urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

馳星周『不夜城』角川文庫

2005年08月16日 | reading
ネタバレはほとんどないけど一応注意。

今更のベストセラー。『漂流街』とか『虚の王』とか何作か読んでるし、『ダーク・ムーン』にはサインまで貰ってるのですが代表作を読んでいないのでした。しかしあのイベント、『少林サッカー』を観た後に馳星周のトークショーって意味不明だったなあ…山形の限界か。映画クソだったし。

ええと、まあぶっちゃけて言って傑作だと思います。非常に迫力に満ちたノワール。ラストの車中のシーンなんて実際凄いと思いました。在日中国人黒社会という舞台設定の妙味、その教養小説としての面白さも図抜けている。新大久保の私設寺院とか、都市論の文献で読んだことがあったので親しかったし。
コンゲームの要素が強く、いろいろな団体、個人の思惑が絡み合ってくるが、全然こんがらがったりしないシンプルな書き方がしてあって好印象。センテンスの短い硬質な文章で、キャラクタ造型も安易な感情移入を拒否する硬派なノワールだが、その分物語としての力強さがストレートにぶつけられてくる心地よさがありました。

このシリーズはⅡも名作と言われてますよね。読もう。

作品の評価はA。
ブログ開設以来初のAランク獲得おめでとうございます。

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馳 星周

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