混雑と渋滞

通勤時間が苦痛でもったいないので職場近くに自宅とは別の住居（隠れ家）がある。

　隠れ家から職場まで１駅で毎日通勤しているが混雑がすごい。同僚から「１駅くらいは我慢しろよ」と言われるが、人間として扱われないような満員電車や駅構内の混雑には耐えられないほどである。週末は自宅に帰って、月曜日の朝は直接出勤している。時間はかかるが自宅からの通勤のほうが人間的な状態を維持できる。座席に坐れるからである。混雑しているのは都市部が中心で、地方から電車一本に乗っての通勤なので、坐ってしまえば混雑は他人事であまり気にならない。

混雑で何が嫌かと言うと、

　他人の無礼である。お互い様ではあるが、全く礼を失した行為には物理的を通り越して精神的に怒りを感じる。最初に「すみません」の気持ちがあればまだ許せるが、ほとんどそんな気持ちはなく、精神的な余裕さえなく、無礼を無礼とも思っていないし、反対に無礼な行為を当然のごとくやってのけている。思いやりや譲り合いの精神は全くない。はっきり言うと周囲の人間を人間と思っていない。邪魔な障害物または自分を攻撃する敵だと思っているようだ。こんな傍若無人な行為が許される環境は異常であるが、誰も異常だとは思っていないようだ。

電車の到着駅で、みんなが我先に出口へ殺到する。

　渋滞の原因は「我先に殺到する」ことである。ちょっと譲り合いの精神があれば渋滞は解消される。前が渋滞しているのに後ろから突っ込んでいってもかえって渋滞の原因を増やしているようなものである。ちょっと待てばいいのである。なんで待てないんだろうと思う。前の人を後ろから無理やり押し付けるのは無礼な行為でもある。これを当然のことと済ましてほしくない。何が無礼かというと、冷静さと理性に欠ける行為だからである。少し客観的に見直してみれば自分の行為の愚かさに気づくはずである。自分の１センチ先しか見えていない心に余裕のない行為である。

渋滞の原因は何だろう。

　入り口と出口の流量が同じで、中間に障害物がなければ渋滞することはない。渋滞の原因は入方が多くて出方が制限される場合、もしくは中間に障害物がある場合である。そして、流れているものそのものが整然と流れていない場合である。最大流量で流れている場合は、何かのちょっとした変化が生じると直ちに渋滞してしまう。最適なのは最大流量の７から８割くらいで流れている場合である。人間的な気持ちの持ちようで言うと、思いやりと譲り合いの精神のちょっとしたブレーキがあれば渋滞は解消される。最大流量で我先に殺到すれば渋滞して流れは止まってしまう。流量は同じなので、止まった時間は待つしかない。ゆっくり行っても我先に突進しても通過時間は同じなのである。

駅構内の混雑も困ったものである。

　駅そのものの設計も悪いんだろう。人の流れが乱雑に交錯している。うまく統制してやればもっとスムーズに流れるのではないかと思ってしまう。混雑を解消するための「改善」がなされているんだろうかと疑問に思うことが多い。入り口、出口の配置を検討すべきだろうと思うし、中間の障害物は取り除く努力をすべきだろうと思う。自動改札は混雑解消に画期的な効果をもたらしている。これと同じような対策がもっとあるのではないかと思う。少なくとも現状の人の流れを分析して問題点を見出して改善する努力は継続してやってもらいたいものである。

傍若無人な行為をする人はたくさんいる。

　出会い頭で全く譲ろうとせず突進してくる。こちらが譲るしかないが、それを当然のごとく礼も言わないで通り過ぎてゆく。というか、相手を全く無視した行為である。自分が突進すれば相手が避けてくれると思い込んでいる自信たっぷりの行為であるが、私には暴力団のやくざか不遜で高慢なお偉いさんにしか見えないし、どう考えても尊敬すべき人物だとは思えない。そんな印象を振りまきながら町を歩いている人がたくさんいる。こんな人とは関わりたくもない。ちょっと身体が触れただけでも「すみません」と礼を尽くす人を私は尊敬するし、自分でもそうありたいと思っている。

突進することは渋滞の原因を生んでいる。

　お互いに譲り合うことがスムーズな流れを生むし、自然だしスマートである。何故そんな心の余裕を失ってしまっているんだろう。「せまい日本そんなに急いでどこへ行く」の心境でもあるし、今そんなに急ぐ必要性があるのかちょっと考えてもらいたいし、必要性があるなら事前に時間の余裕をもって行動すべきである。そして、本当に困っていて急ぐ必要性が生じている人に譲ってやるべきであるし、そんな心の余裕を持ちたい。そして、譲ってもらった人はちゃんと礼を尽くしてもらいたい。簡単なことである。軽い会釈か目礼をして、「すみません」「ありがとう」と一言添えるだけである。なぜそんな簡単なことができないんだろうと嘆くばかりである。

人間の身体も渋滞や混雑を排除しなければならない。

　消化器官や循環器の渋滞や混雑を避けなければならない。身体の渋滞や混雑は健康を害して病気を招く。消化器官はまずは入り口と出口で統制しなければならないし、昔から言われているように「腹八分」が渋滞を解消する秘訣であり、カロリーの取り過ぎは「脂肪」として体内に滞留し渋滞することとなる。消化器官が正常に働き常に流れている状態を維持することが重要だと思うし、体内に取り入れたものは確実に消費しなければならない。身体のエネルギー消費器官は筋肉や脳であり、活発に動かしてやる必要がある。その流れの中で生命が維持される。循環器も同じだろうし、血管そのものやその中を流れる血液を健康にしておくことが重要だろう。