参加者は、これから刑事になろうという、約60名の若手の警察官のみなさん。
「弁護士から見た警察捜査」というテーマで80分の講演をしてきました。
これまでにも何度も講演に行っているのですが、今回は人数が多いということで、教室ではなくて大きな講堂で話をしました。
ちょっとやりにくい。 なぜか・・・・
小学校の講堂と同じように1メートルほどの高さのステージがあって、そこに演台があって、マイクを使って話をする・・・
いつもなら地声で、歩いたり、動いたりして、参加者と対話しながら進めるんですが、ちょっとそういうわけにもいかない。
というだけなら、まあ、よくあることなのですが、今回はそれに加えて・・・・
演台で話をする私の後には、巨大な!
そうです、警察学校だけあって、講堂には大きな日章旗が掲げられているのです。
私は、どちらの意味でも日の丸にあまりこだわりはないのですが、日の丸を背負って講演するというのは何とも妙な気分でした。
話しているうちに、だんだんと右手を握りしめて、高く振り上げて、三島由紀夫のように力強く演説を・・・ ということにはなりませんでしたが、それをしたら確かに高揚感があって、気分は良さそうです。
他の弁護士に話をしたら、ステージに上がるときに日の丸に向かって「礼」をしないといけなかったんじゃない?
なるほど。
そういえば、国会議員の先生が日の丸に礼をしてから演台に向かう様子をどこかで見たことあります。
さて、講演の内容は、「弁護士が捜査活動をどのように見ているのか?」
違法な取調べや、誘導、脅迫、弁護人への侮辱などなど、刑事が何とか自白を獲得しようと無理をするのを弁護人は待っている。
弁護人からすれば、そういう捜査こそが付け入る隙になって、裁判で材料になる。
取調べを録音録画しなかったり、備忘録やメモを捨てたり・・・ むしろ、そうしてくれていた方が弁護人からすれば、非難しやすくて、裁判で戦いやすい、といった弁護戦略の本音や、
悪意のない何気ない捜査官の一言にも、弁護人はつけ込んでいくので、十分に発言には注意しないといけない、普通の会話であれば許される発言が取調室では許されないといったことを話してきました。
先日の傷害致死無罪判決の事例も紹介し、裁判員となった一般市民は、裁判が公正であることについてとても厳しい、少しでもアンフェアだと思われたら信じてもらえないことも話しました。
弁護人から見て、警察は決して「敵」ではありません。
警察は刑事司法権を実現し、社会の安全を確保するために欠かすことの重要な存在です。
共に刑事司法手続に関わるパートーナーだと思っています。
ただ、警察も人間のすることなので、間違いや行き過ぎということは必ずあります。
そうした間違いをチェックするためのシステムが必要であり、そのシステムが弁護人です。
ともに公正な司法を実現するため、協力していきたいと思います。
京都府警のマスコットキャラクター「ポリスまろん」です。
詳しくはこちら。http://www.pref.kyoto.jp/fukei/site/koho_k/mascot/index.html