ペルーから日本に来て三年で、まだ日本語は勉強中の
お友達が、「ディズニーランドより山に興味がある」というので
北アルプスの燕岳2763mに連れてった。
いきなりアルプス!?と思うけど
彼は若く(30代前半)、体力がありそうなので
大丈夫だろうと
まずは靴やレインウェアを買うところから始まり、
いろいろ準備して、レクチャーしたんだけど、
出発のときに彼の持ちものの無駄の多さに愕然とした
ローションみたいなの一本丸ごととか登山靴以外にスニーカーとか
・・・。
初心者も初心者のスーパー初心者じゃ。と思って。
本当に気が引き締まった。笑
登った燕岳を背に。
子供たちを初めて燕岳に連れてっいたときのように
合戦尾根往復を思っていたんだけど
彼はあまりに体を鍛えているので、これは東沢乗越から
挑戦してみたいっていうわたしの野望が芽生え・・・・
(東沢乗越経由はルートファインディングの必要があるし、距離の長さ・藪漕ぎ、急な登りなど
で要経験と準備
)
ルートファインディングは沢のところで、何度も渡りかえしたり
そこから尾根にとりつくとろことかわかりにくい。
ちゃんと地図とコンパスもって地形を見ていかないと大変。
で、彼のほうは何県の山に行くのかさえわからないレベル
地理も日本の山も何もかも知らなくて、
教えがいがあったよ
*
中房温泉〜東沢乗越〜北燕岳〜燕岳までは誰にも会わなかった。
求めていた完全な自然があった。
木々とか花の濃い香りが満ちていた。
またいだり、這いつくばるように登るところもたくさんあった。
彼にはいろんなことが起こった。
靴ずれになりかけたり(パッドでケア)
目に虫が入ったり、
沢で靴が水につかったり、
藪漕ぎで半袖の腕が傷だらけになったり。
でも!
うおーペルーのジャングルみたい!
わー!ペルーを思い出す
と、めちゃくちゃ楽しそうなので、さすがと思った
ガスバーナーを使ってお昼ご飯にしたときも
感動して喜んでくれた。今回は燕山荘でも自炊にした。
食べ終わったら、靴下と靴を脱いで昼寝しようとしたので
ダメダメ!もう行くよ!と、わたし
遅くなると夕立や雷怖い。
2250mの東沢乗越から上もまだ急な樹林がずっと続く。
普通の初心者なら泣くと思う。
山のこと、嫌いになるかも。
連れてきた私もすごいと思った。笑
なのに、彼は本当に泣き言ひとつ言わず、楽しそうで
前向きだった。
だんだんと、高度感が感じられ、アルプスの稜線が見えてくると
彼も本当に感動していた。
Gracias dios de la montaña!!
山の神様ありがとう
とスペイン語で、景色に向かって叫んでみたりした。
2700mの稜線に出ると雲に覆われて、遠くで雷が聞こえてきた。
ほんと、緊張する。
コマクサの花たくさん
彼はたくさんの花の中で、毒のあるトリカブトを
覚えた。
あとで、自分の記念の山の名前と、この厳しい東沢乗越ルートだったことは
覚えた方がいいと思う
と言うと何度も
ヒガシザワノッコリ ヒガシザワノッコシ ・・・
「わたしはヒガシザワノッコシからツバクロだけにのぼりました
たくさんのトリカブトをみました」
と練習していた。
でもね!
ここの代表の花はトリカブトではなくて、コマクサの方がいい
と教えると
「
わたしはヒガシザワノッコシからツバクロだけにのぼりました
たくさんのコマクサとトリカブトをみました」
と言えるようになり!
完璧!と私に褒められていた。笑
そんなこんなで、朝の6時から登り始め、15時くらいに燕岳の山頂!
燕山荘のほうから登りに来ていた二人組のカップルが一緒に
おめでとう!って声をかけてくれ、写真を撮ってくれた。
初めてで、すごいね!!って言われて嬉しそうだった彼。
彼は日本語の日常は話せるけど、難しいことはわからないので
ほとんど英語で話してたんだけど、
山小屋や下山の時は、私も一緒に英語で話しかけられたりした。
すれちがう人にHelloって言ってみると
Helloって返してくれるけど、
Holaってスペイン語で言ってみたらほとんどスルーだった。笑
わたしも英語で話しかけられる時もあって
日本語で返したら
なに!日本語ペラペラじゃん!?って笑われたり。
pm18:45
100周年の燕山荘。
中が迷路みたいで、迷子になると、わたしにずっと
ついてきていた
夜はワインを飲みながら自炊室で食べて、消灯までおしゃべりした。
わたしは寝ていたけど、彼は夜中に目が覚めたとき
窓の外に満点の星空を見て感激していたらしい。
流れ星見えた?と聞くと
え、日本でも見れるの?と。笑
*
私が外国に行ったとき、いろんなことを教えてもらうように
私も景色を見ながらいろんな日本のことや、山のことや
歴史のことを説明した。
am5:00
たとえば、糸魚川静岡構造線のこととか。
富士山や南アルプスのことや、
火山のことや日本の氷河期のことや。
朝日を見て快晴のアルプスの景色を見て
山々のことを説明した。
そういえば、朝日が東(左)から登ることもびっくりしていた!
東京はどっちかわかる?と聞くと反対方向を指さすから笑ってたの。
そしたら
ペルーでは太陽は反対から登るって。南半球だから。
あ
そっかあー
ていう話をした。なるほど!
ちょうど、日本の一位から三位までの山も見えるので、
指差しながら伝えた。
彼は来週富士山に友達と挑戦し、わたしは南アルプスのツアー!
それぞれを指差して、
近いでしょ?手を振ろうね^_^とか。
日本の山は修験の山もたくさんあることや、
世界の中の日本列島の生い立ちとか。
環太平洋造山帯のこと。花崗岩のこと。
そして、彼もペルーのたくさんのことを教えてくれた。
合戦尾根の景色では、白い乾いた道が
子供の頃におばあちゃんの畑に行く道に似ている、
マンゴーや、アボカドの畑、懐かしい!
そうだお母さんに写メを送ろうと
送っていたわ。
たくさんの登山客にすれ違い、
合戦小屋で名物のスイカを久々に食べ、
いいペースで歩き、問題なく無事下山♪
今回は持ち物のことや、荷物の入れ方、
ザックのしめかた、背負い方、服をレイヤーにすること、
山の天気は変わりやすいこと、アルプスの温度は全然違うこと、
たくさん勉強になったと言ってくれた。
そして、また山に行きたい!最高!と言ってくれた。
あ、下山のとき、わたしの仲間の上鶴さんにも会った♪
お客さんたちを連れて登ってくるところだったの。
ぎゃーって、飛びついた私を想像できるかな?笑
緊張も伴う山行は、成功した時の喜びも大きい!