やまろぐ☆つあれぽ

海外登山&トレッキングツア専門の
添乗員の自由日記と
家事育児の日常♪

ナンガパルバット キャンプⅠにて 涙が

2018-09-21 13:28:09 | パキスタン



パキスタンにある、ヒマラヤ山脈の世界第九位の高峰
ナンガパルバット8126m

1953年、人類がエベレストに初登頂を果たした同じ年、
(もう暗記で言える。笑)
オーストリアのヘルマン・ブールが
ナンガパバットの北東尾根から
単独・無酸素で登頂を果たした。

今、一般ルートとされている西からのディアミール、
南からのルパール壁(世界最高標高差の4800m)。ラインホルトメスナーのことや
日本の竹内洋岳さんのこと、
2016年のシモーネ・モロの冬季初登頂のことや
今年の冬にもトマッシュがなくなったこと、エリが
登頂したけど彼をおいてきたこと…

わたし、この山をめぐるドラマをたくさん勉強したし、
それらはわたしにはとても手の届かない、神の領域のほうに近い
遠い世界、壮絶で美しい世界。
けれども、今回、
みんなでキャンプⅠ(4500m)まで登ってきて
最高のお天気に恵まれて、
わたしがこの山とこんなに仲良くなったのは初めてで、笑
こんなに
近づけたのは、
わたしだけの力ではなく、
出会いのおかげなんだと
心の底から感じたの。


*

ナンガパルバットも3400m付近までは
観光地になっているところがあり、
ジープと3時間くらいの歩きで
けっこうすてきな展望が楽しめるようになっている。
まあ、そのジープもすごいんだけどね。

われわれは!

今回は、ベースキャンプもへて
さらにその奥まで行ったわけ。

もう、このナンガパルバットの白い氷河の大北壁が
腕を伸ばせば届きそうな近くにあったの。@ NangaParbat campⅠ 4500m

わたしの真上のところが主峰


飛行機の着いたイスラマバードから
車で2日の移動の後、
ガタガタのがけの道をジープで一時間半に、
トレッキングに入ってから
ゆっくりゆっくり
登り四日目で到着するキャンプⅠ。4500メートル。





パパと娘ちゃん




ナンガパルバットの北壁へ向かう


ライコット氷河






染まる8000mの本当のピーク。ピークは奥になる








ベースキャンプからの天の川とナンガパルバットの8000mの稜線

三脚にとめるねじがなくなったので石の上に置いて撮った(ので、ぶれてるね)

これ流れ星なん?それとも?













1953年当時のアイゼン


左、ジルバーザッテルと右が主峰

ヘルマンブールはこの、左から右へと登ったの。ひとりで。
他には誰もこのルートは通ってないと思う。
一般ルート(ディアミール)はこの右奥


パキスタン北部、フンザ方面の山々を見る
私たちに同行の警察官(保安のため)と銃とライコット氷河







ベースキャンプ4000m




すてきなキッチンでしょ








ベテランのお客さんもいらっしゃったし、
なんと今回が人生初めての登山ツア!というベイビーちゃんも
いらっしゃった。(こんなのが初めてって贅沢すぎ)
とっても前向きに楽しんでくださってて
辛いっていいつつも、笑顔たくさんでとってもかわいかった。


それからご指名くださった方々が3名いて、
直前に来れなくなった方もいた。
二か月前にツアでご一緒したばかりなのに
わたしがいるからって、それだけで、急に参加してくださった方もいた。




ありがたいし、
わたし、
この最高の天気の中、(しかも全行程の中でも最高だった)くもひとつない青空の中を

このメンバー全員で登っていけたとき、
神々しい大氷壁の前で、涙出た。
想像していたのをはるかに越える美しさと
わたしたちの意思とか、感情とか
まったく関係ない(山にとっては山)ただただそこに
佇む、なんだか不動の…姿。

威風堂々というのかしら…
真っ白で巨大で別世界で、超目の前で。
すごそこにあるのに、・・・
あぁ、表現が追い付かない…キーーーーーッ
そのとき、その場に立ったわたしたちは
おそらく言葉より先に、
あまりのその圧倒的な美しい姿に
言葉を失っていた。

そのとき、わたしがそこにいれたのは、
と思い、ご縁とつながりを感じたの。
なんでわたしがこんなところにいれるのか。
来れなかった日本の、わたしをご指名くださったメンバーのことを想い、
そのとき、急遽ご参加くださったかたが
「うえやまさんじゃなかったらここにはいなかったから、感激」
って。
なんか心の中にあふれてくるものがあった

…。
目の前の美しい8000m峰と
目の前にいらっしゃたみなさんの姿がひとつになって
とけて、滲んで、熱くなり、わたしの心のまんなかに
おちていったの。ぽろぽろと。




しばし
わたしたちは、『山の無言』に、圧倒されていた。
山の方は、わたしの気持ちなんか全く関係ない風に
平然としていた。






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