夜の翼

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ピニンファリーナデザインの腕時計

2020-02-02 11:19:34 | ガジェット
それそれはかなり昔、もうすでに30年近く前のこと、大学生だった自分にも就職活動の時期がやってきた。
そこで困ったのが腕時計。それまでは安いデジタル時計しかもっていなかったので、この機会にちゃんとした腕時計を買おうと思った。
当時はF1ブーム。セナプロの時代。自分も好きでF1専門誌を何冊も買って読んでいた。
専門誌ではないが今でもあるNumberというスポーツ雑誌でF1の特集があると買って読んでいたが、その中の広告にそれはあった。

ピニンファリーナデザインの腕時計。
フェラーリのデザインで知られるデザイン工房。そこがデザインした腕時計が何種類か載っていた。
その中のダイバーズ風のデザインの腕時計のひとめぼれ。
フェイスこそ小さめだが、ステンレスのベルトのデザインが特徴的で、友人には「シャコ時計」と揶揄されたが、一目で気に入ってしまった。
電池式のクォーツ時計であったが、価格は10万円ほど。大学生が買うには非常に高価な腕時計であったが、バイトでためた貯金の残りを使って買ってしまった。
規模の大きな時計店にも現物はなく、取り寄せてもらった。
販売元はオリエント時計だったが、製造は別だったらしく、ムーブメントはスイス製だった。
ステンレス製で104グラムとかなり重かったが、例のシャコのようなベルトのおかげで着け心地はよく、あまり重さを感じなかった。
面接やらにはそれを着けていった。

就職後は、あまり出番がなかったが、この時計のほかにはカジュアルな腕時計しかもっていなかったので、フォーマルな席にはこの時計が必要だった。
それ以来、電池交換のみで故障することもなく、動き続けていた。
着ける機会はほとんどなくなっていても、思い入れが強く、買ったときには周囲から一生ものといわれていたので、使えるところまでは使いたいと電池交換だけは行っていた。
先日久しぶりに電池交換を行い、一月ほどして時刻を確認してみると、合わせたはずの時刻が30秒も遅れている。
これまで進むことはあっても、遅れることはなかったので、異常事態である。
調べてみると、クォーツ時計も機械式程ではないが、オーバーホールは必要らしい。

さて、困った。こんな古い時計。しかも販売元のオリエント時計もいまやエプソン傘下。
一応古い時計の修理も受け付けているが、修理対応機種の中にこの時計(そもそも名前を知らないが)はなかった。
今住んでいるところで、腕時計の本格的な修理というかオーバーホールを受けてくれる時計店を探したところ、ありました。
販売はほとんどやっておらず、修理専門。手間のかかる修理もやってくれるらしい、
ダメもとで、電話してみると、一度見せてほしいとのころだったので、その店に向かった。

市内の中心部にその店はあったが、昔ながらすぎるその外観。壁には「時計、メガネ」とある。
店に入ろうとすると、茶飲み話をしていた客(?)が出ていき、入れ替わりに店内に入った。
6畳ほどの店内は、物であふれており雑然という言葉では足りない。
時計が入れられているショーケースが2つほどあったが、その時計がほとんど見えないほどその上に物が積み重ねられている。
壁には動きを止めた振り子式の壁掛時計が10点ほど。壁際のショーケースには、たぶん買い手が現れないであろうメガネのフレームが並んでいた。
入り口のすぐわきに先ほどの茶飲み話をしていた男性が座っていたスツールがあり、その前のショーケースの上には飲みかけのコーヒーが入ったカップが置いてある。
座る場所はそのスツールしかなかったが、あまりにも狭いので立ったまま、腕時計を渡し、症状を伝えた。
店主は70代に手が届いているであろう男性。
ケースを開けて中を調べ出した。
電池を見て最近交換したこと、パッキンはまだ厚みがあり交換の必要がないこと、時計の進み方の調整ネジはプラス側になっていると伝えられた。
これまで進むことはあっても、遅れることはなく、これまで一度もオーバーホールはしたことがないことを伝えると、さらに時計を調べて、機械油が白っぽく固まっており、動きが重くなっているのが原因といわれた。
下調べした通りの見立てで、分解清掃に2週間ほどかかる。費用は12000円とのこと。
もっと費用が掛かるのではと思っていたが、ネットの口コミどおり良心的な価格。
時計を預けて、店を後にした。

2週間ほどして、オーバーホール終了の連絡があり、腕時計を取りに行った。
オーバーホールが済んだ時計は心なしかきれいになった感じ。
親父さんからは特にコメントなし。
腕時計を腕にはめ、支払いを行う。
入り口のガラス戸にはクレジットカードとPayPayのステッカーも貼ってあったので、PayPayで支払うことにした。
こんな(失礼!)個人経営の店にも営業をかけて、契約させてしまうPayPay営業恐るべしと思ったが、この店ではキャッシュレス決済のポイント還元には参加していない。
PayPay独自の還元があるので、PayPayで支払い。
もちろんバーコード支払いではなく、スキャン支払いなので、店のバーコードを読み取り。そういえば、スキャン支払いは初めてだな。
金額を確認すると、見積もりどおりの金額でよいとのこと。
親父さん曰く、PayPay支払いの客が多いという。
支払いを済ませ店を後にする。
30年近く使って初めてオーバーホールを済ませたが、これであと10年は電池交換だけで行けるだろう。
めざせ50年!
それまであの店は続いていないだろうな。

その後

正月にチプカシも含めて、非電波時計の時刻合わせを一斉に行った。
1か月たったので、月差を確認してみた。
〇ピニンファリーナ +27秒
〇MQ-24-7BLLJF +7秒
〇MQ-24-1B      -2秒
〇MTP-1403L-7AJF ±0秒

チプカシ優秀すぎる。国内モデルは月差がプラスになるよう調整してあるという話はあったが、その通りの結果となった。
海外モデルは比較的遅れる傾向というが、自分が買った個体はほぼズレなし。冬場なのでこのぐらいだが、気温が高くなってくるともう少し進むようになるかもしれない。

それで肝腎のピニンファリーナであるが、記憶をたどると、これまでこのぐらいは時刻が進んでいたので、オーバーホールして元に戻った感じではある。
ただ、冬場なのにちょっと進みすぎかなという感じはするが、電池が切れたら、またあの店に行って調整してもらうことにしよう。

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