三浦隆司‘ボンバーレフト’空転

三浦、王座返り咲きならず=大差判定で敗れる―WBC・Sフェザー級

 日本時間の昨日ロサンゼルスのインクルウッドフォーラムで行わ
れたWBC:Sフェザー級タイトルマッチで元王者で1位の三浦隆司は
王者ミゲール・ベルチェルトに挑戦したが、得意のボンバーレフト
を巧みに封じられ大差の判定負けで返り咲きを阻まれた。

 1R終了間際に右から左の返しをテンプルに貰って軽いダウンを喫
した三浦は4Rあたりから反撃を開始し得意の左を中心に攻め込むが、
王者はアウトボクシングに徹しただけでなくラウンドの残り30秒か
ら軽いパンチながら連打をまとめてジャッジにアピールするなどポ
イントのピックアップも巧い。

 8Rあたりから左ボディブローが何度かヒットし後退一方に追い込
むもののポイントで勝っている王者は無理に打ち合わず、距離を詰
められればクリンチで凌ぐなどラウンドを空費させ逃げ切った。

‘三浦が敗れるなら このパターン’という形に見事に嵌った試合に
なったわけだが、惜しむなくは1R終了間際に喫したダウンだろう。

 ダメージだけなら王座を失ったバルガス戦の方があったのだが、
ポイントアウト作戦を画策していた王者にしてみると1Rに奪った
ダウンによる2ポイントが相当なアドバンテージになったのは間違
いない。

 基本的に三浦のスタイルは倒さないと厳しいところがあるわけだ
が最初の3Rまで失っても4R以降徐々にダメージを積み重ねて9Rあ
たりにダウンを奪い、その流れで一気にという青写真がダウンを奪
われた事で早めにダウンを奪わねば的な焦りからか顔面への攻撃が
主になりボディ攻めが殆ど見られず。

 せめて6Rまでに8R以降のダメージを与えていたら、あそこまで
逃げ切り作戦を遂行できなかったのではないかと思うのだ。

 これまで三浦が戦ったメキシカンはタイトルを奪ったガマリアス
・ディアスだけでなくメキシコで戦ったセルヒオ・トンプソンや、
フランシスコ・バルガスにミゲール・ローマンらは全て打ち合いに
応じていたので必敗パターンは露呈しなかった。

 また動き回るタイプのビリー・ディブをしっかり仕留めていた事
から動き回る相手に対する不安も少しは解消されていたのだが、や
はり今回のベルチェルトは1ランク違っていたという事になる。

 ベルチェルト戦は倒せなければ負けと考えていたので13ポイント
差をはじめとした大差判定負けというのは気にしなくてもいいと思
うのだが、再起するならばベルチェルトクラスを倒せるような戦略
も必要だし陣営の‘あそこまで足を使うとは’という言葉は今後は
禁句にするべきだろう。

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コメント
 
 
 
世界王者の引き出し (ある)
2017-07-18 03:46:50
世界王者たるや、打撃戦に強くKO率が高い王者でも戦術の引き出しの
多い選手が殆んどですよね。
六車の2階級制覇を阻んだフアン・エストラーダや、
仲里の強打に苦戦しながらも連勝したオスカル・ラリオスも、
そんな印象でした。
平仲昭信が防衛戦で敗れた時、対戦相手陣営から
「ワンディメンションな選手」と評されましたが、正直言って
今回も同じ印象。本当に残念ですね。
 
 
 
まさしくそれですね (こーじ)
2017-07-19 21:20:19
>ある様
 まさしく世界で長く勝ち続けられる選手というのは
引き出しが多いという特徴がありますし、そうでなければ無理ですよね。

 パンチャータイプの世界王者は日本では海老原博幸から始まり藤猛やロイヤル小林に上原康恒、浜田剛史らが
いますけど防衛回数は少ないですからね。

 そういう意味では三浦はレベルの高いSフェザーで4度も防衛したと思いますが、そういうタイプは意外にアメリカなどでは需要があるのかもしれませんね。
 
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