日本の花・花を詠んだ句

日本に咲いている四季の花・花を詠んだ句を紹介します♪

この宮の 秋に応へて 紅葉はや

2023年12月06日 | 秋の花


師走を迎え、何かと慌ただしい日々をお過ごしのことと存じます。
くれぐれもご無理をなされませんよう、
お身体に気をつけてお過ごしくださいね♡

先日、久しぶりに東京方面へ行く機会がございまして・・・
湯島天満宮へお参りに行きました。

平日だったのですが、たくさんの方々が参拝にいらっしゃっていました。
甥っ子の高校受験のお守りをいただいてから御朱印の受付をしまして、
番号が呼ばれるまで境内を散策しておりましたら、
とても大きな紅葉(もみじ)の木がありました。

「この宮の 秋に応へて 紅葉はや」

昭和時代に活躍された俳人「高濱 年尾(たかはま としお)」が詠んだ句です。

◎応えて(こたえて) → 応じる
◎紅葉は(もみじは) → 紅葉の葉・秋の季語

高濱年尾は、高浜虚子の長男として知られていますね。
「年尾」という名は、正岡子規から命名されたそうです。

虚子は2男6女という子沢山で、とても子煩悩だったことも有名です。
俳句は虚子の手ほどきを受けて、中学時代から始められたそうです。
穏やかな心で詠まれた素敵な句ですね♡
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すみずみに つつましやかに 小菊あり

2023年11月10日 | 秋の花


立冬を迎え、あちらこちらから紅葉の便りが聞こえるころとなりました。
季節の変わりめ、お風邪などひかれませんよう、
お身体に気をつけて過ごしくださいね♡

一昨日、小庭の小菊たちの開花がはじまりました。
いろいろな小菊を育ているのですが、まん丸の白い小菊が一番最初に咲きました。
まん中部分に、ほんのり黄色が入っているお気に入りの品種です♡

「すみずみに つつましやかに 小菊あり」

明治時代から昭和時代初期に活躍された俳人・小説家「高浜 虚子(たかはま きょし) 」が詠んだ句です。

◎小菊→秋の季語
◎つつましやかに→もの静かで上品である様子

関東地方では11月に入っても気温の高い日が続いておりましたが、
今日は秋の深まりが感じられる一日となりました。
ようやく本格的な冬支度ができそうです。

小庭の植物たちも冬の準備をはじめているようです。
夏越しをしたクリスマスローズの新芽は、ずいぶん大きくなってきました。
千両の実も大きくなり、沈丁花も花芽をつくりはじめているようです。
紫陽花や金糸梅、ブルーベリーは、少しずつ落葉しながら休眠期を迎えます。

一年を通して植物たちの可愛らしい姿から元気をもらっています。
今年も冬支度と大掃除、少しずつ頑張りたいと思います♡( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
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青天へ 吹き上げらるゝ 尾花かな

2023年10月12日 | 秋の花


関東地方では、さわやかな秋晴れの日が続いています。
寒暖の差が大きい時季ですので、体調に気をつけてお過ごしくださいね♡

川沿いの公園を散策しておりましたら、
薄(すすき)の穂が秋風に吹かれて、とても心地よさそうでした。

「青天へ 吹き上げらるゝ 尾花かな」

大正時代から昭和時代に活躍された俳人「野村 泊月(のむら はくげつ)」が詠んだ句です。

◎尾花(おばな)→薄の花穂(かすい)・秋の七草の一つ・秋の季語

「薄・芒(すすき)・尾花」は、俳句歳時記の季語「秋・三秋(さんしゅう)」の植物の一つになります。
三秋とは秋季の三ヶ月で、初秋、仲秋、晩秋へと秋が深まってゆきます。

白粉花(おしろいばな)、鶏頭(けいとう)、菊(きく)、萩(はぎ)、葛(くず)など・・・
秋に咲く花々も三秋の植物になります。

その中でも秋の深まりとともに変化してゆく薄は、
「薄」「花芒」 「芒野」 「糸芒」 「尾花」「芒散る」 「尾花散る」などの季語として用いられ、
古くから多くの俳人や歌人たちが詠まれた句に登場しています。
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何よりも 曼珠沙華咲く 頃待たる

2023年09月22日 | 秋の花


お彼岸を迎え、暑さも少しずつ和らいできました。
一昨日の夕方、いつもの場所に慎ましく咲いている白曼珠沙華を見つけました♡

紅の曼珠沙華も大好きなのですが、
美しく透きとおるような純白の花姿には、いつも見惚れてしまいます。

「何よりも 曼珠沙華咲く 頃待たる」

昭和時代から平成時代に活躍された俳人「山口 誓子(やまぐち せいし)」が詠んだ句です。

◎曼珠沙華(まんじゅしゃげ)→彼岸花(ひがんばな)の別名・秋の季語

秋のはじまりを告げる花として、古くから親しまれている曼珠沙華・・・
中国から海を越えて渡来・帰化した植物として知られています。

仏教では「白くやわらかな花」、「天界の花」とされており、
曼珠沙華は「天上の花」という意味を持つそうです。

9月を過ぎましても厳しい残暑が続いておりますが、
曼珠沙華の花が咲きはじめますと、
暑さも少し和らいでくれるように思います。
夕方の虫たちの聲とともに秋の訪れを感じています♡
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竜胆に 日のさして居る 時雨かな

2022年10月12日 | 秋の花


10月も中旬に近づき、秋の深まりを感じます。
寒暖の差が大きい時季ですので、体調に気をつけてお過ごしくださいね♡

関東地方では数日前から雨が降ったり止んだりのお天気が続いています。
先日、近所の公園で華道と茶道のおもてなし会が開催されておりまして、
作品を鑑賞しながらお抹茶をいただくコーナーでは、
素敵な秋のひと時を過ごされている方々もいらっしゃって・・・
とても和やかな雰囲気に癒されました。

縁側の近くに展示されていた作品には、
色鮮やかな竜胆(りんどう)と鶏頭(けいとう)が生けられておりまして、
やわらかな日ざしに映えて、ほんとうに綺麗でした。
(許可を得て撮影させていただきました。)

「竜胆に 日のさして居る 時雨かな」

大正時代から昭和時代に活躍された俳人「野村 泊月(のむら はくげつ)」が詠んだ句です。

◎竜胆(りんどう)→秋の季語
◎時雨(しぐれ)→秋から冬にかけて一時的に降ったり止んだりする雨

小学生のお子さんたちの素敵な生け花の作品もたくさん展示されておりまして、
綺麗な秋の花々に元気をいただきました♡
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おしろいの 花の紅白 はねちがひ

2022年09月15日 | 秋の花


9月なり残暑が厳しい日もございますが、爽やかな心地よい風に秋の気配を感じます。
夕方に自転車で川沿いを走行しておりましたら、
鮮やかな紅色と純白の白粉花(おしろいばな)が綺麗に咲いていました。

「おしろいの 花の紅白 はねちがひ」

昭和時代に活躍された俳人「富安 風生(とみやす ふうせい)」が詠んだ句です。

白粉花は、江戸時代に渡来しました。
江戸時代の本草学者「貝原 益軒(かいばら えきけん)」の書にも紹介されています。
熟した黒いタネをつぶすと、白粉(おしろい)のような白い粉が出てくる様子や
実際に白粉(おしろい)の代わりに用いられていたことから、
その名が付いたと言われています。

また、夕方(午後4時ごろから)に開花することから「夕化粧(ゆうげしょう) 」とも呼ばれています。
夕方に美しく咲く白粉花と、夕方にお化粧をして出かける美しい女性の姿を重ね合わせて、
名づけられたそうです。
イギリスでは「Four-o'cloc(午後4時)」、フランスでは「Belle-de-Nuit(夜の美人)」と呼ばれています。

夏の終わりから秋の夕方に美しい花を咲かせてくれる白粉花・・・
純白の白粉花は、透き通るように美しくて・・・
しばらく見蕩れてしまいました♡
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いつも咲く ところすなはち 石蕗の花

2021年11月21日 | 秋の花


日毎に秋も深まり、紅葉の美しい季節となりました。
寒暖の差が大きい時季ですので、体調にお気をつけてお過ごしくださいね。

先日、久しぶりに電車に乗って菊花展へ行ってきました。
三渓園という大きな庭園で開催されておりまして・・・
綺麗な菊の作品を見学してから、園内を散策しながら歩いていましたら、
生垣の片隅に咲いている石蕗(つわぶき)の花を見つけました。

「いつも咲く ところすなはち 石蕗の花」

大正時代から昭和時代に活躍された俳人「山口 青邨 (やまぐち せいそん)」が詠んだ句です。

◎石蕗の花→この句の読みは「つわのはな」

石蕗は、艶(つや)のある葉っぱから「つやぶき」と呼ばれておりましたが、
「つやぶき」が変化して「つわぶき」と呼ばれるようになったと言われています。
10月中旬頃から11月末頃にかけて、鮮やかな黄色の花を咲かせます。

園内には大きな池がございまして・・・
さわやかな秋晴れのもと、鴨(かも)の親子が気持ち良さそうに泳いでいました。
池のほとりには、「高浜 虚子(たかはま きょし)」の句碑がありました。

「鴨の嘴 よりたらたらと 春の泥」

◎鴨(かも)の嘴(はし) →鴨のくちばし

句碑には昭和8年(1933年)3月に、この場所で「高浜 虚子」が詠んだ句と記されていました。
この庭園は、桜の名所としても親しまれています。
春の陽ざしのもと、鴨たちが池で餌をとっていた様子が目に浮かびます。

「山口 青邨」は、「高浜 虚子」のお弟子さんとしても知られています。
さらに、数多くの石蕗の句を詠まれていた「正岡 子規(まさおか しき)」は、
「高浜 虚子」の師匠として知られています。
石蕗の花は、師匠から弟子へ受け継がれてきた絆のようにも感じられました。

古くから茶室のある庭に植えられていた石蕗は、多くの俳人・歌人に愛されてきました。
普段はあまり目立たない植物ですが、
秋になりますと、鮮やかな黄色の花を咲かせて一面がパッと華やかになります。
今も私たちを楽しませてくれていますね♡
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伊勢近し 尾花がうえの 鰯雲

2021年10月22日 | 秋の花


久しぶりの投稿になりますね。
新型コロナウイルスの緊急事態宣言も解除され、
約半年ぶりに三重県の実家へ片付けに行くことができました。

画像は、新東名高速道路の長篠(ながしの)パーキングエリアから撮影しました。
戦国時代に織田信長・徳川家康軍と武田勝頼軍が戦った「長篠の戦い」の決戦地として知られています。

昨年まで遠距離介護をしており、毎回立ち寄るサービスエリアがございまして・・・
小高い場所にある長篠パーキングエリアは、いつも心地よい風が吹いていて・・・
私にとっては、ホッとできるお気に入りの場所の一つです。

「伊勢近し 尾花がうえの 鰯雲」

江戸時代に活躍された俳人「早野 巴人(はやの はじん)」が詠んだ句です。
「与謝 蕪村(よさ ぶそん)」の師としても知られています。
巴人は、「松尾 芭蕉(まつお ばしょう)」の「奥の細道」の足跡を辿って旅をされていたそうです。

◎尾花(おばな)→薄(すすき)の花穂(かすい)・秋の七草の一つ
◎鰯雲(いわしぐも)→鰯の群れのように空に広がる雲・秋の季語

この日の空は、鰯雲ではありませんでしたが、鰯雲は、台風や低気圧が近づく秋に多く見られます。
「鱗雲(うろこぐも)」・「鯖雲(さばぐも)」・「羊雲(ひつじぐも)」も秋の季語になります。

戦国時代が終わり、江戸時代には平穏な日々が続きました。
庶民の間では「お伊勢参り」が一大ブームとなり、多くの人々が訪れていました。
伊勢神宮まで、ひたすら歩く長旅のため「人生に一度きりの大旅行」という覚悟で旅をされていたようです。
参拝後は、そのまま国へ帰る人よりも道中にある寺社や観光名所に立ち寄りながら、
長い人では3ヶ月ほどかけて旅を楽しまれていました。

長旅の費用のことが気になりまして、調べてみましたところ、
約2ヶ月ほどの場合、60万円ほどの費用がかかっていたようです。
庶民にとっては高額のため、村ごとに「伊勢講(いせこう)」という団体をつくり、
村の代表者が参拝に行くという仕組みがありました。
代表者は、村の皆の分もお祓いを受けて、お土産とお土産話とともに村へ戻りました。

また、長く続いた江戸時代には、60年に一度の「おかげ年」という、特別な年がありました。
おかげ年には、参拝者に食事や宿などを無料で提供する「施行(せぎょう)」が行われていました。
施行を受ける目印の「ひしゃく」を持参していれば、無銭で伊勢までたどり着くことができたようです。
施行を与えた人は、善業によって徳を積むことができるとされていたため、
自ら進んで施行を与える人が多くいらっっしゃいました。

おかげ年には、半年未満の間に約460万人が訪れていたという記録も残っているそうです。
神々のおかげをいただくことから「おかげ参り」と呼ばれていました。
当時、多くの人々が気候のいい秋に、伊勢を目指して旅をされていた風景が目に浮かびますね♡
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露草と 朝の挨拶 交しけり

2021年08月29日 | 秋の花


一昨日より厳しい残暑が続いております。
引続き小まめな水分補給を心がけながら、体調管理に気をつけてお過ごしくださいね♡

夏になりますと、草原には露草(つゆくさ)がたくさん咲いておりましたが、
最近では昔ほど見かけなくなりました。
いつも通っている小道を注意しながら歩いておりますと・・・
3つほど咲いているのを見つけました。

「露草と 朝の挨拶 交しけり」

昭和時代から平成時代に活躍された俳人、国文学者「清崎 敏郎(きよさき としお)」が詠んだ句です。

♡型の顔、ブルーの耳、レモンイエローの瞳・・・
近づいて見てみますと、何故か可愛らしい妖精のように感じられ、
思わず微笑んでしまいました。

露草を見かけることがございましたら、ぜひじっくりと観察してみてください。
この句のように挨拶を交わせるかもしれませんね♡
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草の花 漾々として 野菊かな

2020年11月02日 | 秋の花


11月になり、木の葉も色づく季節となりました。
秋から冬へ、だんだん寒さも厳しくなりますね。
どうぞ温かくしてお過ごしくださいね。

草むらに可愛らしい野菊(のぎく)を見つけました。
秋風にゆれる薄紫色の花々に秋の深まりを感じます。

「草の花 漾々として 野菊かな」

大正時代から昭和時代に活躍された俳人「山口 青邨 (やまぐち せいそん)」が詠んだ句です。

◎漾々(ようよう)→ゆれ動くさま

11月は菊の季節ですね。
毎年、近所の公園では「小菊菊花展」が開催されていました。
残念ながら今年は新型コロナウイルスの影響により中止となってしまいましたが、
丁寧に美しく仕立てられた作品は、ほんとうに素敵で・・・
いつも楽しませていただいておりました。
新型コロナウイルスの一日も早い収束を願うばかりです。

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