今から20年前の今日97年12月23日に愛知県体育館で行なわ
れたWBA:Jバンタム級タイトルマッチで、2位の飯田覚士が王者
ヨックタイ・シスオーに判定勝ちし3度目の挑戦でタイトルを奪取
した。
飯田は前年4月にアリミ・ゴイティアに挑戦し5RTKOで敗れた
1年後、ゴイティアをKOしたヨックタイに挑戦し終盤攻勢に出た
ものの1-0の引き分けでタイトル奪取できずに迎えた3度目の挑
戦だった。
前回の対戦では前半型のヨックタイの攻勢を空回りさせてスタミ
ナを奪い中盤過ぎから攻勢に転じるという計画をしっかり完遂した
ものの引き分けだったから、勝つためにはプラスαが求められるわ
けで基本的に再戦というのは両者の学習能力が問われるのだが自分
の‘型’に拘る日本人選手は不利といわれてきた中での再戦になる。
基本的に今回も立ち上がりはヨックタイの攻勢を飯田がどこまで
捌けるのかと思っていたら、何と飯田の左ストレートが王者のガー
ドを貫通してダウンを奪ったのだ。
これで一気に飯田がペースを握り王者が挽回のために焦って出て
来るところに飯田のパンチが的確にヒットするなど前回とは真逆の
展開になっただけでなく、王者はボディを攻めるものの6Rと9Rの
2度にわたって減点を取られるなど苦しい展開になった。
ただダウンを奪った事で予想以上にペースアップして戦った飯田は
前半のダウンに加え2度の減点を受けて倒しに来た王者の攻勢の前に
徐々にペースダウンし、特に最終ラウンドは逆転KO負けするのでは
と思えるほど一方的に攻めまくられたのだがクリンチなどあらゆる手
を駆使して凌ぎ終了のゴングを聞いた。
ダウンと2度の減点があるので極端な話5Rを取っていれば113-
112だから判定になれば大丈夫と思っていただけに、最終ラウンドの
ゴングを聞いた時点で勝ちを確信し実際に見事な判定勝ちで3度目の
挑戦でのタイトル奪取となった。
正直言って飯田という選手は世界レベルではパンチ力はない選手
だしダウン経験のない王者という事で1Rに飯田がダウンを奪った
のは意外だったが、これで流れを掴み優勢に試合を進めたもののハ
イペースの展開になりに終盤相手の反撃を許す形になった。
飯田の持ち味は徹底的に相手を分析し作戦を立て忠実に実行する
頭脳的な戦い方で、4月に引き分けた試合をしっかり学習しダウン
を奪うというプラスαでペースを握り完勝した見事な勝利だった。