・足らざるを補ふごとく街の上夕べふたたび春の雪ふる 「春雪ふたたび」所収。一読してわかる通り歌集のタイトルのネーミングを示す作品だ。 どこの街かは詠みこまれていない。「捨象」されているのだ。佐藤佐太郎の「表現の限定」である。 春の雪が「まだ降り足りないように」夕暮の街に降る。「足らざるを補ふごとく」という比喩によりそれを言い当てている。作者自身の独自の視点でもある。 「言われてみれば確かにそうだ」 . . . 本文を読む
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