弁護士辻孝司オフィシャルブログ

京都の弁護士辻孝司のブログです
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~テキサスで考えたこと~京都から死刑制度の廃止をめざす弁護士の会1周年記念講演 2013.6.26

2013-06-28 14:34:53 | インポート

  

1周年記念講演ということで、今年2月にアメリカのテキサス州に日弁連の調査団とともに視察に行かれた龍谷大学の石塚伸一教授をお招きして講演していただきました。

  

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テキサス州は、死刑制度が存置されており、しかもアメリカではもっとも死刑の多い州です。

しかし、そのテキサス州でも死刑判決、死刑の執行は激減しています。

そのことと数年前に導入された終身刑が関係しているのかを調査するのが調査団の目的でした。

   

実際にテキサス州では死刑は減っており、郡によっては、死刑をまったく行われていない郡もあるそうです。

死刑判決を下すためには、一審では必ず二人の弁護人を付けなければならず、弁護士一人当たりについて、弁護士費用と鑑定などにかかる実費費用を合わせて上限3000万円まで費用が認められます。

弁護人は二人なので6000万円になります。

上訴されると、さらに弁護士費用がかかっていくことになります。

   

こうなると予算規模が数千万円程度の小さな郡は到底予算が持ちません。

アメリカでは検事は選挙で選ばれるのですが、死刑を求刑して郡の予算を使ってしまったような検事は、次の選挙で市民の支持を得ることができないため、一級殺人罪から二級殺人罪に落として起訴するということがあるそうです。

  

そのため、予算規模の大きい大都市のある郡でないと、事実上、死刑判決は下せないそうです。

    

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3000万円もの弁護士費用が認められているのは、人の命を奪うだけの刑罰を科す以上、そこに至る手続については、どこまでも公正で、適正で、十分なものでなければならないという考えからです。

   

アメリカ法曹協会(ABA)では「モラトリアム・プロジェクト」というのが行われており、死刑判決を受けた人が、十分な弁護を受けたかということを調査しているそうです。

  

日本の場合、死刑が求刑されるような事件でも、国選弁護費用は安ければ50万円程度、高くても150万円程度だろうと思います。

精神鑑定や情状鑑定の費用は国からは出ないので、弁護士が国選弁護費用の中から賄います。

死刑求刑事件を担当する弁護士の資格にも特に制限はなく、1年目の弁護士や刑事事件を殆どしたことのない弁護士でも、誰でも弁護人になることができます。  

もし、日本で「モラトリアム・プロジェクト」をしたら、かなりの不十分な弁護活動が明らかになることでしょう。

  

アメリカは、日本と同じように死刑を存置している国ですが、死刑に至るまでの手続保障には大きな違いがあるようです。

   

3月30日に、京都から死刑制度の廃止をめざす弁護士の会で開催した河野義行氏の講演会の様子について、同志社大学の浅野健一教授のゼミのホームページに掲載されました。

そちらもぜひご覧下さい。

http://www1.doshisha.ac.jp/~kasano/FEATURES/2013/20130619_kouno.html

  


チア男子!!

2013-06-25 22:03:03 | インポート

     

本の紹介です。

チアリーディングといえば、普通はこういう感じですね。

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でも、この本の主人公たちは 「男子」

  

大学一年生の晴希と一馬。

幼馴染で、柔道部で一緒に活動していた二人だが、同じ時期に退部する。

一馬に誘われ、二人は大学チア初の男子だけのチームを結成する。

大学内でメンバーを募集したところ集まってきたのは個性的すぎるメンバーたち、

初めは逆立ちもできないメンバーが、懸命の練習をしてバック転、バック宙まで。

学園祭でデビューして、県大会、全国大会へと挑戦をしていくという、笑いと汗と涙の感動ストーリーです。

  

気楽に読める、楽しく、単純に元気の出る青春ストーリーです。

心が疲れた方にはお勧め!

私も逆立ちできませんが、チャレンジしたくなりました。

   

作者は、直木賞作家の 朝井リョウ

公式ホームページはこちら http://www.shueisha.co.jp/cheer-boy/

  

ところで、この本のモデルとなった男子チアチームがあるそうです。

早稲田大学のショッカーズ!

大迫力でむちゃくちゃカッコいいんです! ぜひ、見てみてください。

    

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YouTube: Waseda University SHOCKERS USA Nationals Japan 2013


奈良~近弁連刑事弁護夏期研修会~ 6.21-22

2013-06-24 15:23:38 | インポート

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週末は、奈良の春日ホテルで近畿弁護士会連合会刑事弁護委員会の夏期研修会でした。

近畿各地から、刑事弁護に取り組む弁護士80名が終結して熱心な討論が行われました。

  

テーマのひとつは「接見の際のIT機器の利用」

パソコン、スマホ、タブレット、デジカメ、ICレコーダーは生活に欠かせないアイテムですが、弁護士の仕事でも大いに活躍しています。

ところが、拘置所の接見室でこうしたIT機器を使おうとしても、持ち込みを制限されたり、録画した画像の消去を求められたりすることがあります。

酷い事例では、録画したデータを消去するまで帰さないと言われて、南京錠で部屋に鍵をかけられていたとか。

  

接見の際に、会話した内容をボールペンでノートにメモにとることは何の問題もありません。

メモをとることも、録音することも、写真撮影することも被疑者から情報を受け取ると言うことでは何の違いもありません。

  

接見の際に、持ち込んだ紙資料や証拠書類を見せることにも何の問題もありません。

ところが、接見室でネット検察した結果を画面上で見せることは規制されるのです。

  

捜査機関側は携帯の通話記録を精査したり、DNA型鑑定、通信傍受、ネットでの情報収集、取調べの録画などIT機器を駆使して捜査をしています。

それなのに弁護側はIT機器を使えないというのはアンフェアです。

拘置所、留置施設に、接見の際のIT機器の利用を認めさせる為にどのように戦っていくかの作成会議が行われました。

  

もう一つのテーマは、

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法制審議会で議論されている

「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想」  

厚労省の村木厚子さんや映画監督の周防正行さんの怒りのコメントが新聞各紙に掲載されていましたが、問題だらけの基本構想です。

違法な取り調べをなくし、冤罪を防ぐために始まった検討会なのに、捜査機関に新たな操作方法を付与するばかりの基本構想に成り下がってしまっています。

 

こんな方向性で改革が行われるぐらいなら、今のまま、ずっと可視化を実現させないで、可視化を求める運動を続けていた方がよほどマシな弁護活動ができます。

  

この問題については、京都弁護士会で秋に予定している

「憲法と人権を考える集い」で取り上げます。

周防正行監督にゲスト出演していただける予定です。

11月17日(日)午後、シルクホール(四条烏丸)です。

ぜひ、ご期待下さい。

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30000アクセス、ありがとうございます!

2013-06-21 13:32:42 | インポート

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ブログを開設して1年、30000アクセスを超えました!

ご覧いただいたみなさま、ありがとうございます。

   

最近、更新ペースが落ちてしまっていましたが、また頑張ります。

これからもぜひご覧下さい。

  

今日は、近畿弁護士会連合会の刑事弁護委員会の合宿で奈良に来ています。

まだ、鹿は見ていません   


法科大学院、どうなる?!

2013-06-20 14:48:44 | インポート

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京都産業大学ロースクールでの刑事模擬裁判の授業に行ってきました。

ロースクール用の殺人未遂事件の教材を使って、学生が裁判官、検察官、弁護人になって、

模擬裁判を行います。

学生とはいえレベルが高く、下手な弁護士や検察官、裁判官よりも良いかもしれません。

  

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立派な法廷教室もあります!  

とはいえ、履修してくれている学生は少数です。

ロースクールが発足した当初は、模擬裁判のような実践的に法律を理解し、社会ですぐにも役に立つ人材を育成するようなカリキュラムに、学生は集まっていました。

ところが、最近は、司法試験に直結しない科目は人気が低迷 

学生の意識が低いというのではなくて、そういう養成システムなのだから当然のことです。

  

残念ながら10年前と比べての弁護士の職域も仕事もほとんど増えていません。

民事事件や破産事件は減少傾向、一時の過払金返還ブームも去りました。

企業や自治体などの内部弁護士も微々たるものです。

刑事事件も治安が良くなり、事件数は激減しています。

増えた仕事というと、被疑者国選弁護や成年後見くらいでしょうが、どちらも単価は安く、倍増した弁護士を養っていけるような規模のものではありません。

合格者3000人どころか、1000人でも、職業としては厳しい状況です。 

  

ロースクールの志願者も1万4000人に激減だとか。

将来に夢や希望を見いだせなければ、優秀な人材が集まるわけがありません。

もう数年もすれば、弁護士になりたいなんていう人はいなくなってしまうでしょう。

試験というのは結局は、志願者数と合格者数から生まれる競争次第だとおもうので、養成制度や試験制度をいくらいじっても仕方がないと思うのですが。

   

いったい、これからどうなるのでしょう? 

   

法科大学院、実績低迷なら強制閉校も 政府検討会議提言

朝日新聞デジタル 6月19日(水)16時33分配信

【西山貴章】

「政府の「法曹養成制度検討会議」(座長=佐々木毅・元学習院大教授)は19日、司法試験の合格率が低い法科大学院を、事実上「強制退場」させる最終提言をまとめた。修了した学生に司法試験の受験資格を与えないなどの法的措置を想定している。成績不振校の切り捨てに、大学院側の強い反発が予想される。

 検討会議は、弁護士など法曹人口の急増による司法試験合格者の就職難から、「司法試験合格者を年間3千人に」とする政府目標の撤廃方針も提言に盛り込んでいる。法科大学院は志願者数が2004年度の7万2800人から今年度は約1万4千人に激減。定員割れの常態化で、司法試験合格者が少ない大学院の存在が問題になっていた。」

朝日新聞社