Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

校正

2007-03-25 10:11:32 | ひとから学ぶ
 出版社の図書目録というものは、本にまったく興味のない人にはまったくつまらないもので、手にしたことのない人も多いだろう。当たり前といえば当たり前で、ただ本の目録なんだから面白いわけがない。そこへゆくと、わたしは少しは興味があるから、今までにもそんな図書目録を手にしたことは多い。本屋に並んでいる目録をもらってきたことも何度かあり、それをのぞいて本を注文したことも少ないが何度かある。そんな図書目録も、新しい目録が出るとお払い箱となるわけだが、捨てずにとってある図書目録が唯一ある。岩田書院の図書目録である。

 この出版社、個人でやっている小さな出版社なんだろうが、発行している本の数は多いし、加えて専門書だけだから、財政的にはどうなんだろう、なんて心配するほどのマイナーな世界で生きている。その岩田書院の新刊ニュースは、地方史情報とともに定期的に送られてくるのだが、その新刊ニュースに「裏だより」という囲み記事が載っている。まさに本を発行する、出版社を経営していく、といった部分の裏話が聞くことができるのである。その新刊ニュースの裏だよりが、岩田書院の図書目録には転載されているのだ。新刊ニュースはA5版の1枚てあるが、図書目録ならまとまっているから、新刊ニュースの1枚1枚を保存せずとも、図書目録にその全文が記載されているから、読み物になるわけだ。

 ということで、その新刊ニュースの裏だより目当てに図書目録をとっておくのだ。この裏だよりは、すでに450号を越えている。わたしにしてみれば、図書目録にまとめておくのではなく、裏だよりだけで一冊の本にして欲しいところだ。

 さて、そんな裏だよりの最近号に、「編集実技:校正赤字入れ編」というものがあった。校正というものも知っている人は知っているが、そんな作業を一度もしたことのない人にはまったくの無関係の世界の話である。わたしも初稿があがった際に校正をむ初めてした際には、どうやってよいのかまったく解らなかったものである。人が校正した原稿を見て、「こうやってやるもんなのだ」と気がついたしだいである。ところが、いろいろな専門的な記号やら言葉が並んでいて、その後何度も校正ということをしているが、いまだに本当の校正とはどうするものなのか、知らないのだ。それでもなんとか通じているようだから、本当の「校正」などというものは印刷業界の専門のものであって、意味さえわかればそれほど意識する必要がない、と解ったしだいである。

 「校正赤字入れ編」では校正でよく使われる「イキ」という言葉の入れ方について触れている。イキとは間違って訂正したものを、もとのものの方が正しいですよ、という表示であって、まさに「生きている」を表現しているわけだ。わたしも人の校正原稿をのぞいていてこの「イキ」というものの使い方を知ったわけで、その後はよく使う言葉となった。ここではこのイキをどこに書くかということに触れていて、①その赤字の脇に書く、②元の正しい字の脇に書くという二つの事例を示している。で正解は②の元の正しい字の脇に書くのだという。ようは間違った場所に書くと、訂正した赤字が「イキ」ととらわれかねないからだという。あらためてそんなことを言われて、自分はどこに書いているだろうかと思い出すと、赤字の横に書いている記憶はないから、おそらく正解の方法でやっている。なるほどと思うことではあるが、先にも言ったように、本当のやり方ってあるんだろうか、などと思ってしまうわけだ。なにより複雑に赤字書きをすると、訂正する側も間違えたりするもので、校正したのに意図通りに直っていない、なんていうことも生まれてしまう。
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