‘悪役隊員’の存在意義

 50年前の71年4月30日にOAされた帰ってきたウルトラマン5話
では、郷秀樹と岸田文夫隊員の対立が描かれていたのが印象的だ
った。

 これは第1期ウルトラでは見られないシーンで当時リアルタイ
ムで見ていた我々としては違和感があったのだが、考えてみれば
リアル路線という形なら十分理解できるし当時ヒットしていたコ
ンバットなどでも十分見られるものだった。

 確かに大きな岩をツインテールの卵と判断できずにMATシュー
トで焼いただけで処分という岸田の措置は悪いものではないし、
むしろ郷の判断の方が異常な考えだというのが世間的な感覚だろ
う。

 岸田隊員は軍人の家系で父親は戦時中にイエローガスの研究を
していたし、叔父はMATの上部組織といえる地球防衛庁の長官と
いうもの。

 しかもエリート隊員なので正義感や責任感が強い一方、プライ
ドが高く短気なところがあるわけだから加藤隊長の推薦で入隊し
たレーサー上がりだった郷に対して複雑な思いを持っていたのは
間違いない。

 まして郷が入隊以来ありとあらゆる項目で自分達を凌ぐ成績を
出しているので忸怩たる思いがあるのは分からないでもないし、
だからこそ郷の意見に対して反発するケースが目立つのも仕方な
いだろう。

 帰ってきたウルトラマンは第1期ではなかった要素を入れていく
方針だったので、その目玉が郷と坂田家との絆や隊員同士の対立
だった事になる。

 つまりウルトラマンの能力を授かった郷秀樹の感覚の方が世間
一般からすれば異様なわけで、それを否定し対立するキャラの存
在は一般人の代表という事になり岸田隊員はその代表になってい
るのだろう。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (Bill McCreary)
2021-05-01 23:46:39
TACやMACもそういう傾向がありますね。「レオ」の第6話の白土隊員をはじめとする初期のMAC隊員も、やたらおおとりゲンと対抗していたし、TACの北斗とのトラブルもお約束ですね。そういう意味で言うと、ZATの和気あいあいぶりというのは、なかなか特異です。

そういう点では、「タロウ」は他の番組にない要素を取り入れていたし、「レオ」は回帰ですかね。合体変身とかウルトラの母とかダン隊長とか、各番組もいろいろ個性を出していますが、やはり何作品か続けるとネタが切れるから、「レオ」での打ち切りは、企画の段階で「タロウ」より視聴率が悪いのは予想できたので既定方針だったということです。休んで規格を練り直すのは必然だし、第1期が「セブン」で打ち止めになったのも結果的には読方と思います。ただそういう意味では、戦隊ものや仮面ライダーはすごいと思います。
 
 
 
3作品が限界 (こーじ)
2021-05-02 10:33:19
>Bill McCreary様

 巨大ヒーローものはネタを仕込まないとダメですから間を開けるといいものができますが、詰まってしまうと陳腐なものになってしまいやすいですね。

 だからレオなど実はいい設定だったのに、時間がなく陳腐なものになってしまっているケース多いです。

 だから平成に入るとティガ・ダイナ・ガイアで一旦終わり、コスモスを挟んでネクサス・マックス・メビウスと続けて間を開けているのが象徴的です。

 逆に東映の戦隊モノなどオモチャ屋のグッズ売りに利用されているので大変だと思います。
 
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