酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

少しだけ、ほらーな話 水の事故に想う

2007-08-07 08:34:47 | ほらーな話
菖蒲田海岸は宮城県内でも有数な海水浴場です。おだやかな波と遠浅の海岸。荒浜と違って、外海から直接波が来る事もあまりないですから、そこそこ安全な海水浴場と言えると思います。酔漢はよく家族で出かけました。でも、お気に入りは、その左の岬の影にあります通称「外人浜」が好きですけどね。そうそう七ヶ浜には、今だに「アメリカ領」があるのですよ。絶景の位置です。東北学院のセミナーハウスの丘の正面の岬です。その外人浜からは、花渕灯台(無人の)が白い姿を見せております。だれしも、行きたがるとは思います。でも行くのはちょっと大変な道を歩かなくてはなりません。
酔漢、高校の友人と、自転車で行った事があります。もっとも、父の生まれた地でもありますしスズキの回遊してくるところですから、釣りをするにもいいポイントでもあります。(酔漢、自転車は多少なりとも一過言持っております。これも後ほど、じっくりお話いたします。ちなみに、昔風のランドナーですが、TAとジュピリーの組み合わせギアです)
ちょうど、夏休みの最中、やはり自転車好きの友人と七ヶ浜あたりをポタッておりました。花渕灯台に行ってみようということになりその場へ向いました。山道を自転車を走らせ、で、途中から自転車を押して灯台あたりまで来ると。
「酔漢、線香くせくねぇか」と友人が言い出しました。
「うん、くせぇっちゃ」
灯台に近づくにつれ、線香の香りがあたり一面漂っているのでした。
「酔漢、あれだんだべ?」
友人が何か見つけたようでした。
灯台の脇に小さな碑があり、献花がおかれ、今だ焚いたばかりの線香が白い御香をだしておりました。
その碑には「海を侮るなかれ」と言った意味の文と仙台三高PTAの文字が。
「誰か死んだのかや?」
「こんなところで泳ぐ奴いっか?相当あぶねぇど」と酔漢。
ちょうどその時、雷雲が立ち込め、雲行きが怪しくなってきました。
僕らは灯台を見ることなく、そそくさと退散いたしました。
急に、背中がぞくぞくしだしたのも事実です。
夏休みも終了し、その話をクラスに持ち帰ったところ、こじま君が、おもむろに口を開きました。
「あにきの同級生だっちゃ」
「同級生って?」
「五橋、そして三高で両方な」
「こじまは、その経緯知ってんだなや」
「んで、話ばすっから」
「その先輩は、友人3人して外人浜さぁ海水浴に自転車でいったのっしゃ。しばらく泳いでいたうちに、浜から灯台見えっぺ。『行ってみっぺ』って事になったのっしゃ。行ったうちだけは良かったんだけんど。泳いでみっぺって。。。」
「俺、よく釣りに行ったけど。とても泳げるところではねぇっちゃ」
「まぁ、知らねぇ奴はそんな事考えねぇんだべ。で事件はそこからっしゃ」
こじま君も神妙な顔をしておりました。
「その先輩一人が波にのまれたのっしゃ。それも他の二人が気づかないうちに。夏の午後だべ、回りには人なんかいねぇっちゃ。後の二人は、さんざん探したんだと。んで、ようやく助けさぁ呼びに行った時には夕方だったんだとや。それでも、次の日からは、地元の人達も船で捜索したんだけんど、行方不明のままだったんだとや。でも、二人は毎日現場に行ったんだとや。で事故から4日目の日だっちゃ」
こじま君は大きなため息をつきました。
「本人が灯台の下にある岩場さぁ、座っていたのっしゃ!」
「行方不明の本人すか?」「んだっちゃ」「なして?」「まぁ、話さぁ聞け」
「『おめぇ生きてたのか』と、一人が駆け寄ると、本人は黙ったまま、海の方を向いているだけで、何も言わないのっしゃ。しばらくして『おれの死体は、あっちの方さぁあっから、探してけさいん』と左の方を指さして、また海さぁ飛び込む格好で消えたんだとや。二人はあわてて、山道を駆け下り、警察さぁ行ったんだとや」
「もちろん、行方不明のはずの本人が言ったなんて信じてもらえねぇべ。ただ、捜索していない浜を探してくれって言ったのっしゃ」
酔漢、あの辺でよく親父と投げ釣りをしていましたので、知っているのですが、菖蒲田浜で遭難すると、たいていは仙台港の方へ、流されるのでした。ただ、この時は花渕港~吉田浜あたりを指していたのではないでしょうか。
「地元の人達も最初は『こんなところに流されるわけねぇべ』って言ってたらしいんだけんど、あんまし熱心に二人が言うもんだから、探したわけだっちゃ。そしたら」
「そしたら?」
「岩場の影に引っかかって、死体さぁ上がったんだとや。5日目の事だっちゃ」
話を聞いていた僕らは、背筋がぞーっとしてきました。
「海で遭難したって、遊泳禁止区域だべ。当時の仙台三高PTAが二度とこんな事故が起きないように、碑ば造って命日にはみんなしてお参りするんだとっしゃ。酔漢はちょうどその日さぁ行ったんでねぇか。死んだ、その先輩は中学でちょうど、俺らと入れ違いの卒業生だっちゃ。お父さんは駅長してたらしど」
僕らは、「恐い」という思いよりも、少し悲しい気持ちになったのでした。
子供達を連れて、帰省いたしますと、外人浜へ、海水浴に行ったりします。泳ぎは達者な次男ですが、海で泳ぐ経験は僕らよりは少ないので、見ている親としては心配するわけです。我が家では「当然友達だけで海には絶対行かない。そして友達の親が一緒でも行かない」ときつく言っております。
住まいから江ノ島まですぐ近くです。この前の日曜。そのいつも泳ぐ西浜で中学生二人が行方不明となりました。いたましい事です。夏休みどこかで起きた水の事故を知るたびに、亡くなられた先輩の事を思い出します。
「海を侮るなかれ」いや「自然を侮るなかれ」

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3 コメント

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こんばんは (見張り員)
2013-07-26 22:42:21
酔漢さんの過去記事を拝見していまして「ほらー」な話を拝読いたしましたが・・・もう背筋がぞーっとしています。冷房のせいだけではないですね…(-_-;)

やだ~、一人でお風呂入れない~~

っていい年して何言ってんだかw。
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見張り員さんへ (酔漢です)
2013-08-07 08:15:44
夏らしいでしょ!
少しはこえがったすか?といきなり仙台弁。
じぇじぇとは言いませんが・・・!

実は、もっと怖い話しはありますが・・
まだ公開しておりません・・デス!
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「外人浜」 (Tetchan)
2014-05-30 22:06:59
こんばんは。連続での投稿です。
十年以上前だったと思いますが、隣の小豆浜でサーフィンで亡くなった事故もあったようです。碑が建ってました。
「外人浜」では時々マリンスポーツやってます。いまもです。 震災後は(悲しいですが)海水浴場をやらなくなったので、逆に、行く回数が増えてます。
ときどき外人と話しますが、去年、家に来ない?と誘われて、娘たちと訪問しました。 静岡から避暑にきてる宣教師のご夫婦でした。 中古別荘を数十万で買ったそうです。 かなり古くて傾いてました。 宣教師しか買えないという協定だそうです。 残念。
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