ふと、忘れてしまったはずのものが湧き立ってくる。それは暗いどっぷりと濃い黒い夜空から。くるくるとネットの網を渡っていて、藤原新也の新刊書があることを知った。黄泉の犬。藤原新也。印度の河の犬と死せる体。茫洋と雑草の生える人の住まぬ金属バット親殺しの家。少なからぬ人がパルコの片隅で物悲しい洋楽が流れるのを聴きながら覗き見てしまった写真を忘れたはずの今も遠く歩いてきてしまった今も胸の奥に持っている。印度の河と東京の住宅地のあの光景を胸の奥に持っている。漂流する東京。ミルクの松田聖子。幻の都。あ、沢木耕太郎。そうだ。あの頃、いや、いつの頃?読んだ本、見た光景。童夢。幻魔大戦。アキラ。コインロッカーベービー。赤江漠。ぼくの大好きな青髭。ドグラマグラ。裏日本には地下鉄はなかったはずなのに。バンスキングのばくまっちゃん。海の向こうで戦争が始まる。色セロファン。なんて胡乱な風なんだ。その時代を私はもう、忘れてしまったと思っていたのに。
かわいていたのかしめっていたのかわたしはいまもわからない。
セピアなんて洒落たものではない。古本屋の埃臭いにおいの薄黄土色の。その時代を私は歩いていた。「戦後」とか「団塊」とか「バブル」とか立派な名をつけられもしなかった私の世代よ。
※※※ ※※※
最近の記事はどうも、暗い。さぞや、コメントもつけにくかろう(けんちゃん、bubeさん、本当にいつもありがとう。涙滂沱です)
でも、読んでくださる方がいなくとも、私は書こうと決めた。とにかく書き続けよう、この場所で、と決めた。どうぞ、そうさせてください。
かわいていたのかしめっていたのかわたしはいまもわからない。
セピアなんて洒落たものではない。古本屋の埃臭いにおいの薄黄土色の。その時代を私は歩いていた。「戦後」とか「団塊」とか「バブル」とか立派な名をつけられもしなかった私の世代よ。
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最近の記事はどうも、暗い。さぞや、コメントもつけにくかろう(けんちゃん、bubeさん、本当にいつもありがとう。涙滂沱です)
でも、読んでくださる方がいなくとも、私は書こうと決めた。とにかく書き続けよう、この場所で、と決めた。どうぞ、そうさせてください。