実相寺ワールド集大成の円盤が来た

 BSプレミアムで6日にOAされた4K版ウルトラセブン・円盤が来
たは、実相寺昭雄監督の昭和最後の演出作品だ。

 地球侵略を狙うペロリンガ星人が侵略部隊の宇宙船群を星に偽装
して一般市民にわざと見せるのに対し、専門家には見えないように
する事により油断させて地球を一気に制圧しようと企む。

 とはいえ星人自体は飛行能力は持つものの大した武器は持たず、
宇宙船群もホーク1号1機に壊滅させられているので大して強くない
という印象にも拘わらず何故か評価の高い作品になっている。

 今回のEPは第1クール終了後京都に出向していた実相寺監督が飯島
敏宏監督と共に第4クールで呼び戻され第四惑星の悪夢と一緒に撮っ
た作品で、川崎高のペンネームで上原正三と脚本まで担当しているが
第四惑星の悪夢は上原正三担当なのに対し円盤が来たは実相寺監督の
担当のようだ。

 つまり今回のようなほのぼのとした世界こそ実相寺監督が撮りたか
った作品ではないかと思うし、正しく実相寺ワールド全開という感じ
なのである。

 セブンなどが海外進出を考慮した近未来SFという時間軸に舞台を設
定しているにも拘わらず逆行するかのように おんぼろアパートの一室
でちゃぶ台を挟んだダンとメトロン星人の世界が実相寺ワールドだか
ら、いかにも60年代後半の下町風が舞台になっており気の弱い町工場
の工員・フクシン三郎が実質的な主役として描かれている。

 ふすまを開けると宇宙船が映るスクリーンが出て来るというのも、
メトロン星人編で会談を終えた星人がふすまを開けたら宇宙船内とい
う描写と同じでバックにナイター中継の実況が入るのも然り。

 こうして前置きが長いわりに戦闘シーンはあっさりと終わるという
のも実相寺ワールドだから、物足りないと思っても割り切るしかない。

 満田かずほ監督が雑誌のインタビューで現場スタッフはセブンが終
わると今生の別れと思って撮影したと言っているので、途中参加した
飯島監督のクレージーゴン編が監督のテイストを総動員して作ってい
るのを見るとペロリンガ星人編は実相寺監督のテイストを脚本から反
映させた作品なのだろうと思う。

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