日常

太陽の塔 生命の樹

2016-10-12 00:00:40 | 芸術
「太陽の塔」の内部が改修工事前のため10年ぶりの内部公開されたらしい。

「太陽の塔」10年ぶりの内部公開へ(The Huffington Post 2016年10月05日)


「太陽の塔」内部は自分も生で見てみたい。強く願う。
太陽の塔を空間として体感したい。ミクロの決死圏のように体内へ。
生き物には内臓にこそ本質がある。いのちを支えている部位だから。


ちなみに、太陽の塔には、輝く未来を象徴する頂部の「黄金の顔」、胴体には現在を象徴する「太陽の顔」、背面には過去を象徴した「黒い太陽」があり、さらに地下には「地底の太陽」もある。

そして、太陽の塔の内部は、岡本太郎により生命の進化の歴史が表現されていた。
生命の樹。

生命の木と言えば、漫画家諸星大二郎による歴史に残る名作もある。
「おらといっしょに ぱらいそさ いくだ!!」
(元は妖怪ハンターシリーズに入っていたが、<汝、神になれ鬼になれ―諸星大二郎自選短編集>にも再収録されている超名作。隠れキリシタンの信仰なども漫画のベースにある。)











岡本太郎は、美術史や文化史を生命史(生命誌)として捉えようとして、芸術の本質に迫っていた。
彼がパリの留学先で文化人類学を学んでいたり、日本でも東北や沖縄に行っていたのは、<原人間>のような視座から芸術を捉えていたことの表れでもある。




自分も、医療史を人類史や生命史の視座から捉えている。そうしないと、医療の本質にはたどりつけない。
ひとつ大きい枠組みで捉えてみないと、その全体像はいつまでも分からない。
いのちは<部分と全体>というものを前提として持っているからだ。

人類史や生命史の視点を持つことで、医療と芸術の接点も生まれる。
岡本太郎の肉体はなくなっているが、彼の深い思いは、色々な人が受け取っていて、いまでもそのいのちは生きていると、思う。
「太陽の塔」の中の映像は、まさに内臓のようで、植物性臓器の世界だと思う。
内部に、生命の流れとしての木が、天と地をつないでそびえたっている。


岡本太郎は尊敬している。
だからこそ、彼が求めていたものこそを、探し続けたい。

松尾芭蕉『許六離別の詞』
「古人の跡を求めず、古人の求めしところを求めよ」




==========
<太陽の塔>改修工事前に内部公開
毎日新聞 10月6日(木)
 大阪万博(1970年)のシンボルで故・岡本太郎氏が制作した「太陽の塔」(大阪府吹田市)の改修工事が今月末にも始まるのを前に、原則非公開となっている塔の内部が6日、報道陣に公開された。
 内部にある岡本氏作のオブジェ「生命の樹(き)」は取り付けられた模型の多くが散逸したが、工事に合わせて復元して当時の姿に近づける。約17億円をかけて耐震工事などを終えた後、2018年3月から常時公開が始まる見通し。



(以下、去年「太陽の塔」を見に行った時の写真です。よく晴れた日でした。何周も何周もして、いろんな角度から見続けました。)