弁護士辻孝司オフィシャルブログ

京都の弁護士辻孝司のブログです
弁護士の活動、日々感じたことを弁護士目線でレポートします
弁護士をもっと身近に・・・

黙秘権を守るための尋問

2015-03-12 14:50:15 | 社会・経済

   

「黙秘権」 という権利があります。

日本国憲法では、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」(38条1項)とされ、刑事訴訟法にも何か所も出てきます。

     

  

最近は、被疑者(逮捕されてから起訴されるまでの捜査機関による取調べが行われる間)に、国選弁護人が付くようになったこともあり、

弁護人が黙秘を薦めて、取調べの時に黙秘するケースも増えているようです。

    

   

黙秘権は権利ですから、黙秘権を行使したことをもって不利益に取り扱うことは許されないはずです。

ところが、警察に逮捕されて、この黙秘権を行使していると、反省していない!と判断されて、

検察官の求刑や、裁判官の判決が重くされてしまうことがあったりします。

    

   

こんなことはおかしいのですが、検察官や裁判官の理屈としては、

洗いざらい自白した場合には反省の態度があるとして良い情状として考慮するけれども、

黙秘するとそういう良い情状がないから相対的に悪く評価されているだけであって、

黙秘したことをもって不利益に評価したのではないということのようです。

さすがは法律家です。

ヘリクツ!がうまい!

結局、一緒だと思いますが。

     

  

さて、昨日、捜査段階で黙秘していた事件の被告人質問をしてきました。

捜査段階では黙秘していたのですが、公判ではすべて自白しています。

きっと、捜査段階で黙秘していたことを検察官からネチネチと責められて、悪い情状として言われるだろうと予測。

そこで先手を打って、私から次のような質問を被告人にしてみました。

     

 

「警察や検察では、事件のことについて黙秘していましたね。」

「逮捕された時、警察の人から、黙秘権があるということを聞きましたね。」

「言いたくないことは言わなくてもいいと言われましたね。」

「自分が不利になるかもしれないことは言わなくていいということでしたね。」

「そういう権利があると聞きましたね。」

「逮捕されてから、検察庁に行きましたね。」

「検事からも、黙秘権があるということを聞きましたね。」

「その後、勾留される前に、裁判官のところにも行きましたね。」

「裁判官からも、黙秘権があるということ聞きましたね。」

「弁護人の私とも話をしましたね。」

「私からも、言いたくないことは言わなくていいという説明を受けましたね。」

「私からは、調書も作らなくていい、サインしなくてもいい、サインする義務はないという説明を受けましたね。」

「あなたは、逮捕後、何度も黙秘する権利があるということを言われたのですね。」

「あなたは、取り調べで黙秘していたのですね。」

    

  

さあ、どうだ!

これなら検察官は、「どうして黙秘していたんだ!」と、被告人をいじめることはできないだろう!

    

 

検察官は、パソコンで打った論告の書面を準備していました。

その書面には、もともとは、

「被告人は、公判では本件への関与を一応認めているが、捜査段階では黙秘しており、真に本件を反省しているかどうかは疑問である。」と書いてありました。

あっ、やっぱり・・・・・という感じなのですが、

最終的に手書きで次のように修正されていました。

「被告人は、公判では本件への関与を一応認めているが、捜査段階では 共犯者の素性といった重要な点は黙秘しており、真に本件を反省しているかどうかは疑問である。」

フフフッ!

二重線で削除してくれてました!

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

    

 

 


ココナッツ・オイルがいいらしい!

2015-03-08 14:41:07 | 食・レシピ



ココナッツオイルというのが、身体にいいらしいという情報!

どうやら認知症に効果抜群らしい!

先月、誕生日を迎えてまたひとつ歳をとってアラフィフに近づいた私にぴったり

中鎖脂肪酸というのが体に良いらしいです。

認知症以外にも、ダイエットや糖尿病などいろんな効果があるとか。

詳しくはこちらで


そういうことで何種類かまとめて買ってみました。

タイ産です。



写真のココナッツ・オイルは白い固形の状態ですが、気温が25度以上になると、溶けてきて透明な液体状になります。
今は気温が低くて固まっているので、毎朝ファンヒーターの前に置いて溶かしています。

いろいろレシピがネット上で公開されていますが、私は単純に毎朝グラノーラにかけている牛乳に、大さじ一杯入れています。

肌に直接塗ったり、お風呂に入れたり、リンス替わりに使ったりすることもできるようですが、そこまでの勇気ありません

実はブームになっているようなのですが、まだまだ近くのスーパーなどではなかなか売っていません。

オリーブオイルぐらいにどこでも売ってたらいいのに。

高齢化社会の日本で、これからもっと普及するかもしれませんね!


裁判官!何様?俺様?欧米か?!

2015-03-05 21:19:04 | 日記・エッセイ・コラム

今週はずっと、私が関わってる事件に関連する裁判員裁判を傍聴しています。

今日も朝から傍聴していました。

他の弁護士がやっている裁判を見るのは勉強になって楽しい。

そんな中で、えええっ!!て驚くことがありました。

   

事件や裁判の中身のことを書くことはできませんが、一般傍聴者としてのコメントです。

被告人質問の中で私の依頼者の名前が何度も出てきます。それはそれで当たり前のことです。

弁護人が質問をして、検察官が質問をして、裁判員が質問をして、1番若い裁判官の質問の番、そこで!

   
えッ、えッ、えッ、えッ、えッ、えッ、えッ、えーーーーー!!!!!!

私の依頼者の名前を、しかも下の名前を呼び捨てで呼んだのです。

すっごい違和感!!

間違ってるでしょ!

ありえない!

   

その後、冷静にこの違和感はどこから来るんだろうといろいろと考えてみました。

1つめは、無罪推定が及んでいる私の依頼者のことを犯罪者扱いして呼び捨てにしたから。

裁判官は裁判員に対して、被告人には無罪推定の原則がある、裁判で有罪であるということが合理的な疑いを越えて証明されない限り無罪だということを説明しているはず。

それなのに呼び捨てにして犯罪者扱いすることは言行不一致。

裁判官の発言を聞いて、裁判員はどういうメッセージを受け止めたことやら。


    

2つめは、それまでの審理の中で、誰も呼び捨てにしてなかったのに若い裁判官が突然呼び捨てにしたから。

審理の中で、弁護人は、「さん付け」あるいは「お兄さん」と呼んでいました。

検察官も同じような感じ。

もっとも検察官は有罪だって考えてる立場だから呼び捨てにしてもそんなに違和感はありません。

裁判員の人たちは弁護人と同じように「さん付け」あるいは「お兄さん」と呼んでいました。

そんな中で 突然の呼び捨て! 

審理の流れから逸脱してる。

  

3つめは、若い裁判官が、年長者を下の名前で呼び捨てにしたから。

もちろん赤の他人のことを!

仲間内の少人数の話の中で誰かのことを下の名前で呼び捨てにするっていうことはあるかもしれません。

でも法廷のような公の場で、大勢の傍聴人がいる前で、身内じゃない年長者のことを呼び捨てにする?

そんなこと普通の社会ではありえない!

そんなことしたら人格疑われちゃいます。

この裁判官のことを、横に座っていた裁判員たちの市民感覚はどう感じたことやら。

   

でも、その若い裁判官は決して悪い人、おかしな人、下品な人には見えません。

一体なんでこんな発言をしたのか?いろいろ考えてみました。

   

身内でない人を下の名前で呼び捨てする場合

   

ケース1 歴史上の人物

信長、家康、龍馬……なるほど、そういう場合は呼び捨てにします。でも今回はそうは思えない。

  

ケース2  俺様、見下している

いやまさかこの裁判官に限ってそんなことはないだろう。

    

うーん、うーん……わかった!

マイク、ナンシー、トム、エミリー、そしてキャサリン!

そう、私たちが中学生の時の英語の教科書に出てくる人物も、みんな下の名前で呼ばれていました。

きっとそうだ!

それしか考えられない!

欧米か?!

   

私たち弁護士も自戒しなければなりません。

弁護士になってしばらくの間、警察官や検察官や裁判所の人と話すとき、私も被告人のことを苗字で呼び捨てにしていました。

心の中のどこかで犯罪を犯した被告人の事を見下し、自分を上の立場に置いていたのか、被告人をモノのように見ていたのだと思います。

ある時、ふとそのことに気づいて、恥ずかしく思いました。

それからは、どんな事件を起こした人であっても、どんなに前科のたくさんある人でも、どんなに困った人であっても、絶対にさん付けで呼ぶようになりました。

弁護士が被告人を対等な人として扱わなければ、警察や検察、裁判所が、被告人となった人を、人として扱ってくれることはありえません。

若い弁護士や司法修習生に研修で話をする機会があるときには、必ず「さん付け」で呼びましょうと話します。

   

裁判員として一般市民のみなさんが裁判に参加しているのです。

私たち法曹は、法廷にいるすべての人が、人と人として対等な関係であるという最低限のことを忘れないように気をつけないといけませんね。

若い裁判官にも、きっと今ごろ、先輩裁判官が教えてくれていることと思います。




『ベイマックス』良いです!

2015-03-01 12:38:25 | 映画

「ベイマックス」

子ども向けのディズニーアニメだと思って、ずっと見てなかったのですが、

機会があって見てみたら、とても良い映画で、思わずアニメで泣いてしまいました 

  

(ネタバレごめんなさい)   

主人公は、兄が死んだ理由を探るうちに、実は兄が尊敬していた大学教授が黒幕で、その大学教授が悪に走った原因は、自分の娘を無謀な実験で殺されたから・・・・(映画のストーリーはもっとうまくできていますので、是非、実際にご覧になってください。)

実は、大学教授は、自分の娘を殺された復讐のために行動していた。

というような話ですが、そこで、主人公が大学教授に、

復讐などダメだ!恨みに恨みを重ねてはいけない!というようなことを言うのです。

(ごめんなさい、正確なセリフは覚えていません。)

そのとおりだ!と、ここに私は反応しました。

   

最後にベイマックスが自分を犠牲にして主人公たちを救うというのは、「さらば宇宙戦艦ヤマト」などに見られるようなストーリー展開で、何となく、特攻隊をイメージしてしまうので嫌いです。

 

が、この映画のメッセージは、自己犠牲精神ではなく、復讐の否定にあるのだろうと思います。

 

娘を奪われた恨みとはいえ、悪事を重ねてしまった大学教授は、主人公に殺されたり、死んでしまったりすることなく、パトカーに乗せられて、法によって裁かれることになります。

   

世界でも、アメリカでも、そして日本でも、報復や応報を煽るような報道、政治、社会風潮がある中で、こういうメッセージがアメリカから出てきて、日本でも大ヒット映画になったということに、少し温かさと希望を感じました。

  

必要なのは、戦闘ロボットではなく、ケアロボットですよね。

『ベイマックス』本予告編