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憲法九条外交が最も有効な安全保障だ

2022年09月01日 23時57分58秒 | 政治経済論・メモ
「生きているうちに、こんな時代が来るとは思わなかった。」最近知り合いとこんな話をする機会が増えた。現在進行形で戦争が近づいているとひしひしと感じる。このごろ考えるのは戦前の世界恐慌直後のことだ。


 1929年にニューヨークで株価が暴落した。世界的に不景気が深刻となった。これが世界恐慌である。恐慌に際し、各国は経済対策をとった。イギリス、フランスは広大な植民地での保護貿易の政策をとった。「ブロック経済」である。アメリカは広大な国土の開発の公共工事で、景気の回復を図った。「ニューディール政策」である。


 国土が狭く、植民地の狭い、ドイツ、イタリア、日本は、軍備拡張と他国の侵略による領土、植民地の拡大をはかった。「ファシズム陣営」である。(ファシズムの規定に異論の有る方は『現代史史料』5、「現代」(歴史学研究会編)の、P38からP129までを参照されたい。)

 当時の日本の現状を同時代の人間はどう見たのだろうか。

 「資本主義国の中で第一位の成績をあげているのは、軍備に狂奔し、略奪を働いている日本である。-その生産高はほとんど40%も上昇した。」(『裏切られた革命』トロツキー著)

 これは史料で裏付けられる。当時の日本は、軍需産業を「経済の成長戦略」としたのだ。戦争経済は経済に巨大な需要を喚起する。特に、国民の所得が低く、国内市場が狭かった日本では、軍需産業への依存が高かった。国内市場の狭隘さは歴史学の定説である。

 現代の日本を振り返ってみよう。経済の成長戦略の構築が、上手くいっていない。国際為替の変動の恩恵を受けた企業は業績を上げているが、国内の消費は、連続して落ち込んんでいる。総理は外遊の度に、原発と兵器を売り込んでくる。軍需産業の担当者が同行する、兵器のトップセールスだ。

 原子力産業と軍需産業を成長戦略としているのは明らかだ。これは軍国主義以外の何ものでもない。そして問題なのは、集団的自衛権の行使容認だ。世に憲法クーデターと呼ばれる。

 中国脅威論が言われるが、これは集団的自衛権を正当化するための、安倍内閣の虚構に過ぎない。中国の脅威はない。中国はアメリカ、日本と経済的関係を強め、貿易と経済の進展を図っている。今やGNP世界2位。日本の貿易相手国のトップは中国だ。その中国が日本と本気で戦争をする訳がない。

 政府見解の弱点も、ホルムズ海峡だ。中国の脅威が仮にあっても、現行の日米安保条約の極東条項で対応できるはずだ。集団的自衛権の狙いは、アメリカの補完部隊として、自衛隊が中東地域などで、戦闘に参加することだ。後方支援は兵站であり、諸葛孔明の時代から、重要な戦闘行為だ。

 またホルムズ海峡を通過しないで石油を搬送するパイプラインは確保されていること、ホルムズ海峡の機雷封鎖の非現実性も指摘されている。

 この軍国主義をどう克服するか。これは歴史の教訓を汲んで、国内の需要を喚起することだ。安全保障はどうするか。

1不平等な日米地位協定を見直す。

2、周辺諸国と平和友好条約を締結する。

3、核兵器禁止条約を批准する。

4、自衛隊の活動範囲は、領土、領空、領海、排他的経済水域に限定する。集団的自衛権の行使容認の閣議決定は撤回する。

5、国際貢献は人道支援などの非軍事の分野で行う。(「ISによる邦人人質殺害事件」が起こるまでは、日本は中東地域で、歓迎されていた。どんなに戦闘が激しくなっても、日本は、決して銃口を向けないからだ。)


6、憲法九条を活かした「九条外交」こそ最も有効な安全保障だ。軍備の拡張は、国家間の軍拡競争を招く。イギリスとドイツが腕の中に戦車や軍艦を抱え切れないほど抱えている、第一次世界大戦直前の風刺画にあるように。


 


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