iPodからの音が突然断線。片側からしか出なくなる。お決まりのインナーイヤーフォンのピンジャック側の断線であった。あっけないくらいの終焉である。これを買い求めたのは昨年の8月だった。そのことはここで8月26日に触れている。コードが2分になるもので、延長コードを用いなければ、その短いコードでボクはシャツの胸ポケットにiPodを入れて聴くスタイルがほとんど。無意味にコードを出してバックに入れるなど邪魔だし、面倒なだけだ。その分、ピンジャック側の酷使は避けられない。それを承知で使っていたのだけど、たったの1年ではやはり言葉が出ない。
仕方なく、それはスーツ姿のリーマンがネクタイを汚したとかで出勤途中買い求めるように、ボクはアキバのYバシカメラに駆け込んだ。すると、そこには試聴ブースがなく、ガラスケースに鎮座しているだけの図にガックリ。これじゃ、確かめようがない。聞けば、試聴は可能なのでどれを試したいか言ってくれという。まぁ、防犯上の処置なのだろうけど、沢山あるなかからじっくり選ぶ具合ではない。それと、驚いたのは国産メーカーの高級機が幅を利かせていると思いきや、意外にも海外物のボクの知らないブランドが沢山あったことだ。そして、見た目にも個性が伝わってくるのが嬉しい。
フィット感と音質。この二つが満足できればいい。予算はちょっと奮発しようと思っていた。それはポイントがあるからだ。ついでながら、iMacを買って以来のお買い物でもあった。人気ナンバーワンとあるオーディオテクニカのとアメリカのしらないブランドを二つGケースから出してもらって、いざ試聴となるとその場で自分の携帯HDDプレーヤーで聞いてくれという。そうゆうことかと感じて、聴けばまったく駄目だったのがテクニカのもの。シャリシャリなのである。他の二つは案外悪くなかった。ただ、音が良くても耐久性に不安を感じる海外製という感覚はあって、無難な国産ものとの気持ちとは裏腹に、ほんとうは15個くらい試聴したかったのだけど、なんというか気合い一発みたいなノリのなか、最後にこれ、といって取り出してもらったのがモンスターケーブル社のMH BEATS IEだった。オレンジのフラット型コードは注目でしょう。これがまさに当たり。小躍りするどころか、飛び上がって万歳三唱である。値段? たしかに予算オーバーだけどポイント使えば払えるのだ。これまでのは、HDに取り込んだ音がそのままトレースしてる感じだったのが、耳のなかでオーディオが鳴っている感じなのである。低音が強調されてると思うけれど、iPodのEQをoffにすれば逆に録音の良し悪しさえ伝わってくる。iPodにある曲をランダムにかけると、これまで聞こえてなかった音像がくっきりと現れる。下品さしかなかったZZ TOPの音が上品に鳴るのである。マイルスのミュートは限り無く侘びしさが漂い、斎藤徹のベースは肉声になる。ニール・ヤングは囁き、ピート・タウンゼントのギターが踊り、ジミ・ヘンのそれは燃えるのである。ジョンとポールとジョージと林檎が遊んでいる。楽しくなるのである。それと、なんっうか、無骨なまでの造りからくる恐いまでの余裕。アメリカンの底力を感じるのであった。
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アマゾン ちなみにYバシカメラは15000円です。