三浦が引退表明=WBC元Sフェザー級王者―ボクシング
元WBC:Sフェザー級王者・三浦隆司が引退を表明した。
元WBA王者の内山高志も引退を発表しており、世界に誇る2人
の強打者が同じタイミングで引退するのを見ると1つの時代が終
わったと実感する。
三浦隆司の知名度が上がったのは11年1月に代役挑戦者として
WBA王者の内山に挑んだ試合で得意の左ストレートでタウンを奪
うものの、右拳を痛めた内山に左一本でコントロールされて目を
潰されTKO負けを喫した時には左パンチが強いだけの選手という
イメージしかなかった。
ところが帝拳に移籍してからレベルアップし13年4月に粟生隆寛
からタイトルを奪ったガマリエル・ディアスをTKOで破りタイトル
奪取すると、8月にはメキシコに乗り込んでジムメイトのホルヘ・
リナレスに勝った事のあるセルヒオ・トンプソン相手にダウン応酬
の末に判定勝ちして初防衛に成功すると4度の防衛に成功する。
15年11月にラスベガスのセミファイナルでフランシスコ・バル
ガス相手にダウンを奪いストップ勝ち寸前から逆転KO負けしたも
のの、試合ぶりが現地のメディアから評価され今年1月にミゲール
・ローマンとの挑戦者決定戦に12RKO勝ちして7月のミゲール・
ベリチェルトに挑戦したのだが強打を空転させられ初めて世界戦で
ダウンを奪えずに判定負けした。
現代ボクシングではバランスの取れたタイプの選手が多い中で
左強打一本を引っ下げて挑むスタイルは世界でも異彩を放ってお
り、それゆえ長期政権は難しいのではと思う中で4度の防衛に成
功しTV局のバックアップがないおかげでメキシコやアメリカで
強豪達と戦って2勝2敗なのだから胸を張っていい。
現役年齢が上がっている現在33歳という年齢を考えれば‘もう
少しやれるのでは'とは思うものの、年々激闘型になってきており
ダメージの蓄積が心配されるし今さら4団体の暫定タイトルのよう
なのを奪って戦ってもモチベーションが上がらないだろう。
先日のベリチェルト戦では一転突破型の限界も見えたわけで、
ベリチェルトよりも数段強いワシル・ロマチェンコと対戦しても
正直言って勝つのは難しいという事から正しく潮時かもしれない。
ただ日本の歴代世界王者で三浦のようなハードパンチャー型は
海老原博幸から始まり藤猛やロイヤル小林に上原康恒、大橋秀行
や平仲明信らがいたが多く防衛しても1度という短命王者が多い
中で4度の防衛に成功し海外でメインを張れるまでなったのだか
ら一点突破型でも十分世界と戦えるというのを証明した。
そういう意味では本人が語るように正しく‘最高のボクシング
人生’といえるのではないだろうか。