弁護士辻孝司オフィシャルブログ

京都の弁護士辻孝司のブログです
弁護士の活動、日々感じたことを弁護士目線でレポートします
弁護士をもっと身近に・・・

京都府警の警察学校で講演してきました。2013.2.26

2013-02-27 09:00:40 | インポート

  

Keisatsugakkou

参加者は、これから刑事になろうという、約60名の若手の警察官のみなさん。

「弁護士から見た警察捜査」というテーマで80分の講演をしてきました。

  

これまでにも何度も講演に行っているのですが、今回は人数が多いということで、教室ではなくて大きな講堂で話をしました。

ちょっとやりにくい。 なぜか・・・・

小学校の講堂と同じように1メートルほどの高さのステージがあって、そこに演台があって、マイクを使って話をする・・・ 

いつもなら地声で、歩いたり、動いたりして、参加者と対話しながら進めるんですが、ちょっとそういうわけにもいかない。

というだけなら、まあ、よくあることなのですが、今回はそれに加えて・・・・

演台で話をする私の後には、巨大な!

  

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そうです、警察学校だけあって、講堂には大きな日章旗が掲げられているのです。

私は、どちらの意味でも日の丸にあまりこだわりはないのですが、日の丸を背負って講演するというのは何とも妙な気分でした。

話しているうちに、だんだんと右手を握りしめて、高く振り上げて、三島由紀夫のように力強く演説を・・・ ということにはなりませんでしたが、それをしたら確かに高揚感があって、気分は良さそうです。

他の弁護士に話をしたら、ステージに上がるときに日の丸に向かって「礼」をしないといけなかったんじゃない?

なるほど。

そういえば、国会議員の先生が日の丸に礼をしてから演台に向かう様子をどこかで見たことあります。

  

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さて、講演の内容は、「弁護士が捜査活動をどのように見ているのか?」

違法な取調べや、誘導、脅迫、弁護人への侮辱などなど、刑事が何とか自白を獲得しようと無理をするのを弁護人は待っている。

弁護人からすれば、そういう捜査こそが付け入る隙になって、裁判で材料になる。

取調べを録音録画しなかったり、備忘録やメモを捨てたり・・・ むしろ、そうしてくれていた方が弁護人からすれば、非難しやすくて、裁判で戦いやすい、といった弁護戦略の本音や、

悪意のない何気ない捜査官の一言にも、弁護人はつけ込んでいくので、十分に発言には注意しないといけない、普通の会話であれば許される発言が取調室では許されないといったことを話してきました。

先日の傷害致死無罪判決の事例も紹介し、裁判員となった一般市民は、裁判が公正であることについてとても厳しい、少しでもアンフェアだと思われたら信じてもらえないことも話しました。

      

弁護人から見て、警察は決して「敵」ではありません。

警察は刑事司法権を実現し、社会の安全を確保するために欠かすことの重要な存在です。

共に刑事司法手続に関わるパートーナーだと思っています。

ただ、警察も人間のすることなので、間違いや行き過ぎということは必ずあります。

そうした間違いをチェックするためのシステムが必要であり、そのシステムが弁護人です。

ともに公正な司法を実現するため、協力していきたいと思います。

   

Maroon

京都府警のマスコットキャラクター「ポリスまろん」です。

詳しくはこちら。http://www.pref.kyoto.jp/fukei/site/koho_k/mascot/index.html

  

   


緑を大切にする町、向日市!! 

2013-02-20 15:29:01 | まち歩き

   

今回は、とても軽い話題です。

今、向日町警察署の事件があって、週に何度か警察に通っています。

そこで見かけた光景がこれ!?

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塀から木が生えている!!

民家の庭から伸びた木の枝がちゃんと伸びていけるようにと、塀に枝ジャストサイズの穴が開けられ、そこから枝が伸びています。

んんん・・・ でも、道路に枝が伸びて、通行のじゃまになるのでは?

警察から怒られたりしないのかな~

と思っていたら、すぐ横にこんな看板が!

   

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向日市も公認!

車両ではなく、樹木が優先のようです。

そう思って、さらに周囲を見ると、確かに・・・・

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道路から街路樹がニョキニョキと何本も生えています。

民家の駐車場の前からも生えていて、車の出し入れも大変そうです。

 

向日市は緑を大切にする町なのですね。

春になれば、桜並木が美しそうです。

   

ところで、私が通っているのは「向日町警察署」です。

JRの駅も「向日町駅」、郵便局も「向日町郵便局」です。

でも、実際には「向日町」という町はありません。

40年前の市制改革で、「向日市」になっています。

どうして、未だに「向日町」にこだわるのか、きっと秘密があるはずです。

探偵ナイトスクープで調べてくれないかな。

    

    

  


「死刑弁護人」 安田好弘弁護士!!

2013-02-16 22:18:23 | 社会・経済

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京都弁護士会主催 「死刑を考える日」が、キャンパスプラザ京都で開催されました。

重いテーマにも関わらす、170名定員の会場に収まらない参加者があり、急遽、パイプいすを並べたり、立ち見も出るほどの盛況でした。

「死刑はあって当然」というような冷めた風潮の中で、これだけ問題意識を持って来場してくださる一般市民の多さに感動です。

   

シンポジウムでは、まず、オウム真理教事件や和歌山毒カレー事件、光市母子殺害事件などで弁護人を務められてた安田好弘弁護士の活動を追ったドキュメンタリー映画

「死刑弁護人」が上映されました。

  

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その後、安田弁護士をゲストにお招きし、いろいろなお話を聞かせていただきました。

安田弁護士自身は、死刑廃止の立場であるけれども、個別事件の弁護で死刑廃止を主張するようなことは絶対にしない、そんなことは弁護活動としては全くダメだといった、弁護活動のあり方を見つめた話や被害者参加制度や裁判員制度の問題点に鋭く切り込まれていました。

 

これまでテレビや写真でのイメージで、とても厳しい弁護士というイメージを持っていたのですが、はるか後輩の私たちにもとても優しく、丁寧に接してくださいました。

国家権力に対峙するという弁護士の強さ、熱さ、魂を誰よりも持っておられながら、周りの誰もに対する優しさ、気配りをお持ちの安田先生でした。

だからこそ、死刑事件の弁護ができるのですね。

  

お話を聞けば聞くほど、弁護士っていうのはこういう人のことをいうのだなぁと、日々の仕事に追われ、売り上げのことを気にするような自分自身をとても恥ずかしく思いました。

そして、本物の弁護士を間近に見て、大きな勇気と元気、希望をもらいました。

やっぱり弁護士はこうでないと!という感じです。 

  

私も、いつかこういう本物の弁護士、刑事弁護人になれるように、頑張っていきたいと思います。

本物の弁護士はとてもかっこ良かったです。

    

    

  


「孫子の兵法」で獲得した裁判員裁判の無罪判決、確定!

2013-02-15 23:52:57 | 社会・経済

   

2月1日に、裁判員裁判で無罪判決となった傷害致死事件は、今日が控訴期限。

検察が「覆すことは困難」と控訴を断念し、無罪判決が確定しました  

   

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弁護活動としては、これまでの刑事弁護の経験をベースにして、

裁判員裁判をきっかけに取り組み始めた尋問技術をはじめとする法廷弁護技術、

「入門・法廷戦略」(現代人文社刊)の執筆で取り組んだ、戦略的法廷プレゼンテーションやビジュアルツールを駆使しました。

「入門・法廷戦略」 http://218.42.146.84/genjin/search.cgi?mode=detail&bnum=20180

   

さらに、今回の裁判では、2010年から裁判への応用研究を始めた

「孫子の兵法」を活用しました。

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今回の無罪判決は、これまで一緒に研究活動に取り組んできた
「京都・法廷プレゼンテーション研究チーム」のみんなで獲得した成果です。

裁判前には研究会で冒頭陳述を実演して、事件分析や戦略について議論もしていました。

これからも、このチームから多くの成果が生まれてくることを確信しています。
(舞鶴女子高生殺人事件の控訴審無罪判決の弁護人もこのチームのメンバーです!)

法廷プレゼン研究チームhttp://www.npo-presentation.org/presenteam/page.php#0004

      

「孫子の兵法」の研究内容については、「季刊刑事弁護№63 2010年秋号」(現代人文社刊)から、現在も連載中ですので、ぜひとも、ご覧ください。

「季刊刑事弁護」 http://www.genjin.jp/keiji-bengo/keiji-index.html

  

今回の裁判で、具体的にどのように「孫子の兵法」を活かしたのかという点については、これからもう一度裁判を振り返って、取りまとめてみようと思います。

近いうちに、何らかの形で発表したいと思いますので、ご期待ください。

 

【MSNwest産経 2013.2.15 17:25】
年上女性を…交際男、傷害致死は無罪が確定 京都地検「覆すのは困難」

 交際してた女性=当時(34)=を暴行して死なせ、京都府八幡市のスーパー駐車場に止めた車に放置したとして、傷害致死と死体遺棄の罪に問われ、1日の京都地裁で傷害致死については無罪、死体遺棄で懲役1年6月、執行猶予4年(求刑懲役7年)の判決を受けた無職、被告(24)について、京都地検は15日、控訴しないことを決めた。弁護側も控訴の意向を示しておらず、刑が確定する。
 理由について、次席検事は「一審判決を控訴審で覆すのは困難と判断した」と説明している。

■府警の調書を「信用できぬ」
 判決では、捜査段階で府警が作成した「(女性が)浴槽に頭を打ち付けるのを見た」とする被告の供述調書のメモが廃棄されていたことなどから「信用できない」と言及。「暴行と死亡との因果関係について合理的な疑いが残る」と指摘していた。

*地名、氏名については匿名化しています。

   


孫子の兵法に学ぶ~安全への道~ 免許更新!

2013-02-12 22:08:56 | 社会・経済

  

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2月生まれということで、先日、運転免許証の更新に行ってきました。

 

その時の安全運転講習で上映されたビデオが

「孫子の兵法に学ぶ~安全運転への道~」

私がリーダーを務める京都法廷プレゼンテーション研究会で、裁判員裁判で勝つために
「孫子の兵法に学ぶ法廷戦略」を研究していることは、以前にブログで紹介しましたが、
安全運転でも孫子は大活躍のようです。

    

「彼ヲ知リ己ヲ知レバ、百戦シテ殆ウカラズ」

「彼」とは道路交通に潜んでいる危険、そして、「己」は自分自身の心、

その両方を知っていれば、交通事故は起こさないという内容でした。

このDVDをネットで検索したら、売っているようです。

http://toei-evs.com/anzenhenomiti-s.jpg

しかし、その値段がなんと73,500円!  う~ん..... 

まあ、そんなにあちこちで売れるものではないので単価が上がるのはやむを得ないのでしょうが、わずか25分ほどのDVDが、大河ドラマ一年分のDVDボックスよりも高い!

     

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ところで、この安全運転講習、プレゼンとして見ているとなかなか興味深いものがありました。

まずは、聞き手が多種多様。

外見しかわかりませんが、老若男女はもちろん、職業、学歴、収入・資産、家族構成などはてんでばらばら、そういう人が100人近くも同じ部屋で話を聞くことになります。

しかも、聞き手の大部分は、免許更新のために仕方なく講習を受けていると思っているので、全く聞く意欲がなく、「面倒くさいな~」 「早く終わらないかな~」と思っています。

こんなやりにくい聞き手を相手に、逆風の中で行われる講習です。

そこで、先のDVDも「孫子の兵法」を使ったり、ナレーターが落語家だったりと工夫がされています。

構成もDVDを見せたり、教官の生講話だったり、テキスト使ったり、パワポを使ったりと変化を持たせて飽きさせない努力があります。

教官(警察OBですよね。)の話っぷりも、声も大きく、はきはきしていて、テンポ良く、時にユーモアを交えてと、おそらくは話し上手の方を集めているようです。

   

裁判員裁判も様々な聞き手がミックスしているという点は同じ

様々な工夫は大いに参考になりました。

安全運転講習で「安全への道」だけでなく、法廷プレゼンも学ぶことができました。