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日常

ブリヂストン美術館「アンフォルメルとは何か?」

2011-06-26 22:50:24 | 芸術
ブリヂストン美術館にて「アンフォルメルとは何か? —20世紀フランス絵画の挑戦」(2011年4月29日(金)〜2011年7月6日(水))を見てきた。

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第二次大戦後のパリで起こった前衛的絵画運動「アンフォルメル」。
フランス語で「非定形なるもの」を意味するこの言葉は、1950年に批評家ミシェル・タピエによって戦後のフランスに胎動する新たな非具象的な絵画として提唱されました。
これはフォートリエ、ヴォルス、デュビュッフェを先駆者として、ミショー、スーラージュといった作家たち、加えて当時パリにいたザオ・ウーキー、堂本尚郎、今井俊満などがこれにかかわりました。
彼らは、それまでの絵画の具象的、構成的、幾何学的なイメージを脱却し、理性では捉えられない意識下の心の状態から生み出されるものの表現を試みました。
戦後フランスにおいて、モネ、セザンヌ、ピカソを超えた新しい絵画の創造を目指した画家たちによる、約100点の作品をご紹介いたします。
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やっぱり、自分はこういう抽象絵画が好きみたい。
自分の中にある深い深いイメージの世界を見るような感じ。
起きながら夢を見ているような気になりますね。明晰夢のように。

この世界の中で、言語化できるのなんてごく限られてる。
ほとんどは混沌のまま。でも、その混沌の中から、すっと意識の光があたって、うまいコトバで掬いあげることができれば、それはある程度言語化できる。
でも、そんな風に言葉になることなんてほんの一部に過ぎなくて・・。


自分が日々生活していること。受け取る感情。思い。
そんなものは、99%以上が言語化されずに自分の井戸の奥底に沈んでいくものだと思う。


抽象絵画は面白い。
見えないものを見る力。イメージの力。
自分は、そういうものを信じている。

イメージの力があるからこそ、言葉が話せない人とも時間や空間を共有できる。
そこに、人間の可能性を見ている。


人の話を聞いていても、面白くない話というものがある。

それは、マスコミとか偏見とかきめつけとか噂話とか・・いろいろ加工編集されて原型がないイメージが根底にあるから、陳腐で画一的でつまらないのだと思う。
そんなものよりも、その人の人生の奥底から湧き出てくる話が面白い。
その人が実際に経験した感情や思いが根底にあると、どんな些細な話でも、その人が抱くイメージがすっと自分の中に立ち現れてくる。
だから、面白い。個別の人生からくる話は、だから何でも面白い。
そこにはその人がオリジナルで持つイメージの世界から沸き起こってくる言葉だから。
どんなに言葉足らずでも、ボキャブラリーがなかろうと、ドラマ性がなくても・・・そんなの全く関係ない。その人とイメージ世界を共有できる。

そんな目に見えないけれど共有しているイメージの世界にこそ、陳腐で退屈なお話と、奥深く味わい深い物語との違いがあるようだ。

見えないものを見る力。
それは、日々の会話の中でも常に現れてるのだと思う。
イメージを共有しているからこそ、相手に共感できるし、相手の痛みも楽しさも分かち合える。


画家から湧き起こるイメージの世界。
それをそのまま損なわずに描いた抽象画は、だからこそこちらへと非言語的に伝わるものだし、だからこそ面白いのだと思う。

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そして、ここに併設されている喫茶店(Tearoom Georgette(ジョルジェット))のスコーンは、相変わらずおいしかった。