弁護士辻孝司オフィシャルブログ

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警察・検察の闇 2014.3.9 

2014-05-30 14:39:38 | インポート

 

京都弁護士会刑事委員会の委員長として、私が企画する最後のイベント、

 

「警察・検察の闇~郵便不正事件の『不正』は何処へ向かうのか?」

 

京都弁護士会館で開催しました!

ゲストは、ジャーナリストの江川紹子さんです。

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 現在、政府に法制審議会・新時代の刑事司法制度特別部会を設置して、「時代に即した新たな刑事司法制度を構築するための法整備のあり方」が議論されています。


 2014年前半には答申が出され、その後、法制化されようとしています。

 本来、この特別部会の議論は、厚生労働省の「郵便不正事件」での大阪地検特捜部の違法捜査を契機として、現在の取調べに依存した捜査の在り方を改めるべく、取調べの可視化を導入することを中心とした刑事司法制度改革を実現するために始まりました。

 

 ところが、特別部会が発表した「新たな刑事司法制度の基本構想」やその後の議論状況を見ると、取調べの録音・録画の対象事件は極めて限定されたものとなり、かつ、多くの例外が認められる一方、通信傍受などの捜査権限が大幅に拡充されるなど、冤罪を防ぐという本来の目的から外れたものとなってしまっています。

 

 そして、このような同特別部会の誤った議論が取りまとめられて、本年中にも法制化されようとしているのです。

 

 こうした極めて危機的な状況に対して、京都弁護士会では2013926日に「法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会に対し、冤罪事件の根絶のための審議を求める意見書」を発表しました。

 

 1117日には、「憲法と人権を考える集い」を開催して、特別部会委員の周防正行さん、元裁判官の木谷明さん、布川事件の桜井昌司さんをお招きして市民に冤罪を発生させないためのあるべき刑事司法制度を訴えてきました。

 

 しかし、その後も特別部会の誤った議論状況が変わることはなく、さらに市民に対してあるべき刑事司法制度改革を訴え続ける必要があると考え、201436日に「警察・検察の行う全事件の取調べについて、全面的な可視化を求める会長声明」を発表し、39日に本シンポジウムを開催しました。

 

 シンポジウムの第1部では、ジャーナリストの江川紹子さんにご講演をいただき、郵便不正事件に見える捜査機関の問題点、その他の事件で同様の問題が起こっていることなど、具体的で新鮮なお話をしていただきました。

 

 第2部のパネルディスカッションに入る前には、刑事委員会劇団によって、どのようにして自白が取られていくのかを再現した寸劇を上演しました。憲法と人権を考える集いでも上演した寸劇ですが、ますます演技の質が向上しており、来場者にも喜んでいただきました。

 

 パネルディスカッションでは、日弁連でミスター可視化と呼ばれ、可視化実現に長年にわたって取り組んでおられる小坂井久弁護士(大阪弁護士会、特別部会の幹事でもおられます。)、公明党の竹内譲衆議院議員、民主党の福山哲郎参議院議員にも加わっていただき、刑事司法改革について熱い議論を繰り広げていただきました。

 

 いよいよ立法化の段階に入っていくという時期に、お二人の国会議員に直接、現在の特別部会の問題点、可視化や証拠開示の必要性・重要性、弁護士会のスタンスを伝えられたのはとても有意義だったと思います。

 

 竹内議員からは「正義感に基づく権力の行使こそ、検証を受ける必要がある」旨の発言をいただきましたが、とても意義深く、印象的なご発言でした。

 

 

 当日の来場者は、100名くらい来てくれればいいかなという私の予想を大きく裏切り、約200名の市民の方が参加していただきました。

 2007年にも、可視化をテーマにシンポジウムを開催したのですが、その時の来場者はわずか10名弱。

 

 

 

 それから7年、足利事件、布川事件、氷見事件などの冤罪事件、郵便不正事件における大阪地検特捜部の問題など、取調べの問題は明らかになってきています。しかし、政府における議論は未だ全面的録音録画、全面的証拠開示には逆行する方向にすすめられており、『反省』からくる改革はいっこうに見えてくることはありません。  

 

 今後も、法制審議会、さらに国会の情勢を注視し、京都弁護士会として意見を言い、市民に訴えていかなければなりません。そして、一部可視化が実現したとすれば、次には全面的可視化をめざして、さらに活動を活発化させていく必要があります。

 

 

最後に、来場者アンケートでの感想をご紹介します。

 

・江川さんの講演をじかに聴講でき、また、あまり知らなかった司法の実際も伺うことができ、知識を広げることができ感謝しています。(70代女性)

 ・大変有意義な催しであると思います。今後も引き続きこのテーマを追求したシンポジウムの開催を希望します。(60代男性)

 ・寸劇の弁護士さんの役が役者さんのようだった。そしてよくわかりました。(60代女性)

 ・パネリストの人選も大変良く、めったにこれだけのメンバーが一堂にそろうことはないので大変有意義!(70代男性)

 ・可視化、録音、録画は賛成です。必要なことだと思います。(20代女性)

 


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