うさとmother-pearl

目指せ道楽三昧高等遊民的日常

あの御家系のこと

2006年03月07日 | 語る!
メールのことやら、おめでたい知らせやらで、日本で最も由緒正しき御家系についての論議も沈静化しているようだ。そう、「日本国・日本国民統合」の象徴として生きておられるあのご一家の家系存続についてである。
先日、ふと、人間宣言をされた方が、「国」「統合」の象徴というのは私の記憶違いかなっと、つまり、「日本国民」の象徴ではなかったかと、憲法を確認をしたのだが、やはり、「国」の象徴であった。「人」が「国」を象徴するというのはわかるようで、わからない。「国民」の象徴ならば、「日本国民」としての規範を体現される方、とでも理解できるのだが、「国」の象徴とはどういうことだろう。「鳩は平和の象徴です」というのは、「イメージ」の共通性を指そうとしているのだろう。生きておられる方が「国」という巨大な集団のイメージとして生きていかなければならない途方もなさに、素直に、「お気の毒に」という同情の念を禁じえない。
あの、小泉さんは、何が何でも、女系天皇への流れを作りたいようだが、彼の狙い、メリットがなになのかわからない。単に歴史に名を残したいというだけとは思えないところが、不可解な点である。(彼については、靖国、郵政など、強固な姿勢に疑問が沸くものは多い。彼の意思は、特攻隊員への感動など、きわめて個人的理由としてしか語られておらず、『本とは何か利害関係があるんじゃないのお?』という気持ちになる。)
それにしても、その御家系の一員となられた雅子さんはさぞかし大変だったことだろう。イギリスの街をトレンチコートのすそを翻し闊歩していた姿は強く私の心に残っている。確固たる夢を持ち、努力を重ね、その努力により可能になることがあることを体験していらしたことだろう。人はまっすぐ前を向き、目的のために進むものであり、その結果は努力に比例しているという、人として真っ当な心がけを人一倍お持ちになっていたことだろう。その前に男女差などはほとんどなかったはずだ。その人に「国」は、男子を産むことを一番に期待しているという悲劇。しかし、それは世の多くの女性にも同じように課せられているとも言える。結婚をした途端、努力などとは別レベルでの期待がされ、「主婦」として生きることとなる。求められるのは、キレイ好きで、料理上手で、優しい母で、言い換えればそれは、「人格否定」でもある。努力は報われるという中でキャリアを積んだ「彼女たち」のアイデンティティは「子を産み育てる性」としてしか語られぬ中で、崩壊する。なんてお気の毒な雅子ちゃん!男の人や、高齢の女性に彼女を非難する人が多いように思うが、それらは、世の主婦に対する非難と同じところから出ているのような気がしてならない。
さて、今回の議論であるが、古来から続いたしきたりを変えるということについて、さまざまな立場の人がさまざまな意見を表明されている。それを読んでも私には男系でなければならない理由がもう一つ納得できない。xy遺伝子のこととか、長年続いた伝統だからというものはまあアリキタリナ理由として当然出されているが、もし、女性天皇となったら結婚相手に、得体の知れぬ人がなってしまうのがマズイというようなものがある。どうも、女性天皇の場合、結婚相手への懸念が大きいようなのだ。それは男性天皇の結婚相手であっても同様である。なぜ、夫の素性だけが取り立てて危惧されなければならないのか、不可解である。昨今のように、子どもは2人というのが一般的になった世の中では、「家を継ぐ」のが、男系だけではなくなっているのは当然のことであるし、私たち国民はそれでやってきている。男女を重視するよりむしろ、「象徴」という特殊な立場にならねばならないことを幼いころから教育され、「腹をくくって」下さっていることのほうが大切なように、私には思われる。大工の子が優れた大工になる可能性が高いように、幼いときから、その空気を吸って育つことが大切だと思う。しかし、このしきたりを守り、男系天皇を継続させたいと考える人は多く、声高である。なにかあるんだろうか?どうしても男系でなければならない理由があるんだろうか?
宮中の儀式は秘儀である。天皇は日本民族を代表し神に触れる人である。自然の恵みと国の安寧を神に願う存在である。その儀式の作法は私たちには分からない。もし、エジプトやフランスやロシアのように王家が崩壊していたならばその秘儀も、民族的研究のカテゴリーに入っていたろうが、わが国はそれを研究対象でなく、天皇の日常の中に託している。・・・ひょっとして、その秘儀は、女性ではできぬものだったりするんだろうか。男性という「 Gender(ジェンダー、この場合後天的性差のみならず先天的性差も含む)」による儀式であるならば、私も考え方を変えなければならないのだが・・・
男系天皇を主張する世の名だたる博士たちよ、私が納得する理由をどうぞ、提示してください。

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18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
残念ながら (けんちゃん)
2006-03-07 17:09:29
男系天皇を主張する世の名だたる博士の対岸に居る私は、うさとさんを含め多くの方が思っているだろう同感者であります。

よって何の反発も感じません。スムーズに読み終えたのみです。ごめんちゃい。
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天皇家 (matsubara)
2006-03-07 18:41:13
ところがところが、日本で最も由緒正しいご家系ではないんです。

桓武天皇のお母上は朝鮮の人なんですねぇ。これには戦時中軍部も困ってしまい、学者に口止めしたのかしら・・・それとも御用学者がいるので、そちらを利用したのかしら・・・

ようやく平成天皇の時代になり、韓国大統領との晩餐会でこの事実をスピーチするに至りました。



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Unknown (足踏堂)
2006-03-07 23:13:16
TBおよびコメントありがとうございました。

小泉を擁護しようという気はないのですが、彼の判断は、有識者会議の結論を受けたもので、うさとさんのご意見とあまり変わらないのではないかと思います。



さて、男系を守りたい人々の意見ですが、これは残念ながら出てくるとは思えませんよ。



というのは、<明治>に戻したい人々は、議論が自由闊達に行われる世の中よりも、「情緒ある」世の中を目指しているわけで、そんな屁理屈言わずに「健全な常識」として、代々続いてきたものを敬え、と言うでしょう。



そして、そういう我々「下々」が考えない世の中こそ大切なわけで、疑問を持つ私やうさとさんは、「不敬」という言葉で切って捨てられるだけのはずです。



宮中の儀式については、明治に作られたものもたくさんですね。しかも、「女性」天皇は存在したわけですから、そこに問題は無いと思います。
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低反発 (家主うさと)
2006-03-08 20:08:51
けんちゃん。

多分、けんちゃんもニュートラルな意識を盛っていらっしゃるんだと思います。この時代に生きてい手、なぜ男女に頑強にこだわらなければならないのか。なんだか深い事情があるのか疑ってしまいます。小さい隅っこの声ですが、疑問は疑問としていってみました。ご賛同、ありがとう。
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由緒 (家主うさと)
2006-03-08 20:11:48
matsubaraさま。

コメントありがとうございます。詳しいことは知りませんでした。お教えくださりありがとうございます。桓武天皇まで遡れるって、やっぱし由緒正しいですよね。この時代に、民族とか、血統とか出自とか、一から考え直してみるのも大事なのではと思っています。また、お教えくださいね。
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足踏堂さま (家主うさと)
2006-03-08 20:21:07
足踏堂さま。

おいでくださり、本当にありがとうございます。

「情緒ある世の中」

私も、日本人にはもっと情緒とか、文学とか必要だと思います。しかし、それが男系天皇につながっていくというのは理解できません。「不敬」かもしれませんが、日本人が受け入れている天皇という存在も、やはり、時代の中で再考されていかなければと思います。昔に戻れば昔のような世の中になるのか、昔の美徳が復活するのかといえば、否、だと思うからです。美徳の復活を願うならば、美徳のについて考えるべきで、その美徳にまつわる体制を蘇らせればよいと考えるのは、あまりにも安直な考えだと思いますが。

これを気に今後もよろしくお願いいたします。
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体制や組織は苦手なので。。。 (猫わん)
2006-03-11 13:13:10
個人的なアングルでしか見れませんが・・・



雅子さまは、お気の毒です。

そして、皇太子様も辛いでしょうね。

現人神も人ですから恋をする。

恋をして、奪い取って、全力で守ると約束した女が、傷ついて倒れてしまった・・・男として、これ以上に辛いことはないと思います。



でも僕には、あの家系の人々や、国の体制や、歴史やなんかを、どれも責めることはできません。

(というか、象徴だったら水晶玉か何か動かないものにした方がいいと思うんですけどね。。。)

で、やっぱ傷ついた人を少しでも救える方法はないもんかと考えるわけです。この場合、僕の目に映るのは、あのご夫婦です。
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あのご夫婦のこと (家主うさと)
2006-03-11 14:04:53
彼は、全国民の前に出しても、一つも文句のつけようのない方を選択した。賢く美しく育ちがよく国際的。これ以上これ以外はないという選択をした。その伴侶が非難されることは、自分の熟慮、ひいてはそれまでの自分のすべてを否定されるような思いだったろう。彼は、妻と自分のすべてを守らねばならないという思いを強固にしたことだろう。妻の傷は自分という存在の傷でもあったことだろう。彼らの難儀は「コウノトリのご機嫌」に任せてしまったことなんかな、とも思います。彼らのお子が女児だったことも彼らの生きることへの誠実さを示しているように思います。いくらでもわが国最高の産み分け術を駆使できたでしょうにね。
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精子と卵子 (くりえ)
2006-03-14 05:12:21
男系にこだわるかたたちの心理を読み解くと究極は精子と卵子のどちらに「スピリット」が宿るかという点で、精子に重きを置いている、ということではないかな。ただそれだけでしょう。 世の中の根底にこのような感覚が根強いことを賢いおなごはわかっているのだ。無意識の復讐の結果が「少子化」なのよ。このたびの男系論者の得意げな顔には恐怖を覚えました。特につわもののジェンダー論者ではない私は戦うつもりはありません。 ただ「少子化」「非婚化」に歯止めをかけたい国家としてはこの論議は慎重になさいませよ と思いました。 うさとちゃん わたしらはなんとか子を産みましたね。年金も払ってるよ。国民として数にいれて勘定してよね、と思うよ。
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まだ夜は明けぬ (家主うさと)
2006-03-14 10:08:15
くりえさん、お久しぶりです。

そんな夜明け前に起きてあなたは何を見る?

そう、私も強固なジェンダー論者ではないけれど、ただ、惻隠とか呼ばれるものの中に、他者の声を押し込めるものが混じってしまっているのは恐ろしいことです。年金はため息ですね。痛みを伴うばかりで。
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