うさとmother-pearl

目指せ道楽三昧高等遊民的日常

実のない木

2007年02月07日 | ことばを巡る色色
意味を見失ってしまった君にあたしができることは
君の辛さに涙することだけだ。
それでもきっと君は、明日も思い悩むのだろう。
あたしの涙は小さくて
君をその渦巻く混沌から救い出すことはできない。
君が本当に思いを伝えたい人はあたしではない。
だからあたしは、君の横で、君の悲しみに涙することだけしかできない。
どうぞ、それを許してください。
君が泣きたいときはいつでも、電話一本で、メール一通で駆けつけるから。
君の絶望の沼の、冷たく暗く深い淵。
その奥にあるものを君は気づいている。誰に向かっているか知っている。
ただ、その名を言ってはいけないと思っているのだね。
寂しい一本の木の、実をつけぬ君の木よ。
風に吹かせ、葉の奥に隠れた蕾を探そう。
蕾は花となり、いつかいつか実を結ぶよ。
それまで、君の寂しい木のために、私は泣くよ。
その乾いた幹にそっと触れ。
コメント (8)
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