晩ごはんの仕度中、
わたしがアスパラガスの茎の根元の方の皮を丁寧に削いでいるのを息子が見て笑います。
「ん?どうしたん?」と言うと、
「この間は可笑しかったね」って息子。
実は少し前のこと・・・
ご院さんが、色鮮やかに茹でたアスパラガスをパクッといただかれたと思いきや
口の中でもそもそもそもそ・・・・
どうやら、取り残した皮の硬い部分がいつまでもお口の中に残っていて、飲みこみにくいようです。
出すわけにもいかず、飲みこむこともできず・・・
ご院さんは必死なのですが、わたしや息子から見ると「それくらいのことで・・・」とすこし可笑しい感じがしたのです。(ご院さん、ごめんなさい!)
でも、この様子ではご院さんはアスパラガス嫌いになってしまうだろうな・・・とも思えたほどでした。
そんなことがあったものですから、硬い皮が残らぬように丁寧に丁寧に削いでいたのです。
それを見て、「なかなか、気をつかうねえ」と息子が傍で可笑しがったというわけです。
できあがったお料理を(恐る恐る)食卓にならべて・・・「いただきます!」
気になるご院さんは、といえば、
なんのためらいもなく、おいしそうに、パクパクとアスパラガスをいただいています。
「あれ?この前懲りたんじゃないの?大丈夫?」とたずねると
「ああ、すっかり忘れとった!そんなこともあったねえ!」とご院さん。
拍子抜けするわたしと息子・・・
「けっこう、こまかいことまで気をつかってるのにねえ!」
「親の心、子知らず」ならぬ、「妻の心、ご院さん知らず」かしら・・・(笑)
阿弥陀さまが一心に私たち衆生を救わんがためにおはたらきくださるのに
衆生の方といえばその親心を忘れて背を向けて・・・
けれども阿弥陀さまは決して衆生のことを忘れてはくださらないのです。
そんなことをちらっと思いだし
“いくら衆生が忘れようとも、忘れてくださらぬ親ごころ”をもじって
「“忘れてくださらぬ妻ごころ”ですよ」
と恩着せがましく言ってみたのですが・・・
「ははは・・・どっかで聞いたことある言葉だねえ」とさらり・・・
そもそも、阿弥陀さまは恩は着せないのですから、浅はかなのはこのわたしでしたね。
なにはともあれ、ご院さんがアスパラガス嫌いにならなくて、よかった、よかった!
え?少し過保護じゃないか・・・って?
ええ、相当の過保護でしょうね(笑)
息子とお義母さんが呆れるくらいに・・・