日本の花・花を詠んだ句

日本に咲いている四季の花・花を詠んだ句を紹介します♪

紫陽花や 帷子時の 薄浅黄

2024年05月23日 | 夏の花


小庭の紫陽花(あじさい)が色づきはじめました。
四季咲きの紫陽花を小さな苗から育てて6年目になります。

昨年は樹高を低くする剪定にチャレンジしておりまして・・・
無事に花芽がでてくれるか心配しておりましたが、
樹高もなんとか1m弱くらいで花が咲いてくれました♡

「紫陽花や 帷子時の 薄浅黄」

江戸時代を代表する俳人「松尾 芭蕉(まつお ばしょう)」が詠んだ句です。

◎帷子(かたびら)→夏用の衣
 帷子時(かたびらとき)→帷子を着る季節

◎薄浅黄(うすあさぎ)→浅黄色を薄くしたような淡い黄色
 浅黄色(あさぎいろ)→薄い黄色

芭蕉は、薄浅黄色の夏衣を着ていたのですね♡
“あさぎいろ” には「浅黄色」と「浅葱色」の二つの色があります。
それぞれの色は全く違う色です。

<浅黄色>:薄い黄色
黄色は、苅安(かりやす)という草、黄蘗(きはだ)という木の皮、クチナシの実など、
今でいう “草木染め” で染められていました。

<浅葱色>:ごく薄い藍色
浅葱色は、藍(あい)で染めた時の薄い藍色。
薄い葱(ねぎ)の色にも似ていることから浅葱色と呼ばれるようになりました。

二つの “あさぎいろ” は、平安時代から使われていた色名です。
江戸時代よりも遥かに色をつくることが難しかった時代・・・
色に対する想いは、とても深かったことと思われます。

平安貴族の女性たちの正装とされていた十二単(じゅうにひとえ)など・・・
衣装でも繊細な色の変化を楽しまれていました。
源氏物語の登場人物たちも、美しい十二単や狩衣(かりぎぬ)を身にまとっていますね♡
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

芍薬や 棚に古りける 薬箱

2024年05月13日 | 夏の花


昨日は母の日でしたね♡
小庭では日本芍薬(にほんしゃくやく)が満開を迎えました。
いつも母の日のころに綺麗に咲いてくれます。
球根から育てて七年目になります。

今年は5月に入ってから白と薄いピンクが咲きはじめまして・・・
その後、濃いピンクが咲きはじめ、一昨日に満開となりました。

「芍薬や 棚に古りける 薬箱」

大正時代から昭和時代に活躍された俳人「水原 秋桜子(みずはら しゅうおうし)」が詠んだ句です。

◎芍薬(しゃくやく)→夏の季語

芍薬の花は、開花から三日程度で花が終わります。
我が家の日本芍薬は、花が終わりに近づくにつれて薬のような香りがします。

芍薬は、古くから薬草としても活用されておりまして、
現在も漢方薬に使用されているとのことから、
なんとなく漢方薬の匂いに似ているようにも思います。

この句を詠まれた水原 秋桜子は、
名前に秋桜(コスモス)の花の名前が入っておりますが、男性の俳人です。
本業は産婦人科医で、ご実家の病院が皇室御用達の産科であったことから、
秋桜子もたくさんの皇室の赤ちゃんを取りあげられていたそうです。

芍薬は、昔から漢方薬として極めて重要な植物とされておりましたので、
医師としても大切にされていた植物の一つだったことと思います。

また、「ホトトギス四S(シイエス)」の一人としても知られています。
ホトトギス四Sとは、水原 秋桜子、山口 誓子(やまぐち せいし)、
阿波野 青畝(あわの せいほ)、高野 素十(たかの すじゅう)の四人ことで、
共通のイニシャルをとって四Sと呼ばれていたそうです。
ちなみに四人とも男性の俳人です。

当時、俳句雑誌「ホトトギス」の黄金時代を築いていた四Sの方々が詠まれた俳句は、
現在もたくさんのファンの方々に愛され続けています♡
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする