ピンクの似合う女の子だった。
ピンク色のおなかをしていた。
ピンクがかった鼻の色だった。
名前はレモン。
パパとママに大切にされたお嬢ちゃまだった。
名付け親はレモン家のお姉ちゃん。
アガサ・クリスティー作品、名探偵ポアロの有能な秘書ミス・レモンからつけられたそうだ。
嫁いで、一緒には暮らしていなかった。
最後のときをお姉ちゃんに知らせなかったそうだ。
仕事を持つ忙しいお姉ちゃんがすぐに駆けつけることはできない。
辛い思いは少しでも先に延ばしたほうがいいから、とママは言う。
そういう愛情もあるのだと知った。
大切な存在だからこそ、そんな愛情も・・・。
今日、ラブ父さん・母さん、マフままと4人で、
レモン家を訪ね、”勝手にドッグラン”仲間のみんなからの思いを書いた色紙と写真、
そしてお花を届けてきた。
レモンが最後にパパと過ごした広いリビングで、
小さくなってしまったレモンと再会した。
具合が悪くなってからの様子は知らないので、
私の中のレモンの姿は
5月の遠足で会ったときの
元気なままで永久保存されている。
広いお宅の中には、レモンのために置かれていたベッドが何箇所もあったそうだ。
それを取り除くと、その空いた空間はそのまま、
パパとママの心の空きスペースとなってしまったようだった。
すぐに塞ぐには大きすぎる存在だと思う。
レモンぱぱがぽつりと言う。
「レモンがいないとね、朝、やることがなくってね~。
ゴミ捨てなんかも、ペットシーツのゴミがないから軽くてね。」
失うということは、そういうことなのだと、
自分の日常生活の一部分をもぎ取られるような、
心にズシンとくるものがあった。
レモンの小さい頃の写真や、思い出の品を見せていただいた。
あどけなく天使のような子犬の写真をみると、
その後、アレルギーに苦しんで、
強い薬を使わずには抑えられないかゆみと戦い、
頑張りぬいたレモンが愛しくなる。
今はやっと、かゆみも痛みもないからだになって、
楽になれたかな。
9歳までみんなに付き合ってくれたレモンにかける言葉は
よくがんばったね、えらいねという他に見つからない。
8月1日に9歳になったばかりのレモンは
10月3日、静かに旅立った。
レモンぱぱが今治で見つけたレモンタオルをいただいた。
「レモ~~~ンっ!!!何してるのかな??」
レモン:草は食べてないよ。フォアグラを丼で大盛り、トリュフとキャビアを山盛りかけて。
レモンぱぱ:おお、さすがうちの子だ。
レモン:草は食べてないよ。フォアグラを丼で大盛り、トリュフとキャビアを山盛りかけて。
レモンぱぱ:おお、さすがうちの子だ。
2012.5.27 泉自然公園にて