あしゅら男爵とブロッケン伯爵の関係について

　マジンガーZの78話でDrヘル率いる地下帝国の幹部・あしゅら
男爵が海底要塞ブードでマジンガーZに特攻して壮絶な最期を遂
げた。

　度重なる失敗で精神的に追い詰められた あしゅら男爵にとって
汚名を雪ぐ捨て身の行動だったわけで、Drヘルはその死を悼み
地獄城の海岸沿いに あしゅら男爵の銅像を立ててマジンガーZ
への復讐を誓うシーンでこのEPは終わる。

　地下帝国は当初あしゅら男爵率いる鉄仮面軍団のみだったのが、
度重なる失敗に業を煮やしたDrヘルが39話からブロッケン伯爵率
いる鉄十字軍団を投入したところから両者の対立が始まる。

　Drヘルにしてみれば当初は自分の側近である あしゅら男爵で
光子力研究所攻略は十分と考えていたのだろうがマジンガーZの
前に失敗を繰り返していた事から、戦闘のプロであるブロッケン
伯爵率いる鉄十字軍団を投入し両者を競わせる事によって戦果を
上げようとしたのだろう。

　ところがミケーネ帝国貴族だったあしゅら男爵と、生粋の軍人
だったブロッケン伯爵は犬猿の仲で足の引っ張り合いをする事が
度々あって完全に裏目だった。

　両幹部の対立は部下である鉄化面軍団と鉄十字軍団にも不穏な
空気を醸し出し、あしゅら男爵が特攻を仕掛ける前に鉄十字軍団
の一部が あしゅら男爵を襲撃するという事態に発展する。

　ただし あしゅら男爵が自らの死をもってマジンガーZと差し違えて
でも倒そうという覚悟はDrヘルだけでなく、ブロッケン伯爵や鉄十
字軍の心も動かしたのではないだろうか。

　悪役のキャラが立っているというのは名作の条件だが、あしゅら
男爵とブロッケン伯爵の人間臭い対立が楽しめるマジンガーZも
その条件を満たしているというのが分かる。