うさとmother-pearl

目指せ道楽三昧高等遊民的日常

ドーハの火

2006年12月06日 | ことばを巡る色色
やっぱり本格的に風邪を引いてしまい、久しぶりの高熱に、お休みもテレビを見ておとなしくしていたわたし。まだ、ちょっと引きずっているのだけれど、何とかお仕事はこなしている。
というわけで、この週末は、ドーハとフィギュアスケートだった。
真夜中、風邪が喉にコンコンとノックをするのを感じながら、ドーハのアジア大会開会式を見た。うとうとしていたのだけれど、まさに目覚しき開会式。ご覧になりましたか。イスラム圏初の開会式は、ざぶざぶと石油を撒き散らすような豪華な物だった。2時過ぎに始まり、とうとう5時近くまで続き、最後まで見てしまった。西欧とちょっとだけの黄色人種の物だったスポーツの祭典での開会式。私はそんなことにさえ気づかなかったのだと、衝撃だった。イスラムの人々の思いはそれまでどれだけ忸怩たるものだったろうか。それを一気に晴らすような、百花繚乱満願全席豪華絢爛経費天文学的開会式だった。しかし、イスラムの国も産油国であることの恩恵にあずかっている人が多数というわけではない。その中でも、ドーハはどうしても、あの、オリンピックの開会式のどれにも劣らぬ開会式をしたかったのだろう。しなければならなかったのだろう。国家とか、民族とか、宗教とか。そんな気持ちがあることを私はあれを見るまで気づきもしなかった。今も複雑な気持ちが心の中にある。あれだけのものをしたドーハに拍手を送りたい気持ちと、そのような形で国家や民族を顕示しなければならないという現実と。
たくさんのたくさんの花火が、終わるときなどない様に打ち上げられた。油田が天に向かって噴く火のようだった。
先日見たクイズの問題を思い出した。地球の原油埋蔵量は、琵琶湖8杯分。それを巡って、表や裏で、あの火が燃えている。しなくてもいい戦争や密約や内戦が。
煌くドーハ。あなたは美しい。それを否定しない。あなたがしたかったこの宴を否定はしない。でも私は、もう一度うつむいて考えている。

おっとフィギュアの話はまた今度。
コメント (2)
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