
昨日は冷たい雨のなか、なんだかんだと歩き回りました。半分は買い出しと、荷物にならない程度に収めつつあとは撮ること。弱い雨だったから出来たのかもしれません。途中、(徒歩で向かった)渋谷から下北沢へ移動するとき、ふと思い付いて手前の池の上で降りる。現代HEIGHTSというカフェ&ギャラリーに行ってみようと。と言っても、そのアクセス・マップはイメージでしか残っていなく、当たりを付けるも空振りで辺りを一周してみれば、何のことなく池の上駅から東北沢へ抜ける道に面していたのだった。だが、開店は15時からとガックリ。
そして、下北沢ではお目当ての八百屋で買い出しするのだけれど、そこへ向かうなか「劇」小劇場の一階にあるギャラリー「Geki」を通りかかったら「どうぞ~」と中からジェスチャーするので吸い込まれるように傘を閉じて入る。何枚かの写真が見えたので写真展かと思ったら、怪しげなマスクや彫像があって、さらには掛け軸まである。Neal Martzというメイクアップアーティストの個展とのこと。バイオグラフィーを見ると、「羊たちの沈黙」やアカデミー賞作品賞の「ビューティフル・マインド」、「ブラックレイン」「コットンクラブ」など錚々たる作品に参加していて、そこにご本人がいて驚く。そして熱心に日本語で解説してくれる方が義理のお母さんだということ。さらに驚いたのは、映画でのspecial makeup artistやmakeup department headの詳細な制作過程を、それは90年代の作品だったのだけれど、膨大なポラとカラーネガの写真、そして恐らくその過程のなかでの制作ポイントとか俳優との会話とか、注意点など細かく記したテキストがあり、その写真とリンクする形でファイリングされているのを見たときだった。その写真はすべて自分で撮ったという。
それは映画にある契約というのか、ビジネス的な必要性も多分にあるのかも知れないし、その世界では通例なのかもしれない。その理由を聞けばよかったものの、思うに現場での作業と凝視することと撮る行為、そして詳細な記録を残すことで次なるクリエイティビティに繋げるのだと思うのでした。