先ず、朝鮮半島に、同じ民族でありながら、韓国、北朝鮮という二つの国家がある理由。これは日本に大きな責任がある。「民族分断」と言う言葉を使うなら「分断の責任」の多くの部分を日本が背負っている。
朝鮮半島は、新羅の統一以来、新羅、高麗、李氏朝鮮と王朝は交代したものの朝鮮半島は一つの統一国家だった。それが第二次大戦の終了後、ソ連とアメリカに分割占領され、北緯38度線以北に朝鮮民主主義人民共和国が成立、以南に大韓民国が成立した。米ソ冷戦の結果だが、分割占領の原因は日本に責任がある。
日本は、朝鮮王朝を「日韓併合」と言う名の植民地化した。その占領に北部は満州守備隊の関東軍があたり、南部は本土の参謀本部があたった。そもそも朝鮮半島を日本が植民地化しなければ「民族分断」はなかった。歴史上の明確な責任が日本にはある。
この二国、1950年から1953年まで朝鮮戦争を戦った。米ソの代理戦争である。それが1953年の休戦協定によって戦争が中断した。国際法上は両国は戦争状態なのだ。国連軍として参戦したアメリカ、北朝鮮に義勇軍を送った中国も、国際法上の戦争当事国になる。まずこれを抑えておきたい。
その朝鮮半島情勢が緊迫している。アメリカのトランプ大統領は、「核攻撃も含めて選択肢を持つ」と先制攻撃を仄めかし、日本の安倍首相は「対話は不要」と言い、北朝鮮はミサイルがアメリカ本土に届くことを誇示した。Jアラートがならされた北朝鮮のミサイルは、日本が標的ではなく、アメリカが標的だった。集団的自衛権の行使を認められた自衛隊がアメリカとともに朝鮮半島で戦闘行為に入る可能性も高まって来た。
そういう事態になれば、日本は交戦国。北朝鮮からの反撃のミサイルも飛んでくるだろう。自衛隊の迎撃ミサイルでは七割しか撃ち落とせない。三割は日本に着弾する。日本が戦場になるのだ。原発にミサイルが当たれば、福島第一原発並みの被害が出る。韓国は火の海になる。北朝鮮が崩壊すれば大量の難民が日本にも押し寄せる。
戦争の可能性が、いままでになく高まっている。この時期に憲法九条を変えるという。これは黙っていられない。
今必要なのは、日朝の直接対話、米朝の直接対話。そして、6カ国協議の再開だろう。
安倍政権の改憲案には、緊急事態条項がある。これは内閣の独裁になる。これを、北朝鮮のような国になるというのは、いささか無責任だろう。