日弁連の勉強会「死刑求刑事件における一審弁護の在り方について」に参加しました。
長野県で一家3人が殺害された強盗殺人事件について、担当弁護人から事例報告がありました。
この事件は、共犯者4名が、高利貸しと建築業を営む資産家一家3人を殺害し、現金410万円あまりを奪ったという強盗殺人事件です。
裁判員裁判で行われた一審判決では、4名のうち3名に死刑判決が下されています。
(もう1名は懲役28年)
共犯事件で先に死刑判決が出てしまった場合の弁護活動の難しさが紹介され、弁護人の不十分な弁護活動や裁判所の訴訟指揮の問題点が指摘されました。
事例報告の後、北海道大学大学院法学研究科の白取祐司教授による講演がありました。
「裁判員制度」と「被害者参加」と「死刑制度」の3つが同時に法廷に存在する日本は、世界の中でも特異であり、とても死刑判決が出やすくなっている。
それにもかかわらず、死刑判決への手続き保証がきわめて不十分であるとの制度的問題点が指摘されました。
次に、弁護活動について、死刑求刑が予想される事件では、公判前整理手続から死刑求刑を争点化し、徹底した証拠開示を行うことや、裁判官、裁判員、マスコミを味方につけることの重要性が指摘されました。
そして、今回の事件の検察官と弁護人の活動の間には、大きな格差があるとの厳しい意見が述べられました。
白取教授からは、
① 公判前整理手続で、死刑求刑予定かどうかを明らかにすることを義務化する。
② 死刑評決は全員一致とし、精神鑑定・心理鑑定を必ず行うなど、手続き保証を手
厚くする。
③ 弁護士は、プレゼン能力の向上、専門家との連携など最善の弁護をする努力を
する。
④ 死刑廃止に向けた世論喚起を!
との提言がなされました。
私は、これまで死刑求刑がなされた事件は一件だけ担当しています。
その事件の弁護がきっかけで、刑事弁護をするようになりました。
死刑を廃止すべきと考えるようになりました。
そのときのことをまとめた文章がありますので、よければご覧ください。