うさとmother-pearl

目指せ道楽三昧高等遊民的日常

ことばの海・黎明期

2005年06月01日 | ことばを巡る色色
実は私、国語国文学科卒です!!と言ってもあんまり「実は」の意味はないのですが...
中学の頃、教科として得意だったのはむしろ数学だったかもしれません。しかし、その頃から国語学をやるぞという意気込みだけはあった!!それは「ことば」が私にとって、魅惑的なものだったからだと思う。人前ですってんころりんと転ぶより、間違ったことばを使ってしまうことの方が私にとっては恥ずかしいことだったし、今もそうかも知れない。今日はそんな私の読書歴をひとくだり。

黎明期

「いなばのしろうさぎ」  年代が知れますが、私のこどもの頃は昔話や神話に題材をとったものが多かったように思います。「皮を剥くってどうよ、塩水がしみるし」と妙に生々しく刷り込まれています。同様に「かちかち山」も痛そうで怖かったし不条理だし、「ウサギとかめ」も「ウサギが本気を出せば絶対勝てることをどう説明するんだ」とこどもながらに心配したものです。まだ、「~レンジャー」みたいのほうが、教育上いいような気がするけど、あの頃の大人は「罪と罰」が倫理だったんでしょうか、とにかく怖いのが多かった。
しかし、その中にあることばのリズムというのは面白いものだった。大人になって松谷みよ子の民話集を読みましたが、それも、すっごく面白かった。「ほいこらどっこいどっこいしょ」みたいな掛け声があり、ことばにとっての「調子」というものが、お話の内容と同じくらいに大切なもんだと実感しました。「掛け声」が、読んでいてトランス状態に連れて行ってくれる。当然、声に出せばもっと効果は大。「読む」ということはやはり、音としてのことばとは切っても切れぬものだと思います。最近は「声に出して読む~」が注目されていますが、「字」のみで考えられることばはやはり、完全な「ことば」ではないと思います。こどもにとっても、音読は大切なことだと思います。学校でももっともっと注目されるべきだと思う。そういえば、教科書を音読するのも好きでした。ほとんど暗誦してました。
私はこの頃、足が悪く外で遊ぶことを禁止されていました。幼稚園も母の自転車に乗せられてかよい、半年は休園し、ギブスを見られるのがイヤでほとんどを家の中ですごしました。何もすることがなかったので、教育テレビで小学生の算数とか、理科とかを見ていました。ここで、ちょっと人生は変わってしまったのかもしれません。

「ちび黒サンボ」
これはたぶん民話だと思うんだけど、「ちび黒」というところが差別用語に引っかかってしまって発刊されなくなってしまったのは残念です。この頃の大人は何の戸惑いもなく「くろんぼ」とか言ってましたもんね。無頓着な時代でした。この本は、「ちび黒」という題名を代えるなりして残すことはできなかったんでしょうか。とにかく内容がシュールです。あまりのシュールさに脳が活性化されるほど。なんせ、木の周りをぐるぐる周るトラがバターになっちゃうなんて。書いた人が今放送作家になったら抜群の人気を得られるでしょうに。これも音読しました。やっぱり、ハイになりました。何度も何度もハイになりたくって音読しました。今考えてみると音読しながら恍惚としている小学生の私って変ですかね。

これら幼年期に読んだ民話系のお話は自分の底に静かに深く潜んでいる気がします。たとえば人との間で辛いことがあった時などフラッシュバックのように浮上してきます。「あの人の周りをぐるぐる周ってバターになりそうだ」なんて風にね。

書いてるうちにどんどんいろんな本を思い出してきてしまったので、続きはまた次回に。
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8 コメント

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読書嫌いだったんです (すぎ昌)
2005-06-01 19:35:40
つい2年程前まで読書が大嫌いでした。

今は「大」の字は外れましたが好きとは言い難いです。

しかし、こうしてうさとさんのブログを読んでいるとその情景が心に浮かんできて、それを感じると楽しくなってきます。

ひょっとしてこの感覚が読書の楽しさと言うんでしょうか?

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本を読む (あおちゃん)
2005-06-01 22:30:59
私も本を読むのは好きでしたが、うさとさんのように思い出せないのは何故だろうと考えてみると、読むのではなく目で追っているだけで内容を理解していなかったので記憶に残っていないのですよね。グリム童話をもう一度読み直してみようかな。
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北杜夫からですね (あきちゃん)
2005-06-01 23:12:23
中学1年か2年の頃、友達が面白いと言った北杜夫の「船乗りクプクプの冒険」を読んでから読書好きになりましたね。読書は世界が広がるし、知識の宝庫だから好きですね。北杜夫、庄司薫、五木寛之、片岡義男、フレデリック・フォーサイス、ジェフリー・アーチャー・・・とはまりましたね。ハイにはならないですけどスーパー・コンセントレーションというか無音状態のような集中力が極まるような感じが好きですね。
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読書が好きになれそうなすぎ昌さんへ (うさと)
2005-06-01 23:55:50
すぎ昌さんは、私が読んだことのない本をたくさん読んでそうな気がします。カラーコーディネイトのこととか、そういう読書も大切ですよね。新しい知識いっぱい私にもみんなにも広めてください。いつかまた、創作もしたいと思います。待っててね。
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グリム童話 (うさと)
2005-06-01 23:58:34
あおちゃん、グリム童話も怖いですよね。昔って本が少なかったんで、繰り返し読みせんでしたか。そうすると怖さも倍増しますよね。洋物では、「いばら姫」を持ってました。痛そうで、怖かったです。次回にちょっとその話も書こうかな。
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狐狸庵せんせい (うさと)
2005-06-02 00:10:10
あきちゃんは北杜夫?私は遠藤周作でした。ジェフリー・アーチャー全部読みました。忘れてました、薫君! もちろん総なめしました。ピアニストの夫は小説を書きだめしてるんでしょうか。伝説のサリンジャーみたいに死んでから発表するつもりなんでしょうかね。北杜夫ももちろん読みました。高校の友達が大ファンで、信州大学に行きました。北杜夫派と、遠藤周作派に分かれたりしましたよね。「楡家のひとびと」は名作だと思います。

私みたいにハイになるのは、過感情移入だというのを呼んだことあります。無音になれるってのはいい読書ですよね。
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ちょっといっぷく (くりえ)
2005-06-02 09:20:16
こんにちは くりえです。

「はじめての雪」からずっと読んでたよ。

北欧の昔話「ホレおばさん」 (大筋はまま子いぢめのお話。)天上で羽毛布団を振って雪を降らせるおばあさんのお話を思い出していました。

下界でいぢめられたまま娘が「天界」のホレおばさんのところで平安をみつけるのだけれど、まま母・まま姉につらいめにあわされても「下界」が恋しくなり、帰りたいと言い出す。 おばさんが

「帰りたいとは、嬉しいねえ」といって福をさずけて帰してくれる。っておはなしでした。

ちょっといっぷく 癒されましたので 仕事いってくる。 また、寄りますね。下界が待ってる。
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くりえさま (うさと)
2005-06-02 15:06:46
よおお越しいただきました。下界はこわい(怖い・強い)ものがいっぱいです。くりえさんの下界もたいへんでござる。まま母がたくさんですもんね。でも本とにこわいのは下界の煩悩だったりして。わたしはあるいみ、さらっさらです。いつでも、ここでゆっくりしてください。また、おいでなされ。
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