相手投手が喜ぶ無闇な1アウト2塁

　今年のプロ野球も日本シリーズが始まり昨日行われたG2では
ホークスが1回にヒットで出塁した柳田を今宮がバントで送って
1アウト2塁から内川のタイムリーで先制して流れを作った。
　
　いわゆるセオリー通りの得点だが、却って1アウト2塁を作った
ばかりに得点できずに敗れたケースも多々ある。

　例えば10月14日と15日に行われたパ・リーグのCSで共に1点
リードしたファイターズが14日のバファローズ戦では逃げ切った
ものの、15日のホークス戦では逆転サヨナラ負けを喫した。

　面白いのはバファローズは先頭の伊藤がヒットで出塁し1番・駿太の
バントで1アウト2塁となりながら安達と糸井が倒れて敗れたのに
対し、ホークスは四球で出塁した李を松田がバント失敗後センター前
ヒットでつなぎ最後は吉村が逆転サヨナラ打を放ったのだ。

　送りバントを成功させたバファローズが敗れてバントを失敗した
ホークスが勝ったというのはノーアウト1塁での送りバントを溺愛
するマスゴミにとって皮肉な話だ。

　05年のCS最終戦で1点リードされたホークスが9回にノーアウト
1塁で8番の鳥越がバントで1アウト2塁にした時に解説の川崎憲次郎
が‘バントでアウト1つもらえたのは小林雅にとっては楽になりまし
たね、アウト1つ取るとクローザーはホッとしますから'と言っていた
のを思い出す。

　マーリンズの小林雅は2日前に最終回でリリーフに失敗していたの
だが、結果的に先頭の大村を歩かせ1アウト2塁になったもののPH
柴原と1番・川崎を討ち取り試合は終わったのでいみじくも川崎憲次郎
の言葉が現実になった事になる。

　そういえば10年の日本シリーズG6は延長15回引き分けとなったの
だが、延長に入って両チームともランナーを出し続けていた中でゲスト
解説の野茂英雄が‘ピッチャーはバントで1アウト2塁になると楽です
から'と語っていた。

　今シーズン中村紀洋は1塁ランナーが動く事に対し‘バッティングに
集中できない'と言って物議をかもし登録抹消となったのだが、ロングヒ
ッターにとって1アウト2塁より1塁の方が打ちやすいという説が多々
あるのも事実。

　個人的にノーアウト1塁をバントで送って1アウト2塁を作るのは
否定しないがバントをする打者の方が後の打者より当たっている
場合は相手を喜ばせるだけではないか。

　14日のバファローズのようにノーアウト1塁で先頭打者HRと2
ベースを打って当たっていた駿太からバントをされるより、そのまま
打たれた方がファイターズは嫌だったのではないかと思うのだ。

　マスコミも条件反射のような送りバントを賞賛するのではなく、
意味のないバントは大いに批判するべきではないだろうか。