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日本の花・花を詠んだ句

日本に咲いている四季の花・花を詠んだ句を紹介します♪

竜胆に 日のさして居る 時雨かな

2022年10月12日 | 秋の花


10月も中旬に近づき、秋の深まりを感じます。
寒暖の差が大きい時季ですので、体調に気をつけてお過ごしくださいね♡

関東地方では数日前から雨が降ったり止んだりのお天気が続いています。
先日、近所の公園で華道と茶道のおもてなし会が開催されておりまして、
作品を鑑賞しながらお抹茶をいただくコーナーでは、
素敵な秋のひと時を過ごされている方々もいらっしゃって・・・
とても和やかな雰囲気に癒されました。

縁側の近くに展示されていた作品には、
色鮮やかな竜胆(りんどう)と鶏頭(けいとう)が生けられておりまして、
やわらかな日ざしに映えて、ほんとうに綺麗でした。
(許可を得て撮影させていただきました。)

「竜胆に 日のさして居る 時雨かな」

大正時代から昭和時代に活躍された俳人「野村 泊月(のむら はくげつ)」が詠んだ句です。

◎竜胆(りんどう)→秋の季語
◎時雨(しぐれ)→秋から冬にかけて一時的に降ったり止んだりする雨

小学生のお子さんたちの素敵な生け花の作品もたくさん展示されておりまして、
綺麗な秋の花々に元気をいただきました♡
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おしろいの 花の紅白 はねちがひ

2022年09月15日 | 秋の花


9月なり残暑が厳しい日もございますが、爽やかな心地よい風に秋の気配を感じます。
夕方に自転車で川沿いを走行しておりましたら、
鮮やかな紅色と純白の白粉花(おしろいばな)が綺麗に咲いていました。

「おしろいの 花の紅白 はねちがひ」

昭和時代に活躍された俳人「富安 風生(とみやす ふうせい)」が詠んだ句です。

白粉花は、江戸時代に渡来しました。
江戸時代の本草学者「貝原 益軒(かいばら えきけん)」の書にも紹介されています。
熟した黒いタネをつぶすと、白粉(おしろい)のような白い粉が出てくる様子や
実際に白粉(おしろい)の代わりに用いられていたことから、
その名が付いたと言われています。

また、夕方(午後4時ごろから)に開花することから「夕化粧(ゆうげしょう) 」とも呼ばれています。
夕方に美しく咲く白粉花と、夕方にお化粧をして出かける美しい女性の姿を重ね合わせて、
名づけられたそうです。
イギリスでは「Four-o'cloc(午後4時)」、フランスでは「Belle-de-Nuit(夜の美人)」と呼ばれています。

夏の終わりから秋の夕方に美しい花を咲かせてくれる白粉花・・・
純白の白粉花は、透き通るように美しくて・・・
しばらく見蕩れてしまいました♡
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いつも咲く ところすなはち 石蕗の花

2021年11月21日 | 秋の花


日毎に秋も深まり、紅葉の美しい季節となりました。
寒暖の差が大きい時季ですので、体調にお気をつけてお過ごしくださいね。

先日、久しぶりに電車に乗って菊花展へ行ってきました。
三渓園という大きな庭園で開催されておりまして・・・
綺麗な菊の作品を見学してから、園内を散策しながら歩いていましたら、
生垣の片隅に咲いている石蕗(つわぶき)の花を見つけました。

「いつも咲く ところすなはち 石蕗の花」

大正時代から昭和時代に活躍された俳人「山口 青邨 (やまぐち せいそん)」が詠んだ句です。

◎石蕗の花→この句の読みは「つわのはな」

石蕗は、艶(つや)のある葉っぱから「つやぶき」と呼ばれておりましたが、
「つやぶき」が変化して「つわぶき」と呼ばれるようになったと言われています。
10月中旬頃から11月末頃にかけて、鮮やかな黄色の花を咲かせます。

園内には大きな池がございまして・・・
さわやかな秋晴れのもと、鴨(かも)の親子が気持ち良さそうに泳いでいました。
池のほとりには、「高浜 虚子(たかはま きょし)」の句碑がありました。

「鴨の嘴 よりたらたらと 春の泥」

◎鴨(かも)の嘴(はし) →鴨のくちばし

句碑には昭和8年(1933年)3月に、この場所で「高浜 虚子」が詠んだ句と記されていました。
この庭園は、桜の名所としても親しまれています。
春の陽ざしのもと、鴨たちが池で餌をとっていた様子が目に浮かびます。

「山口 青邨」は、「高浜 虚子」のお弟子さんとしても知られています。
さらに、数多くの石蕗の句を詠まれていた「正岡 子規(まさおか しき)」は、
「高浜 虚子」の師匠として知られています。
石蕗の花は、師匠から弟子へ受け継がれてきた絆のようにも感じられました。

古くから茶室のある庭に植えられていた石蕗は、多くの俳人・歌人に愛されてきました。
普段はあまり目立たない植物ですが、
秋になりますと、鮮やかな黄色の花を咲かせて一面がパッと華やかになります。
今も私たちを楽しませてくれていますね♡
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伊勢近し 尾花がうえの 鰯雲

2021年10月22日 | 秋の花


久しぶりの投稿になりますね。
新型コロナウイルスの緊急事態宣言も解除され、
約半年ぶりに三重県の実家へ片付けに行くことができました。

画像は、新東名高速道路の長篠(ながしの)パーキングエリアから撮影しました。
戦国時代に織田信長・徳川家康軍と武田勝頼軍が戦った「長篠の戦い」の決戦地として知られています。

昨年まで遠距離介護をしており、毎回立ち寄るサービスエリアがございまして・・・
小高い場所にある長篠パーキングエリアは、いつも心地よい風が吹いていて・・・
私にとっては、ホッとできるお気に入りの場所の一つです。

「伊勢近し 尾花がうえの 鰯雲」

江戸時代に活躍された俳人「早野 巴人(はやの はじん)」が詠んだ句です。
「与謝 蕪村(よさ ぶそん)」の師としても知られています。
巴人は、「松尾 芭蕉(まつお ばしょう)」の「奥の細道」の足跡を辿って旅をされていたそうです。

◎尾花(おばな)→薄(すすき)の花穂(かすい)・秋の七草の一つ
◎鰯雲(いわしぐも)→鰯の群れのように空に広がる雲・秋の季語

この日の空は、鰯雲ではありませんでしたが、鰯雲は、台風や低気圧が近づく秋に多く見られます。
「鱗雲(うろこぐも)」・「鯖雲(さばぐも)」・「羊雲(ひつじぐも)」も秋の季語になります。

戦国時代が終わり、江戸時代には平穏な日々が続きました。
庶民の間では「お伊勢参り」が一大ブームとなり、多くの人々が訪れていました。
伊勢神宮まで、ひたすら歩く長旅のため「人生に一度きりの大旅行」という覚悟で旅をされていたようです。
参拝後は、そのまま国へ帰る人よりも道中にある寺社や観光名所に立ち寄りながら、
長い人では3ヶ月ほどかけて旅を楽しまれていました。

長旅の費用のことが気になりまして、調べてみましたところ、
約2ヶ月ほどの場合、60万円ほどの費用がかかっていたようです。
庶民にとっては高額のため、村ごとに「伊勢講(いせこう)」という団体をつくり、
村の代表者が参拝に行くという仕組みがありました。
代表者は、村の皆の分もお祓いを受けて、お土産とお土産話とともに村へ戻りました。

また、長く続いた江戸時代には、60年に一度の「おかげ年」という、特別な年がありました。
おかげ年には、参拝者に食事や宿などを無料で提供する「施行(せぎょう)」が行われていました。
施行を受ける目印の「ひしゃく」を持参していれば、無銭で伊勢までたどり着くことができたようです。
施行を与えた人は、善業によって徳を積むことができるとされていたため、
自ら進んで施行を与える人が多くいらっっしゃいました。

おかげ年には、半年未満の間に約460万人が訪れていたという記録も残っているそうです。
神々のおかげをいただくことから「おかげ参り」と呼ばれていました。
当時、多くの人々が気候のいい秋に、伊勢を目指して旅をされていた風景が目に浮かびますね♡
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露草と 朝の挨拶 交しけり

2021年08月29日 | 秋の花


一昨日より厳しい残暑が続いております。
引続き小まめな水分補給を心がけながら、体調管理に気をつけてお過ごしくださいね♡

夏になりますと、草原には露草(つゆくさ)がたくさん咲いておりましたが、
最近では昔ほど見かけなくなりました。
いつも通っている小道を注意しながら歩いておりますと・・・
3つほど咲いているのを見つけました。

「露草と 朝の挨拶 交しけり」

昭和時代から平成時代に活躍された俳人、国文学者「清崎 敏郎(きよさき としお)」が詠んだ句です。

♡型の顔、ブルーの耳、レモンイエローの瞳・・・
近づいて見てみますと、何故か可愛らしい妖精のように感じられ、
思わず微笑んでしまいました。

露草を見かけることがございましたら、ぜひじっくりと観察してみてください。
この句のように挨拶を交わせるかもしれませんね♡
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草の花 漾々として 野菊かな

2020年11月02日 | 秋の花


11月になり、木の葉も色づく季節となりました。
秋から冬へ、だんだん寒さも厳しくなりますね。
どうぞ温かくしてお過ごしくださいね。

草むらに可愛らしい野菊(のぎく)を見つけました。
秋風にゆれる薄紫色の花々に秋の深まりを感じます。

「草の花 漾々として 野菊かな」

大正時代から昭和時代に活躍された俳人「山口 青邨 (やまぐち せいそん)」が詠んだ句です。

◎漾々(ようよう)→ゆれ動くさま

11月は菊の季節ですね。
毎年、近所の公園では「小菊菊花展」が開催されていました。
残念ながら今年は新型コロナウイルスの影響により中止となってしまいましたが、
丁寧に美しく仕立てられた作品は、ほんとうに素敵で・・・
いつも楽しませていただいておりました。
新型コロナウイルスの一日も早い収束を願うばかりです。

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曼珠沙華 咲きそめし紅 ほのかにて

2020年10月07日 | 秋の花


10月になり、日毎に秋が深まってきていますね。
寒暖の差が大きい時季ですので、体調に気をつけてお過ごしくださいね。

三重県の実家から車で10分ほどの場所に、昔ながらの棚田がありまして・・・
紅色の彼岸花(ひがんばな)が見頃を迎えていました。
棚田で野焼きの作業をされていた方が、
「今年は、いつもよりも開花が少し遅いね。」とおっしゃっていました。

「曼珠沙華 咲きそめし紅 ほのかにて」

大正時代から昭和時代に活躍された俳人「飯田 蛇笏(いいだ だこつ)」が詠んだ句です。

◎曼珠沙華(まんじゅしゃげ)→彼岸花の別名・秋の季語

曼珠沙華の花姿は、ほんとうに美しいですね。
日本最古の和歌集「万葉集」には、「壱師(いちし)の花」として登場しています。
また、日本各地にある別名・地方名・方言の数は、数百〜数千種類とも言われています。
古くから多くの人々に親しまれ、結果として多くの呼び名が生まれたのですね♡

*     *     *     *     *     *     *     *     *
昨年末から長期にわたり入退院を繰り返しておりました父が、
入院していた病院と提携している老人保健施設(老健)へ移りました。
緑に囲まれた静かな場所ですので、
お天気の良い日には、リハビリの先生と一緒に車椅子でお散歩にも出かけられるそうです♪

新型コロナウイルスで面会禁止が続いておりますが、初めてオンライン面会がありました。
はじめは、電波の状態が悪く、なかなか繋がりませんでしたが・・・
父の顔が出てきまして、「心配しなくても、元気にやってるよ。」と話してくれました♡

長期間にわたり、ほんとうに大変な状況の中、
多くの方々のお世話をしてくださっている医療従事者の皆様、
施設職員の皆様に心から感謝申し上げます。
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山茶花は 白一色ぞ 銀閣寺

2019年11月23日 | 秋の花


11月中旬が過ぎて、秋晴れの清々しい日々が続いておりましたが、
関東地方は、昨日から冷たい雨が降り続き、急に冬になってしまったようです。
寒暖の差が大きい時季ですので、どうぞ体調にお気をつけてお過ごしくださいね。

先日、近くの公園には真っ白な山茶花(さざんか)が見頃を迎えていました。
とても大きな木で、秋晴れの空とのコントラストがほんとうに美しくて・・・
毎秋、楽しませていただいております。

「山茶花は 白一色ぞ 銀閣寺」

明治から昭和時代初期に活躍された俳人「小沢 碧童(おざわ へきどう)」が詠んだ句です。

銀閣寺は、室町時代後期の文明14年(1482年)に「足利 義政(あしかが よしまさ)」よって開かれました。
正式名称は「東山慈照寺(ひがしやまじしょうじ)」といいます。
義政は、ここを拠点に様々な文化を育みました。(東山文化)
古都京都の文化財として世界遺産に登録されており、
東山文化を代表する建築物として世界中の人々に親しまれています。

広大な庭園には、四季折々の花々が咲いており、
大きな山茶花の木も、何本か生息しているそうです。

山茶花の野生種は、もともとは白一色だったと記されており、
当時からずっと人々を楽しませてくれていた風景が目に浮かび、
深く感銘を受けました。
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木犀の 香に読み終へし 机かな

2019年10月28日 | 秋の花


10月下旬になり、朝晩はずいぶんと寒くなってきました。
お風邪などひかれませんよう、どうぞご自愛くださいね。

先日、近所の学校の前を通りかかりましたら、銀木犀(ぎんもくせい)の花を見かけました。
十文字の純白の花がとても綺麗でした。
金木犀は橙色の花、銀木犀は白い花を咲かせます。

「木犀の 香に読み終えし 机かな」

昭和初期に活躍された俳人「石橋 秀野(いしばし ひでの)」が詠んだ句です。

木犀(もくせい)の優しい香りが漂って参りますと、秋の訪れを感じます。
秋は気候も良くて「読書の秋」、「スポーツの秋」、「芸術の秋」、「収穫の秋」・・・など
楽しみなことが多い季節ですね♡

この句からも木犀の香りとともに、読書を楽しまれていた風景が目に浮かびます。

*   *   *   *   *   *   *   *   *   *
この度の台風19号の被害にあわれた皆様に、心からお見舞い申し上げます。
被災された皆様の安全と一日も早い復旧を祈念しております。
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ふれてみし 薊の花の やさしさよ

2019年09月15日 | 秋の花


九月中旬になり、日に日に秋らしくなって参りました。
夏疲れが出ませんように・・・どうぞ体調にお気をつけてお過ごしくださいね。

先日、自転車に乗っておりましたら、道端に一本の綺麗な野薊(ノアザミ)を見つけました。
ガードレールの傍に、トゲトゲの葉っぱを力強く広げた真ん中には、
フワフワの可愛らしい花が咲いていました♡

「ふれてみし 薊の花の やさしさよ」

昭和時代を代表する女流俳人「星野 立子(ほしの たつこ)」が詠んだ句です。

◎薊(あざみ)→「薊」だけでは春の季語
「夏薊」→夏の季語
「秋薊(富士薊・鬼薊・山薊)」→秋の季語
「冬薊」→冬の季語

子供の頃は、夏の終わり頃になりますと・・・
あちらこちらに薊が咲いておりましたが、最近あまり見かけなくなったように感じていました。
久しぶりに可愛らしい花を見つけて、とても懐かしい気持ちになりました。

*   *   *   *   *   *   *   *   *   *
この度の台風15号の被害にあわれた皆様に、心からお見舞い申し上げます。
被災された皆様の安全と一日も早い復旧を祈念しております。
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