく眺めてます。宇宙の映像を見ていると和みます。
⇒Astronomy Picture of the Day (NASA)
〇ビジュアル ハッブル望遠鏡が見た宇宙 [コンパクト版] デビッド・デボーキン他 (2011/7/11)
〇ハッブル宇宙望遠鏡によるビジュアル宇宙図鑑―詳細画像でわかる宇宙の姿 沼澤 茂美、 脇屋 奈々代 (2010/10)
〇ハッブル望遠鏡でのぞく 宇宙の神秘DVD BOOK (宝島MOOK) [大型本]


この辺もお奨めです。
ふと外に出て空を見上げると、この視線の先は直接宇宙につながっていて、さらに向こうには宇宙の果てまでつながっているかと考えると、不思議なものですよね。
呼吸して息を吐いても、言葉を発しても、自分から発されたそのわずかな影響が、宇宙へと何かしら伝わっているのだと思うと、さらに不思議なものです。