月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

芍薬之花

2011年05月18日 21時04分45秒 | 仏々相念(住職日記)

柔らかな花・・・

 

お昼からお参り下さったご門徒さんが、「Kさんの奥さんが届けて下さいということです。」

って、大輪の芍薬之花を手渡して下さいました。

思いがけないお託にきれいな花は勿論なのですが、案じてくださるご門徒さんのなんと有難いことか・・・

 

嬉しいものです。

いつも思うことですが、知らないところで案じてくださることに出会うと無茶苦茶嬉しいのです。

だって、そうでしょう!こちらはそのことすら思ってないのです・・・

日々、どうでもいいようなことに心奪われ、煩悩ばかり積み重ねる日常。

そんな私を案じてくださるのです。

 

お庭に咲く花々を愛おしく愛でながら楽しむこともできたでしょう・・・

お家のお座敷に生けることもできたでしょう・・・

なのに私なのです。

もし、私が逆の立場ならどうするでしょうか・・・

「オレが育ててやっと咲かせたのに、人にあげてなるものか!」って自分だけで楽しんでいることでしょう・・・

顔ばかりでかくて心の小さい男でいけません。

そんな自分を知らしめるような柔らかな大輪の花です。

 

イガイガ・トゲトゲの私はこんな柔らかな花が大好きです。

フワっとするような花を見ているとちっぽけな心も優しくなれるような気がします。

ガラじゃないので言いたくないのですが、私はトルコ桔梗が大好きです。

あのフンワリ感、もの凄く癒されます。

仏さまの前にお飾りなされていると思わず手で包み込みたくなります。

 

ご門徒さんの優しさを肌で感じるように両手で大輪を包み込んだことです。

柔らかくて、いい香り・・・

今日の疲れも取れるようです。

 

又、明日も願生ります。

ちなみに、トルコ桔梗の花ことばは「優美」「よい語らい」「清々しい美しさ」なのだとか・・・思わず笑ってしまいました。

やはりないものを求めているのですね・・・


初夏南風

2011年05月18日 20時21分34秒 | 仏々相念(住職日記)

わぁ~、気持ちいいね・・・

 

ご法要をお勤めさせていただいている時でも参られない方々が、お身内の還骨法要でお参り下さいました。

 

安心されるひと時です・・・

通夜・葬儀・出棺と悲しみや辛さを両肩に抱えるような数日、病院での看病の日数を重ねるとしんどかろうと案じます。

その疲れが少しだけ取れるのが還骨法要なのかな~って思うのです。

「ホッ」っとできるというのか・・・

諦めることができるというのか・・・

安心してお座りになる喪主さんがいます。

 

「亡くなった姿を目の当たりにすると涙も出ていましたが、お骨になると諦めがついたような気がして・・・これで主婦の定年です。これからは羽を広げて気楽に生きます。」

そうおっしゃる喪主様に本心ではない空元気みたいなものを感じたことです。

私みたいに暗いものは、どこまでも果てしなく落胆するのでしょうが、

明るい方は、やっぱり周りのことも気遣いながら元気をだそうとされるのかな~・・・

無理しなくてもいいのに・・・

そう思いながら喪主様の前に座らせていただいたことです。

 

爽やかな風が堂内に流れ込んできます。

疲れ切った心も身体も和らげてくださるようなはたらき・・・

何年振りだろう、本堂に参ったの・・・そんな声を聞かせて頂きながら

辛く悲しいご縁でしたが、ようこそこの方々をここまで引きずりだして下さったことですって喜ばせていただいたことです。

これがご縁となりこれからもお参り下さり、自らの人生を明らかに見ていける歩みでありたい・・・