岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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国民投票の落とし穴:ナチスの手法

2018年03月01日 23時38分34秒 | 政治経済論・メモ
民主主義には間接民主主義と直接民主主義がある。間接民主主義は選挙制度の問題点もあり、直接民主主義を待望する意見が根強い。


 間接民主主義は選挙制度によって左右される。選挙制度が公平でない場合、間接民主主義は弱点を持つ。それは間違いないだろう。そこで直接民主主義待望論が出てくる。気持ちは分かる。だが直接民主主義も万能ではない。政治制度であるからには、そこには弱点がある。


 直接民主主義の国民投票を「レファレンダム」と呼ぶ。しかし「プレシビット」と呼ばれる場合もある。直接民主主義の最大の弱点だ。


 ナポレオン、ナポレオン三世、ヒットラーは,国民投票によって皇帝に即位し総統の地位に就いた。これがよかったのかどうか。歴史が判断している。民主主義には逆行していた。政策抜きの「人気投票」「ムードに乗じた独裁の正当化」になってしまったのだ。


 特にナチスは国民投票を多用した。ネットで「プレシビット」を検索すれば具体例が沢山出てくる。僕は日本国憲法の改正の国民投票法が「プレシビット」になる危険性をはらんでいると言わざるを得ないと判断している。


 先ず、最低投票率の規定がない。投票率如何では少数者により憲法改正が行われる。次に選挙が全くの自由なのだ。特に政治資金規正法が適用されない。資金力のあるものが際限もなく資金をつぎ込み、タレントを動員してキャンペーンを張ることができる。15秒スポットをゴールデンタイムに流すには350億かかると言われる。これは現在の改憲派に圧倒的に有利だ。九条改憲に異議ありという側には、最大で7億から8億の資金しかない。

 つまり制度が不公平なのだ。一方の改憲派に圧倒的に有利だ。バックに経団連がついているからだ。九条改憲に異議を申し立てている「総がかり行動実行委員会」は2015年に全国紙に新聞広告を何回かだしたが、7億しか集められなかった。


 これは、大変な不公平だ。現行法の下での国民投票はすべきではない。国民投票をするなら、政治資金規正法、公職選挙法を適用し、最低投票率を定め、投票総数の過半数ではなく、有権者の過半数とすべきだ。


 現在出されている改憲案は権力への縛りを弱めるものだ。これは立憲主義に反する。これが不公平な投票制度で強行されるなら、ナチスの手法の再来と言わざるを得ない。



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