酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

迎え酒はきく?

2008-09-08 09:45:24 | ブレンディッドウィスキーの話
「明日、午前10時から通し稽古するって。演出のわしあしくんが言ってた」
伝令でした。
「うそ。あしたは、シーン別のパート別のそのぉ、楽な練習だったはずじゃぁ・・」
「どうしても、全体のバランスが見たいんだって、わしあし先輩言ってました。じゃぁ、先輩達お休みなさい」
伝令は「おれよちゃん」(彼女の本名を誰も呼んではおりません。オーディションのとき、彼女は緊張のあまり自分の事を「お・お・おれよ・・」と山形訛りで話したのでした。それ以来彼女のあだ名は「山形おれよ」になったのでした)
彼女は僕らの超酒臭い部屋に入り、一方的に伝えたかと思うや否や、すぐさま去っていきました。
ちょうど、4人で一瓶空けたあたりです。飲んでいるお酒は「ザ・フェイマス・グラウス」誰が持って来たのかは知りませんが、勝手に飲みはじめました酔漢一味でございます。
「『通し』ってことはだべ。『通し』のことだっちゃ」
もう酔っ払っているわけでして、呂律が回りません。
「んだ、一幕だけでも1時間以上だよな」おおた君(美術・音響担当)
「酔漢、台詞頭さ入ってるか?」
「入ってる事は入ってけんどや。あした午前中は手抜こうって思ってたからっしゃ、しこたま飲んでんだべ」
そうなんです、時計は午前零時をまわりました。
後輩のにし君はもうすでに「ぐでんぐでん」状態でした。
「あしたはあした考えっちゃ」
ぼくらは寝にかかりました。

翌日です。ホール集合。
「酔漢、酒くせぇど」
「毎度のこった」
「俺あたまいてぇ!」とみずま君。
「あれ?にしは?」と彼の話題に入りかけましたとき、廊下から「おれよちゃん」の声が「先輩来てくださぁい」
「なんだや」「いってみっぺ」と、現場急行。
「にしぃぃぃぃ!」と叫ぶ、としお君。
見ると、彼が廊下で仰向けに!
「どうしたんだ!」
「あ・・先輩・・で・・す・・か。頭・・い・・たく・・・・・て」
「こいつ二日酔いだべ」とみずま君。
「んで、迎い酒だな」と、としお君の提案は、あっさり受け入れられました。
なかだて君が「先輩これ作りました」と「フェイマス」の水割りを、にし君へ。
「きくんですか」とにし君。
「問答無用!まず飲めっちゃ」と酔漢。
あのここで一言です。「二日酔いに迎い酒は効きません」ですが、そこは『にし君』です。彼の顔を見たとたん、皆が思った事は一つ。「酔ったにしの演技ば見てみたい」なのでした。
彼一気に飲みました。
「先輩、なんだかスッキリしました」と、顔真っ赤のにし君。
「よし!これで解決だべ!みんながんばっぺ」
(何も解決していないような・・)

練習開始。演出のわしあし君。僕らがハイテンションで調子よく練習を続けている様子を不思議がっておりました。
「なんだや、にしの奴。動きいいべ」です。
アガサクリスティーの芝居です。結構シリアス路線ですが・・・。
一幕の半ば「シーン20」位のとき、突然にし君がうずくまりました。
「にし、なんじょした?」
「せ・ん・ぱ・い   トイレ」と、言葉を発したかと思うと、ダッシュ!
と、演出のわしあし君の怒鳴り声。
「酔漢!おめぇにしさぁ、どのっけ酒のましたのや!」
「まぁ4人でボトル一本」
「ばかやろう!飲みすぎだぁぁぁ」(俺も呑みたかったといった顔はしっかりしておりました)
「あの部屋に偶然『ファイマス』があって・・・・」とみずま君
「なに!あれは俺のさけだったんだぞーーー」怒髪天!
そこに、にし君スッキリ顔で再び登場。
「さぁ先輩達、大丈夫です。始めましょう」彼、冷静。
まぁ、午前中からの練習はなんとか無事に済みました。
が、午後のミーティング。
「今日から、おめぇら4人は禁酒だ」と部長のかんの君の一言。
酒がなければ、合宿なんて地獄だぁ!
「ファイマス事件」として、卒業後も語り継がれておりましたとか・・

イギリスでは「狂犬にかまれたら、噛んだ犬をとっ捕まえて、毛をむしり取り。その毛を傷口にすり込む」という治療法?がございます。
二日酔いへの迎い酒をこれと同じように「Hair of the dog」と言います。
そして、これと同じ名前のカクテルがございまして、内容はこうです
「ウィスキー+はちみつ+生クリーム」
こいつは二日酔いに効くというカクテルでございます。
とても、飲めません。(尤も、ウィスキーの相性もあると思うのですが)甘すぎです。

こんな事件がありましたので「ザ・フェイマス・グラウス」は、忘れられないお酒です。
創業者「マシュー・ブラウン」さん。雑貨商でした。彼、お酒好き。自分のウィスキーを作ろうと思い立ちました。
最初に出来ましたお酒に「ザ・グラウス・ブランド」と名づけます。
「やっぱすぃ、スコットランドの鳥はかっこいいっちゃ」で国鳥(スコットランドは国です→イギリス人の気持ちはそうです)の「雷鳥」を名前にしました。
ある日、場末のバーに入りました「マシューさん」お客が「有名なグラウスをくれ」と注文しているのを見まして「フェイマス」(有名な)とわざわざ名前にも付けてしまったのです。そしてCMが当たります「一杯のグラウスの他は何もいらない・・」
ボトルに鳥なので「ワイルドターキー」と一緒です。雰囲気は似てますが、「七面鳥」と「雷鳥」の違いは明らかです。が、本当に雰囲気は一緒なんだよなぁ。
使われております主なモルトは「グレンロセス」(スペイサイド)「ハイランドパーク」(アイランズ→「スコッチウィスキーの話」で語りました)そして欠かせませんアイラからは「ブナハーブン」(アイラモルトで尤も臭くない?)です。
(他の数種類のモルトをブレンドしてます。グレーンは不明です)
ロンドンのパブ。尤も飲まれております「ザ・フェイマス・グラウス」です。
なにも言わず「スコッチくれ」と言ったら大概このお酒です。

二日酔い。いい方法ございますでしょうか・・・酔漢。


コメント (24)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ねことがちょう | トップ | 僕がマクレガーさ! »
最新の画像もっと見る

24 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「マスター」=! ! ! (ぐずら)
2008-09-08 23:01:54
なななんと

「マスター」が「○○○○様」でしたか
そりゃぁ必ず逢ってるはずだぁぁ~!
あの丸顔でいつもニコニコしてる、かの山本監督を髣髴とさせる容貌で、ギターオタクにしてタガメ愛好家・・・
たがめやを始めた頃にはウクレレにも凝ってたのを思い出しました。

ところで、先日はたがめやを見つけられずに悔しいぐずらは、ネットになにか出てないかと探しまくったところ、今年3月13日付けのブログ(レモンカントリー等でライブやってるジャズバンドマンのブログで「NABEX」)に「今日たがめやに行ったら相変わらずだった・・」との記事を発見しました。
この間は時間が早くて開店前だったのか?それとも、たまたま休みだったのか?はたまた、ホントに閉店してしまったのか?

不完全燃焼なので、いずれ近いうちにリベンジ捜査してみるつもりです。

んでまた。
あっ!そうそう、うちのぱるえが同性寺の写真を見つけたとかで、酔漢さん向けにブログアップしましたので、よろしければご覧ください。
なんだ? (ひー)
2008-09-08 23:27:24
ぐずらが興奮している。
以前のコメを見るのも大変だし・・・
後でメールよこせ!←ぐずらへ!
たがめか~?
小学校以来? 何でたがめ・・ここには僕には知らない世界が・・・・
何で学生がこんなに酒を・・・・
最近ヘパリーゼなる物が流行とか悪酔いと言うか代謝がいいのか、便利なものがあるらしい。
肝臓が悲鳴寸前? (おばらあつひろ)
2008-09-09 21:48:10
二日酔い対策。

やっぱり呑むことでしょうかね。

迎え酒。

休肝日…知らねじゃ、といった風情で。

たとえば、ビールならアサヒのところをキリンやサッポロにするとか。

焼酎や日本酒であれば、銘柄もたくさんですから…麦を芋、辛口を甘口にする…。

まんつ、呑みつぐすこどだべ…。なんて。
唯梨庵では (酔漢です )
2008-09-10 07:27:10
ぐずら様へ
北目町という場所がら、なかなか行く機会にめぐまれませんでした。
ですが、あの巨大たがめ(何度も登場しましたが)は見事でした。
あれは、博物館行きですよね。
お店の消息も大変気になります。
解りましたら是非お知らせ下さい。
ばるえ様のブログにもコメントを入れました。
よろしくお願いいたします
ひー様へ・・・・ (酔漢です )
2008-09-10 07:33:52
すみません、ぐずら様と「居酒屋」の話で盛り上がっております。
多分これには「丹治さん」も参戦すると思います。以前ひー様のブログに「文化横丁」の写真がございましたが、その写真のあったビルの二階に「唯梨庵」という居酒屋がありまして、(このブログの徳利の写真)ぐずら様もそこで飲んでいらっしゃったとのことでした。
「たがめや」は、その唯梨庵で働いていた大槻さんが、「唯梨庵」閉店後に開いた店。北目町にあります(→消息不明?)
酔漢の結婚式の二次会が予定されておりましたが、直前の大人数に対応できなく、キャンセルいたしました。そんなエピソードもある「たがめや」でした。
けっこう度胸がいります (酔漢です )
2008-09-10 07:40:49
おばらあつひろ様
前日にしこたま飲んだ後、朝にまた・・・。
これはちょっと。その時は良くても、「キックバック」が恐いですよね。
イギリスも日本も、迎い酒の発想は一緒でしたので、これは、面白いですよね。
ふーんだ! (クロンシュタット)
2008-09-10 22:31:03
ズルイなー。
私の知らない「居酒屋」バナシ。
参戦出来ないのでつまらん。
いいもん。
お店は「ろじーな」の思い出で十分さっ!

遠刈田は遠がった。
ご容赦を・・ (酔漢です )
2008-09-11 10:10:33
クロンシュタット様へ
そうなんです。二十数年前の居酒屋のお話が続いております。
今度、お酒の話が一段落したら(予定です。いつになることやら・・)落語の話(もちろん仙台のです)をしようかと、古いパンフレットを実家で漁っておりましたところ。
落語のプログラムの広告にこんなのがございました
「パブ どりぃむ。学生コンパ大歓迎!10名様以上のご予約の皆様にもれなくボトル1本プレゼント!幹事さんお早めに!」と、チャップリンの絵と一緒に書いてございました。
「このボトル1本」ウィスキー文化仙台ならではの宣伝ですね。
こっちじゃ絶対見ないですよね!
唯梨庵 (丹治)
2008-09-26 11:22:15
唯梨庵か・・・何もかもが懐かしい・・・どっかで聴いた科白ですね。失礼しました。でもホントに懐かしいです。

小生、ずーっと思ってました。飲み屋にボトルを預かってもらうようになったのは定職に就いてからだったと。でも、酔漢さんの話を読んで思い出しましたよ。

唯梨庵には確かにボトルキープしてました。酒は酔漢さん御薦め、マルスのアンバーでした。しかも文化横丁時代の唯梨庵。つまりは学生がボトルキーぴできるぐらい、良心的にやってたお店だったんですよね。

文横の唯梨庵は、初めて女性を誘って飲みに行ったとこです。大学三年生の冬、クリスマスイブの晩でした。国分町時代の店も勿論・・・ほろ苦い青春の思い出であります。

「たがめや」は、すっかり御無沙汰してます。カウンターのバックに飾ってある、大きなタガメの標本は今でもはっきりと覚えてますよ。大倉ダムの上流で採ったやつでしたよね。

マスターと酔漢さんのブログで再会できるとは、夢にも思っておりませんでした。これもIT革命のさせるわざですね。生涯IT反革命を貫くはずだったですが、革命されてよかった!!

マスター、閉店の時に頂いたベルは研究室のドアノブに健在ですよ。しかもちゃんと現役で、役目を果してます。

「たがめや」が健在だと分って、これほど嬉しいことはありません。是非とも行って、不義理を詫びねばなりません・・・

本当です (酔漢です )
2008-09-26 22:51:18
丹治様へ
もうかれこれ20数年が経とうとしております。
このブログで「唯梨庵」が話題にならなければ、酔漢と丹治様だけでの会話に終わっていたところでした。
「ひげ親爺様」そして「ぐずら様」と、会話?ができる事が不思議です。
「4人が一緒の日」は実はあった!
これで行きましょう。

コメントを投稿

ブレンディッドウィスキーの話」カテゴリの最新記事