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保守記事.445 論点はそこなのか?

2015-06-03 10:25:00 | 記事保守

銀座のクラブママが夫に「枕営業」 妻の賠償請求を棄却

千葉雄高

2015年5月28日05時15分

 客を確保するために性交渉したクラブのママの「枕営業」は、客の妻に対する不法行為となるのか――。こうした点について、東京地裁が「売春と同様、商売として性交渉をしたに過ぎず、結婚生活の平和を害さない」と判断し、妻の賠償請求を退ける判決を出していたことがわかった。

 判決は昨年4月に出された。裁判では、東京・銀座のクラブのママである女性が客の会社社長の男性と約7年間、繰り返し性交渉したとして、男性の妻が「精神的苦痛を受けた」と女性に慰謝料400万円を求めた。

 判決で始関(しせき)正光裁判官は売春を例に挙げ、売春婦が対価を得て妻のある客と性交渉しても、客の求めに商売として応じたにすぎないと指摘。「何ら結婚生活の平和を害するものでなく、妻が不快に感じても不法行為にはならない」とした。

 そのうえで、枕営業は「優良顧客を確保するために要求に応じて性交渉をする営業活動」とし、「枕営業をする者が少なからずいることは公知の事実だ」と指摘。「客が店に通って代金を支払う中から、間接的に枕営業の対価が支払われている」として、枕営業と売春は「対価の支払いが、直接か間接かの違いに過ぎない」とした。

 判決によると、男性と女性は2005~12年、月に1、2回のペースで主に土曜日に、昼食をとった後、ホテルに行って夕方に別れることを繰り返した。この間、男性は同じ頻度で店に通っていたため、始関裁判官は「典型的な枕営業」と認定し、妻の請求を退けた。妻は控訴せず、判決が確定した。

 妻の代理人の青島克行弁護士によると、裁判で妻側は「不倫だ」と訴え、女性側は性交渉の事実を否定した。「双方とも主張していない枕営業の論点を裁判官が一方的に持ち出して判決を書いた。訴訟も当事者の意見を聞かず、わずか2回で打ち切られた。依頼者の意向で控訴しなかったが、不当な判決だ」と述べた。

 離婚や不倫訴訟に詳しい田村勇人弁護士によると、判例では、女性が相手を妻帯者と知って肉体関係を持てば、2人は共同で妻への賠償責任を負うのが一般的だ。売春など妻帯者側の責任が重い場合、女性の賠償額は安くなる傾向があるが、基本的に不法行為と判断されるという。今回の判決は「従来の判断の枠組みと違い、社会通念からも行き過ぎと感じる。特殊な事情があったのかもしれないが、この判断が定着するとは思えない」と話す。(千葉雄高)

 

 

「不倫」か「枕営業」か、判決波紋 探偵業界も衝撃

千葉雄高、千葉卓朗

2015年6月3日05時07分

 東京・銀座のママと客の関係は、「不倫」ではなく「枕営業」である。東京地裁が出したこんな判決が波紋を呼んでいる。クラブで結ばれた男と女、それは不倫なのか、営業なのか? 線引きできるものなのか?

ママと男性客の社長が約7年間、繰り返し肉体関係をもったとして、男性の妻が「精神的苦痛を受けた」とママに慰謝料400万円を求めた裁判。始関正光裁判官が昨年4月に出した判決はこうだ。

 対価を得て大人の関係を持つのと同様に、ママは商売として応じたに過ぎない。だから、結婚生活の平和は害しておらず、妻が不快に感じても不法行為にならない。枕営業をする者が少なからずいることは「公知の事実」で、客が払う飲食代には枕営業の対価が間接的に含まれる。

 こうして、「不倫だ」との妻の訴えを退けた。

 「妻の立場をあまりにも軽んじる判決」「枕営業なら不法行為じゃないっておかしい」。判決が報じられると、ツイッター上に妻たちの怒りが飛び交った。

 男女の性的関係が不倫か営業か、区別を示した判例はあるのか。不倫訴訟に詳しい田村勇人弁護士は「直接争われた事例は聞いたことがない」。ただし、「既婚者と関係を持てば、遊びだったか愛情があったかを問わず配偶者に慰謝料を払う義務がある」とした1979年の最高裁判決以降、既婚者と知って関係を持てば賠償責任を負うとの考えは定着しているといい、ホステスに慰謝料の支払いを命じた判決もある。

 それだけに、今回の判決については「7年もの長期間の関係を『営業』と言い切る感覚は疑問だ。特異な判決として埋もれていくのでは」と指摘する。

 「探偵業界にとって衝撃の判決だ」と話すのは、大手探偵会社「MR」(東京都)の広報担当、橋本文良さん。同社は年間千件ほどの浮気調査をするが、水商売の女性が浮気相手というケースは全体の2~3割をしめる。配偶者の浮気の証拠を押さえて慰謝料請求につなげたいと調査依頼する人が多いが、「浮気相手が水商売だと慰謝料が取れないとなれば、依頼を見送る人もいるだろう。我々の仕事が減りかねない」。

 「枕を重ねる」「枕を交わす」など、日本では古くから、男女の関係を「枕」を使って表現してきた。大辞泉(小学館)は、枕営業の意味を「契約成立の交換条件として顧客と性的関係を結ぶこと」と説明する。

 銀座の「枕営業」は本当に「公知の事実」なのか。クラブ歴7年のホステス(32)は「客とそういう関係になる話を聞くこともある」。売り上げのノルマを課す店もあるといい、「人によっては、客を呼ぶ有効な手段なのかもしれない」。判決については、「7年でしょ。ママには恋愛感情があったと思う。なければ続かない」。判決は確定し、ママは慰謝料から逃れた。でも、「ママはもう銀座では生きていけないのでは。だとすれば慰謝料以上のものを失った」。

 銀座歴42年のママ(71)は「人間だから妻子がいてもお客さんを好きになることはある。でも『枕営業』と言われるのは心外」と話す。知性と会話で客を楽しませてこそ銀座のプロとの意識があるからだ。ただ、好きな客と一緒にいる時は「楽しいという感覚。だけど、どこかで『店に来てほしい』とも思っている」。だから、不倫か営業かの線引きは「ファジーです」。

 商品が時に、男女関係の暗喩になる枕業者。「枕工房 待夢(たいむ)」(東京・神楽坂)を営む岡田晃さん(55)は、人生の3分の1を占める睡眠時間を良質にしてほしいと毎日、枕を売る。「枕営業」と聞けば、あまりいい気はしない。「枕への敬意に欠けてますから」(千葉雄高、千葉卓朗)

 



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