さわりさんな・・・
住職、何したの!
とうとうやっちゃったか!
いやいや・・・
別にしてはいけないことをして叱られたのではありません。
とりあえず言っておかないと・・・
お昼ご飯を坊守と頂いた後、
喋らんようでもマイペースでつぶやくコイツに付き合ってくれている坊守。
こんなことでもなければ人と話しません、コイツ。
シャンプー・リンスの話になりました。
「地肌が問題らしいよ」って坊守。
「オレ、大丈夫だから・・・地肌もブラシで洗ってるから清潔だよ・・・」
と言うのが終わるか終らないかのうちに坊守の目線はコイツの頭に向きます。
壊れ物を触るが如くにコイツの髪を触ります。
心配そうな坊守の顔に焦りを感じつつ、
「大丈夫だって・・・」って自分で髪を手櫛のように梳かそうとすると、
「さわりさんな!」って速攻で叫ぶのです。
「え~ェ~・・・」ってマスオさんもビックリのコイツの声、
「そこまで・・・き、きちゃった、とうとう!」
「い、い、いや、だ、だ、大丈夫!」
引きつる坊守の顔にコイツの現状を知らされます。
「そうか・・・」
つらいものです・・・
なかなか諦めきれません、コイツ。
満たされていることには直ぐに慣れてしまいますが、
なくなるものには敏感ですね・・・