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キューブラー・ロス『人生は廻る輪のように』はお薦めです

2011-09-02 00:08:22 | 高森光季>その他

 本の推薦記事を書いて、思いつきましたので。
 エリザベス・キューブラー=ロスについては、以前のエントリでも触れました。
 ただその時は事実記述的なそっけない書き方でしたので、改めて推薦する次第です。

エリザベス・キューブラー・ロス『人生は廻る輪のように』上野圭一訳、角川文庫、2003年、820円 (税込)

【前のエントリから再録】
 エリザベス・キューブラー=ロス(1926~2004)は、日本でも非常に著名な「臨死医療」の先駆者である。スイスに生まれ(三つ子だった)、苦学して米国で医者になるが、近代医療体制が「死を待つ患者」を放置していることに疑義を抱き、精神医学博士を取得、臨死患者の「精神的ケア」活動に邁進した。1969年に『死の瞬間』を刊行すると、同書はベストセラーとなり、「ターミナル・ケア」「ホスピス」運動の理論的支柱として一躍脚光を浴びた。特にそこで主張された「死の受容のプロセス」(否認・怒り・取引・抑鬱・受容)は、医療関係者にも大きな影響を与えた。この動きは国際的に拡がり、以後ホスピス運動がいたるところで展開されることになった。日本でも『死の瞬間』は1971年に翻訳され、大きな話題を呼んだ。著名な医師を始め、多くの知識人がキューブラー=ロスの名を挙げ、ホスピス運動の旗手として賞賛した。
 この時点でのキューブラー=ロスは、「死に到るプロセス」の研究をしていたものの、「死の後」についてはほとんど関心を持っていなかった。ところが、刊行直後に一人のクライエントが「臨死体験」を報告し、さらにその一年後には「霊」として出現したことで、彼女は急速に「死後問題」探究へと傾斜していく。そして、霊媒との交流、自身の体外離脱体験などを経て、1973年には『死・成長の最終段階』を刊行、「死後存続」を絶対的な確信をもって受け入れるようになった。自伝『人生は廻る輪のように』はその経緯を詳細に語っている。一方、彼女のこうした「変節」に反感を持つ人々もいたようで、『死の瞬間』新版訳本の「訳者あとがき」には次のような記述がある。
 《キューブラー・ロスが死後の生や輪廻転生について熱弁をふるうようになってから、そうしたものを信じる多くの人びとの熱狂的な支持を得たと同時に、キューブラー・ロスは宗教家あるいは神秘主義者になってしまったとして、彼女のもとを去っていった人、彼女の著書を読まなくなってしまった人も多いのである。》

      *      *      *

 とにかくすごい人です。精神科医になりたての頃、病院にいた精神病患者をカウンセリングして、大半を社会復帰させたというエピソードは、彼女が何か天性の能力を持っていたことを示しています。そしてその後、エイズ患者のための臨死医療施設を建設したものの、放火されて壊滅したり、信頼していた霊能者から毒蜘蛛攻撃を受けたり……。そういったことにもめげず、死を宣告された人々へのケアをめざして格闘していく姿は、もう、畏敬の念しか覚えません。
 そういった活動の記録とともに、この本には、彼女が次第に「霊魂の不滅」を認めていく過程が描かれています。その意味で、そうしたことを知らない多くの人に、勧めたい本です。
 (もっとも、「臨死医療の先駆者」として彼女をあがめていた多くの人が、そうした主題が語られるようになると「離れていった」というのは、まあ、その人たちには、残念というか、ご愁傷様というしかありません。――物理学者ブライアン・ジョセフソンも、当初は天才と賞賛されていましたが、「心霊現象」を語るようになったら「行ってしまった人」扱いになりましたw。受け入れない人は受け入れないようですね。)

 私は、現代で最も尊敬する人物を挙げるとしたら、フレデリック・マイヤーズは別格として、ハリー・エドワーズとエリザベス・キューブラー=ロスをまず挙げたいです。エドワーズは、何十万人という人に霊的治療を施し、それに関する書籍を公刊し、息を引き取る間際まで淡々と治療に専念しました。霊的治療を成功させた人数としては、イエスの数千倍になるでしょう。キューブラー=ロスは、最後は病気になって入院し、看護婦と喧嘩をしながら死を迎えるという彼女らしい死に方でしたが、奉仕の活動規模では、やはりイエスを数千倍越えるものだったでしょう。

 「死後存続」問題の最高の入門書でもあると思います。文庫本で安く再刊されているので、ぜひ何冊か買って、これぞと思う人に差し上げてください(別に出版社や訳者の回し者ではありませんw)。


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5 コメント

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早速注文しました (JIJIRO)
2011-09-02 08:34:29
いつも楽しくよませていただいております。ありがとうございます。

エリザベス・キューブラー=ロスさんに関しては、患者さんに対しては偉そうなことを言っていたのに、自分の死期が近づいてきたら日頃の言動は忘れて周章狼狽してしまった、なんて話をどこでだったか読んだ記憶があるので、残念に思っていたのですが、それも高森さんの仰る「受け入れない人」たちからの誹謗だったのかもしれませんね。

楽しみに読ませていただきます。

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いい本をありがとう (JIJIRO)
2011-09-07 09:41:00
現代史のポイントポイントに女史がいらして、まさに一読巻措く能わざるといった風情で一気に読了いたしました。

感想は壮絶の一言(^^ゞ
こんな人生を送られた方がいらっしゃるという事実を知るだけでもお薦めしたくなる一冊でした。

全巻に箴言が溢れているのですが、還暦を過ぎてからある事情で全財産を失って、なお多額の債務を抱える人生を送ることになってしまった私にとっては、本の中で再三繰り返される「いのちの唯一の目的は成長することにある」「偶然というものはないのだ」とか、他にも「わたしは苦しみを愚直に肯定した。すると苦しみが消えた」とか「苦しみは、人が成長するために天が与えた贈り物であり、ちゃんと目的があるんだ」とか「人生の苦労の大半はすでに答えを知っている謎をといているようなものだ」なんて言葉の数々は本当に見に沁みて理解ができました。

それに、私はまさか女史がモンロー研究所を訪れられたことなんて知らなかったので、これも嬉しい驚きではありました。

私はこの本を、シルバー・バーチの霊訓や心の道場さんの何冊かの本や、TSL さんの幾つかの文章と同じく、何度も繰り返して読むことになると思います。

そして、これが私なりの「ちょっとわからないような」に書かれていたことへのコメントにもなるのかなという思いも持っております。

瞑想中に「総てを私に委ねてみませんか」という「言葉」を聴いてから、現実の世界では一気に周囲の状況が悪くなって行きました。逆に、その言葉を発した存在の尽力のおかげで、私自身には奇跡としか思われない嬉しい事態が頻発いたしました。存在がいろいろな方向から私の精神的苦痛を和らげようとしてくださっていることがしっかりと感じられました。
今現在、私は自分でも信じられないくらいに安定した精神状態で積極的に毎日を過ごしております。そして嬉しい事態は相変わらず起き続けているのです。
物質的な財産を失うことで、私は霊的真理というこれ以上はない財産をこころにいただいたと考えております。

高森様、いい本を紹介してくださってありがとうございました。嬉しい事態がまた一つ増えました。
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JIJIRO様へ (高森光季)
2011-09-07 18:17:18
よかったです。

全財産を失いさらに債務を抱えるなんて、壮絶な体験をされていらっしゃるのですね。
やはり天は高貴な魂にはそれにふさわしい厳しい課題を与えるのでしょうか。そんな中で「安定」を得られているのはすごいです。

そのうちそういったすごい体験のことを、ブログなどでお書きになられてはいかがでしょう。苦境にある人への励ましにもなると思いますし。
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ありがとうございます (JIJIRO)
2011-09-08 21:35:18
高森 様

もちろん私の霊性なんて高貴とはほど遠いものでもありますし、私なんか比較にもならない苦労を背負ってらっしゃる人も膨大な数にのぼることでしょうし、とても他人様に披露するような物語ではないとは思います(^^ゞ

ただ、私は高森様が仰った「厳しい課題」を与えた天というのは、私自身に違いないという確信を今回の一連の体験を通じて得るに至りました。
そう考えることで、例えばシルバー・バーチの霊訓の中でも私を最も力づけてくれる;

そこでわたしは、取り越し苦労はおやめなさいと、くり返し申し上げることになるのです。自分の力で解決できないほどの問題に直面させられることは決してあ りません。克服できない困難というものは絶対に生じません。重すぎて背負えないほどの荷物は決して与えられません。しかも、あふれんばかりの自信に満ちた 雰囲気の中で生きていれば、霊界から援助し、導き、支えてくれる、あらゆる力を引き寄せることができるのです。  地上人類への最高の福音(心の道場版)より

の一節がしっかりと腑に落ちるのです。
多分睡眠中や瞑想中に私の私たるべき存在は守護霊や背後霊とよばれている存在と何らかのコンタクトをとっているのでありましょう。そして現在の状況に関しての打ち合わせや細かな軌道修正などを行っているのではないでしょうか。
だからこそのシルバー・バーチの断言であると私は思うようになりました。

他に霊的真理に関しての自分の意見を述べる機会や場所がありませんので、随分と都合のいい自分勝手なお願いではありますが、高森様のブログのコメント欄をお借りすることをお許しください。
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JIJIRO様へ (高森光季)
2011-09-09 00:02:44
コメ欄でなくても、メールでお送りくだされば、独立のエントリとして掲載しますよ。
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